【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第13回
「慎独(しんどく)」(大学)
東洋思想の根本に、このような言葉があります。
「独り(ひとり)を慎む(つつしむ)- 慎独(しんどく)」
まさに、独りのときにいかに過ごすかが大事で、
独りのときこそが自己鍛錬の最も重要な場だということです。
「小人(しょうじん)閑居(かんきょ)して、不善(ふぜん)を為(な)す」
(「大学」より)
という言葉があります。これは、小人(立派でない人間・普通の人間)は、
閑居(独りのところ)で 不善(善くないこと、見苦しいこと、悪いこと)を起こすものだと言っています。
私の名前は、慎一(しんいち)といいます。
この慎独という言葉を知ったのは、20歳くらいになってからでしたが、
その頃までの人生では、本当の意味を殆ど理解しておらず、全く実践できていませんでした。
その後、東洋思想をいろいろな角度から学ぶようになり、
50歳を超えて、少しづつ自覚ができるようになりました。
まだまだ、至らないことばかりですが、少しでも社会にお役に立てるように
自分自身を整えていきたいと思います。
そして、この慎独の本質を理解し、自分に正直に楽しく生きていきたいものです。
参考:古来、私たち日本人の祖先は東洋古典を読むことによって、自らを磨き、高めてきました。
一言で東洋古典といっても膨大な数に及びますが、
その中で特に代表的な九つの経典を総称して「四書五経」といいます。
「四書」とは『論語』『大学』『中庸』『孟子』の四つの書物です。
「五経」とは『易経』『詩経』『書経』『礼記』『春秋』の五つを指します。
今回ご紹介している「大学」とはこの四書五経の四書のひとつです。
(参考文献) 『東洋思想に学ぶ人生の要点』(田口佳史著 致知出版社)