見知らぬ街をさまよううちに陽が暮れかかる。
なにをしても、なにを見ても、昔の記憶に結びつき、思い起こさせられるときがある。
子ども時代の自分…
夜中にぜんそくの発作に苦しみ…
友だちもつくれず独りぼっちで絵を描いて…
大人になって…
帰る場所もなくなり…
親もなくし…
そして…
人とうまく付き合えなくて、やることなすことうまくいかず、どうしていいかわからなくて、毎晩のように涙が止ま . . . 本文を読む
いやなことを忘れたくて、酒を呑む。呑みつづける。 身体はふらふら力は抜けて、気持ちは悪く吐き気さえもよおして……なのに、頭はますます冴えてゆく。 外に出てみると、風もなく、あたりは静まり返り、ぼくの心ばかりうるさくざわめく。 すれ違う人、その眼、どこか光のあるその眼……可哀想にと云いつつ、ぼくを嘲り笑っている。そしてぼくを、ぼくの . . . 本文を読む