いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

5タラントン、2タラントン、1タラントン

2019-06-10 21:30:27 | 思い出の詩


もう50年前になってしまったが、
法学部の学生の頃、
最長老の教授が法学入門の講義を担当する、
というしきたりに遵って、
老教授が担当された。
まだ英米が世界の中心、と言う時代だったから、
法学の世界でも、欧米の法律が研究対象の中心であった。
老教授が、
聖書の中の、こんな話をされた。
西欧資本主義の精神の精髄を、
聖書の中に見ることができる。
それは、
旅に出る主人が、僕に金を預けた。
①ひとりに5タラントン
②もうひとりに2タラントン
③さらなる僕に1タラントン。
旅から帰った主人は、
①②の2人をほめた。
①の僕はさらに5タラントン稼ぎ
②の僕はさらに2タラントン稼ぎ
財産を増やしたからである。
ところが、
③の僕は、主人が怒るのを怖れて、
1タラントンを地中に埋めておいた。
主人は自分を怖れて1タラントンをとっておいた僕から、
それを取り上げ、他の僕に与えるようにしてしまった。
それなら、銀行に預けて利子をとればよかったのに、と。

これが、資本主義の原点となる考え方だというのである。
当時は、なんのこともないな、と思ったが、
のち、勉強をしていくうち、なるほどと思うことが多かった。

似たような考え方は、
マックス・ウェーバーの「プロテスタントの倫理と資本主義の精神」
にも同様の考え方にも潜んでいる。

初めて聴いた時、教授の見識を大事にして、
より深い勉強につなげておけばよかった、
と後悔した。

謙虚な研究姿勢が大事だ、と痛感したのだった。















































不快指数、赤いべこ~~英訳

2019-06-10 20:18:11 | 短歌


短歌の英訳について、書いたことがある。
日本の短歌が、英訳されることが多い。

今回は、俵万智作の2首を例にとって紹介しておきたい。

……

不快指数
信じて過ごす木曜日
元気がないのは天気のせいだ

It'sThursday,
which I will pass, believing
accident statics.
I don't feel well at all.
It's probably the weather.

……

吾の部屋の
キーホルダーにつながれて
時々首を振る
あかいべこ

There is attached
to the keyholder
for my room.
a small red cow who sometimes
pensively shakes her head.





























「グズ政」と「アーウー宰相」

2019-06-10 20:04:03 | 政治


日本には、「言霊」という言葉がある。
言葉の中に神が宿っている、という考え方である。
そのゆえもあってか、流暢に話す人への警戒感が生ずることもある。
とても頭のいい人が、スラスラ話さない場合がある。

戦前、戦中の米内光政がそうである。
当時の難関学校海軍兵学校の卒業生であり、
3か国語を身につけた、たいへんな教養人であったにもかかわらず、
公務や国会答弁でわずかしか話さない、という傾向があった。
そのため、「グズ政」というあだなを頂戴した。

同じように、
昭和の末期、宰相であった大平正芳は、
「あーうー」と、うなりながら、
ゆっくり話し、「アーウー宰相」と呼ばれた。
実際は、一橋大学を卒業したたいへんな教養人であり、
万巻の書を読んで咀嚼していた。

西郷隆盛をはじめとして、
立て板に水、と話す、とはお世辞にも言えない
すぐれた人々が、日本には、存在した。









型にはめてしまっていると……

2019-06-10 18:37:09 | 人生


あの人はこういう人だと決めつけて型にはめてしまっていると、相手がそこから外れたとき、驚きます。それは傲慢のしるしです。どんな人からもすばらしいもの、いただくものがあります。型をはずして相手を自由に見たときに、自分も相手も成長していくことができます。                バレンタイン・デ・スーザ

……

相手を見る目がくもっていると、そのままの姿を受け入れることができなくなるものだ。
そうしてできた偏見が、人を不幸にする。
特に、政界、実業界、宗教界で指導的な立場に立っている人は、気を付けなければならないとおもう。
偏見に満ちた上司や指導者にあたってしまった場合、不幸が生じる。すべての上に立つ人が、そのことを踏まえているとは限らないから、注意するべきだろう。
そういう人と、あるいは組織と関わっている場合、困難が生じる。
ここでは、一般的なことしか言えないが、その人なりに解決しなければならない問題である。
ある教典には、「教師になると罪が大きくなるから、教師になることは、なるべく避けなさい」と明記してある。