【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第16回
「円相(えんそう)」(中村天風財団著「中村天風一日一話」より)
中村天風と言えば、日本にヨガをもたらし、
数多くの政財界、皇族の方々に影響を与えた偉大な人物であります。
明治時代に満州地域の軍事探偵になり、帰国後に重い肺結核にかかり、
一念発起して心と身体の双方の回復を求めて、
病身をおしてアメリカ、ヨーロッパさらにインドのヨガの里にまで踏み入れ、
そこでインドのヨガ行者である聖者と出会い、
ついにいのちを育む自然界の生命力の流れを実感したのです。
それを基盤に、独自の心身統一法を見出し、多くの方々を心身ともに導いた
日本における精神世界の巨人のひとりであります。
数多くの珠玉の言葉を残していますが、それらは本を実際に読んで頂くと実感できますので、
あえて すごくシンプルな言葉をご紹介したいと思います。
円相(えんそう)とは、禅の問答などの場で
自分の悟りの境地を示すために描く円のことで、
円は欠けることのない絶対的な真理や境地を象徴して示したものであります。
そして、その円相を天風さんは、次のように表現しています。
「○(えん)なるものは剋するものなき円満な象徴である」
と、実にシンプルに深く表現しています。
剋するものなきとは、相手とつながり、戦わない、争わない、状態であります。
それは、相手と一体化していて、溶け合っている状態であり、
まさに円満な状態であります。まずは、自分自身がその状態の心をつくることによって、
様々な関係性を円満に築いていけるのではないかと感じました。
私も、会社名を「オープンマインド」にしたのも、そんな想いからつけました。
そのような想いを新たに持つという初心にかえり、
これからも自分の状態を円満にしていきたいと思います。
参考文献 『中村天風一日一話』(中村天風財団著 PHP研究所)