少々前の朝日新聞に、このような記事がありました。
「伝統療法 盗用防げ~インド、照合データベース化に躍起」
5000年の歴史を誇るインド伝統療法・アーユルヴェーダの処置法や製薬方法などのデータベース化が現在インドで進められている、という記事です。
伝統を次世代に残すため?~いいえ。
第一の目的は、諸外国でアーユルヴェーダ関連事項の特許取得が相次いでいるためです。つまりインドの伝統医学の叡智が外国で「私が発見しました~」と盗まれ続けているのです。
記事によると、きっかけは1995年、米国特許商標庁がターメリックの外傷治療法に特許を認めた事。もちろんインドは「アーユルヴェーダの知恵を利用しただけだ」として再審査を請求。そして97年、特許は取り消されました。しかしその後も各国でアーユルヴェーダ治療法や薬の特許申請は相次ぎました。その数1万2千件以上!!そして取り消し申請には1件につき1億円もかかるんだそうです!!
はっきり言って全件の取り消しは不可能です。その為インドでは防御のために諸外国の特許庁向けのアーユルヴェーダ治療法や薬のデータベース化を勧めているのです。
これらのデータベースの内容には500年以上前のインド医学古典書はもちろん、ユナニ医学やシッダ医学の内容も含まれているそうです。そして、このデータベースは日本語版も作られています。
伝統医療の知的所有権の保護を訴える国はインド以外ほとんどありません。もちろん中国も、日本も。つまりこの行動は、アーユルヴェーダの叡智がインドにとって宝である事を現しているのです。
アーユルヴェーダを学ぶ私達はインドの宝の一片を頂戴しているのですね。このアーユルヴェーダの知恵、大事にしたいです。そして正確に伝えていきたいです。
(2008年4月4日朝日新聞国際面参照)