くもり のち あめ

うしろ向き、うしろ向き、たまに、まえ向き。

強迫観念ツーリング その3

2007-05-10 18:19:36 | オートバイ
風見峠を後にした我々は、そこから5分ほど走ったところにある、
仁科峠の『牧場の家』に向かった。

ツーリングといえば"食"も大事な要素のひとつだ。

ソフトクリームと牛乳を食した。
普通にうまい。

この時点ですでに正午。
予定よりだいぶ遅い。
昼食は箱根湯本にある鮨屋でアジ丼を食べようと思っていたのだが、
どうしたものか。

その鮨屋へ向かうのも、東京へ帰るのもとりあえず方向は同じなので
とにかく出発することにした。

県道59号を走り、再び伊豆スカイラインへ。
湯河原の休憩所に着いた時点で全員ヘトヘト、
おなかはペコペコ。

私は売店でリポビタンDを買う始末。

目の前には東京へ帰る道、箱根ターンパイクの入り口が見える。

今からアジ丼を目指して走る気にもなれず、
それはまた別の機会でということで箱根ターンパイクに入った。

上りの海老名SAに着いた頃にはさらににボロボロになっていた。

『もう嫌だ。』

『オートバイに乗りたくない。』

『電車で帰りたい。』

『2週間はオートバイを見たくもない。』

これも毎度お馴染み、ツーリングの帰りは
疲れ果てていて必ずこうなるのだ。

しかし家に着いたらお風呂に入って、
いや、お風呂に入る前にビールジョッキとビールの缶を水で濡らして
冷凍庫に入れておいて、
お風呂から上がったらキンキンに冷えた最高のビールを飲むんだ。。
当たり前だがツーリングでは一滴のお酒も飲むことはできない。
じらしにじらされた後は通常の何倍もの幸福をもたらしてくれる。

想像しただけで顔がほころぶ。
キンキンに冷えたビールを心の支えに帰路に着いた。

やっとの思いで家に着き、革のパンツと革のジャケットを投げ捨て、
パンツ一丁のままベッドに倒れこんだ。

『ふわぁあああ疲れたぁぁぁぁぁああああああ』

そして最も恐れていた展開になった。

そのまま就寝。
いや、気絶といったほうが適切かもしれない。
全身の力を抜いた瞬間に気を失っていた。

『はっ!!!!』

と、気が付いたときには翌日の朝7時。
一瞬にして最高のお風呂と最高のビールが消えた。
あれだけ我慢して、我慢して、がんばったのに。

四捨五入するまでもなく三十路に近い大人が、
ここ最近最も絶望感を味わった瞬間である。

「嘘だ・・・俺の風呂とビールを返してくれ」

誰にともなくそうつぶやいた。

その日も晴天だった。

だけど気持ちは真っ暗な雨雲に覆われていて、
家に引きこもって過ごした。

自分の馬鹿野郎。

詰めが甘すぎる。

いつもそう。

自分の馬鹿野郎。

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