5度の世界女王に五輪メダル(長野銀・ソルトレイク銅)を持つミシェル・クワンさんの世界フィギュア殿堂入りが発表されました。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/winter/skate/figure/headlines/20120315-00000062-jij-spo.html
当時彼女は「ミス・パーフェクト」と称されていたものですが、それほど彼女がお気に入りというわけでもなかった私は常々
「パーフェクトって何をおいていうのだろう?」と思ったものでした。
クワンというとすなわち表現力、と言われますがそもそもフィギュアスケートにおいて「パーフェクト」という定義は非常に
あいまい且つ難しいものだと思います。ましてや「パーフェクトな表現力」ともなればなおさらです。
ことに新採点システムにおいてはその呼称は今後まず出てこないように思えます。なぜなら毎回基準が異なる判定により
ジャッジにそのすべてが委ねられているからです。
旧採点方式でももちろん演技の良しあしを決めるのは当然ジャッジでしたが、現状では顔の見えないジャッジが選手を一刀両断する
権利をすべて掌握しています。(ただし、彼らが出した結果とは別に我々ファンは各々全く異なる感想を抱くこともありますが)
実際の演技を見てパーフェクトだったと観衆が思っても、コーラーがひとたび鶴の声でDG(あるいはUR)と叫べばその演技は瑕疵ありと
見做されます。
また、これは境界線を引くのが難しい場合が多々あるのですが、3回転の予定が2回転になった時それをどこまでミスとするのかもケースにより
(あるいは選手により)扱いが違ってきます。SPとFSでもまた異なるでしょう。
TESにおいてはノーミスという判断はあっても、PCSにおいてはまだ新採点システム導入から長い年月がたっていないにもかかわらず、
アイスダンスや一部シングル選手によっては天井桟敷が見える点数が大盤振る舞いされるようになってきました。
それが確かに誰しも唸る納得の演技ならばいいかもしれませんが、果たしてそれは旧採点システムにおける「6.0」のような威力を持つもの
なのだろうかという疑念は正直払しょくできません。
本来人間に「パーフェクト」という呼称はあまり似つかわしくないような気がします。ただ、それとは別にミシェル・クワンさんが素晴らしい選手だったことは
疑う余地はないでしょう。
また新たな名が殿堂に刻まれるにあたり、個人的には選手たちに各々パーフェクトと思えるような納得のいく演技を見せてもらいたいと思います。
ジャッジも人の子、機械ではありませんので100パーセント「パーフェクトに」評価してもらえるとは限りませんが、本当に良い演技であれば我々見る者の
心と記憶には必ず残りますから。