【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第28回
「五事を正す」(中江藤樹)
(ごじをただす)
江戸時代前期、その生きざまを「近江聖人(おうみせいじん)」と称えられた 儒学者の中江藤樹(なかえ とうじゅ)。
彼は「人は誰でも天から与えられた美しい心を持っている」と信じ、
その美しい心を「良知(りょうち)」と呼びました。
人は、生まれながらにして 美しい心を持っている。
けれでも、実際には多くの人は、自分の欲望によって、良知を曇らせてしまっている。
その曇りを祓う(はらう)には、自分の心を絶えず磨き続け、
鏡のように 輝かせておく努力が必要である。
そのために、藤樹は日常で5つのことを心掛けた方がいいと言っています。
これを「五事を正す」といいます。
「五事」とは、
「貌(ぼう)」 なごやかな 顔つきをし
「言(げん)」 思いやりのある言葉で話しかけ
「視(し)」 澄んだ目で物事を見つめ
「聴(ちょう)」 全身を耳にして誠実に相手の話を聴き
「思(し)」 まごころをもって相手に接する
日常を丁寧に、真心を込めて生きることが、曇りのない、美しい心を育んでいく。
まずは、こういうことを知り、意識することがすごく大事な気がしました。
言葉で言うのは簡単ですが、やはり実際に人と向き合い、
少しでも、近づけるように日々精進していきたいと思います。
参考 (『古事記が教えてくれる 天命追求型の生き方』白駒妃登美著 富田欣和監修より)