松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ふるさと納税④泉佐野市の立場で考えてみよう

2020-04-20 | 域外住民への関与
 泉佐野市の異変に気がついたのは、約10年くらい前である。

 大阪で一緒に研究活動をやった泉佐野市の職員の人が、市役所を辞めるという。まだ就職が厳しかった時代なので、不思議に思って聞いてみると、市は大赤字で、職員の給料は2割カットという。生活保護のほうがましといっていた。関空関連の過大投資のつけだという。

 職員の給料2割カットということは、市民サービスもカットになっているだろう。こうした状況を打開する命を受けた担当者はどうするかである。自分だったらどうするかである。

 ふるさと納税は、他の自治体の個人住民税や国による地方交付税を自分たちの町のサービスに転化する仕組みである。これを大々的にやったら、社会的に褒められたことではないことは、当然分かっている。分かっているが、ほかに、まちの経営を転換するすべなど、そうあるはずもない。

 自治体は、違法なことはやらない。返戻サービスについては、当時は決まりはなく、豪華は返礼サービスをやっても、別に違法でもない。その後、国から3割以内に抑えようという通知が来るが、強制力はない。グレーでもないのである(真っ白とは言えないかもしれないが)。そこで、やるなら、徹底してやろうと、関空が本拠だからといって、ピーチエアの券を出したり、換金性の強い返礼品を出す。

 いよいよ強制的にこれができなくなる前に、閉店サービスといって、アマゾンの券までおまけにつけるのは、やりすぎと思うが、ともかく、これで500億円集めて、いよいよ平常運転ができるようになった(職員の給料の2割カットも終わったようだ)。これからは、正直にやっていくつもりだというのが、泉佐野市の言い分だろう。

 ちなみに、こうした過去の行動を理由に、総務省は、ふるさと納税の指定団体から外すという仲間外れにするが、これは、優等生のいじめっ子のような感じで、感じが悪い。それが今回の裁判であるが、これは別に論じよう。

 泉佐野市以外の自治体も、基本は同じである。ともかく、この制度は、自分も過熱しないと、自分たちの個人住民税を他自治体に奪われてしまう制度である。流出を防止し、流入を増やすために、知恵を絞り、実際、「寄付者」が一番喜ぶのは、率のよい豪華商品なので、その競争になる。自然に成り行きである。これが制度設計の甘さといわれる所以である。

 泉佐野市では、この事業を誰がリードしているのだろう。担当者レベルではできないので、相当上の人が、リードしているのだと思う。自分は、悪者になってもという思いがあるのではないか。一度、その人に会ってみたいと思う。マッセにいったときに、そのあたりを聞いてみよう。
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