【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第181回
『箸(はし)の使い方』(仏教)
物心ついた頃、箸の使い方を教えてくれたのは
父方の祖母だったと記憶しています。明治生まれの厳格な祖母は、
食事の作法について常に厳しく躾けてくれました。
また、20代の頃にお世話になった和尚からも同様の指導を受け、
その原理原則は今でも大変ありがたく感じています。
箸の使い方における失礼にあたる13ヶ条を知っておくと役立ちます。
これらを知っておくと、大切な場面で恥ずかしい思いをせずに済むでしょう。
1、握りばし - 赤ちゃんのように箸を握って使わない
2、移りばし - 料理の上をあちこちつつかない
3、寄せばし - 食べたい料理だけをお皿ごと手前に寄せない
4、フォークばし - 食べ物を突き刺さない
5、ナイフばし - 両手で一本ずつ持って料理を切り分けない
6、スプーンばし - はさみにくいものを箸の上に乗せない
7、肘(ひじ)ばし - テーブルに肘をついて食べない(テレビを見ながら食べるとこの悪い癖がつきやすい)
8、渡しばし - お茶碗の上に箸を渡さない(これは「骨上げばし」とも呼ばれ、
葬儀の際の骨壺に箸を渡す行為を連想させるため縁起が悪いとされる)
9、振りばし - 会話に夢中になって箸をタクトのように振り回さない
10、くわえばし・ねぶりばし - 食事中に箸を口にくわえたり、なめたりしない
11、たたきばし - お酒に酔って箸でお茶碗をたたかない
12、掻(か)きばし - 食事中に箸で顔や鼻などをかかない
13、ようじばし - 箸を楊枝代わりに使わない
食事のマナーは、正しい箸の持ち方と使い方で決まります。
いかがでしょうか?当たり前のことでも、なかなか人に指導することは難しいものです。
和尚はこれらをわかりやすく、諭すように教えてくださいました。
少しでも何かのヒントになれば幸いです。
参考文献
『五分間法話集 八十八精選』大栗道榮著 国書刊行会
東京 愛宕神社