藤沢市辻堂で開かれれるつじどう会の短歌。
5人の同人が、自作を発表、合評する。
それぞれに、人生の明暗を過ごし、ここに集まるわけである。
①なりわいに何をし選ぶ二十五歳の君は 心の病を十余年過ごして
(解釈)
友人の息子が、十歳の時から不登校になり、心の病をかかえたまま、二十五歳になってしまった。
何もしてやれないし、先はかなり厳しい。せめて、心を寄せて、見守ろうと思うのである。
②赦したし 障がいゆえの物言いに 応えかえして錐でもまるる
(解釈)
障がいのある友人と優しく交わりたい。コンプレックスを感じさせないよう、つつましく付き合うことを心掛けている。ところが、突然不条理なことばを浴びせられ、心が驚く。赦したいのはやまやまだが、どうしても心がついてゆけない。悲哀を感じつつ、今日も生きていかねばならない。
③なべてみてやさしきひとのよにありてなぜにあらそうなぜにあらがう
(解釈)
人は優しいものだ、心底から信じ、交わりを結べば理解しあえる……などと考えるのは甘いことくらい、わかっている。しかし、現実は現在進行形で進んでいく。もし、神ならせば、上記のような言葉を世に告げるのだが……。