歌うように語ろう

観劇や観戦(主にフィギュアスケート)等について語るブログです
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決して忘れられぬ日

2012年03月11日 | 日記

一年前の今日、14時46分発生の大地震。それに伴い押し寄せた大津波のことを忘れる日本人がいるでしょうか。

今日を普通通りに過ごした人も多かったでしょうが、まともな感性の持ち主ならば黙とうをささげるなり、それぞれの方法で

犠牲になられた方々のご冥福を祈り、被災された皆様への思いをまた深めた日になったことと思います。

もちろん私もその一人です。

 

忘れてしまえるような軽々しい出来事ではありません。未曽有の災害は、悲惨な犠牲のみならずいろんな場面で人間の本質とは

何かを私たちに考えさせるものとなりました。

 

一年前の3月11日は金曜日、そして地震や津波が起きたのは午後でした。

11時過ぎまで停電が続く中、暗闇の中で恐怖と寒さに震えながら猫と毛布にくるまっていたことは鮮明な記憶として残っています。

そして突然復旧した電気で照らされたリビングで、何が起きたかわからぬままTVを付けて真っ先に目に飛び込んできた光景は、

気仙沼の大火事の様子でした。画面いっぱいに広がる真っ赤な炎。我が家の近くにある消防署や市役所から聞こえてくる防災無線や

サイレンの音とは違うのだと自分に言い聞かせても、恐怖と絶望感に苛まれ、ひたすら涙があふれました。

異常な外の様子におびえ切った猫は必死に私にくっつき、一晩中喉を一度も鳴らさずにただ呼吸を繰り返すだけでした。

TVを見るのが怖かったですが、でも目が離せませんでした。まさにこの世の地獄としか言いようのない絶望的な光景を残酷に映したTV。

 

しかし、本当の地獄は翌日以降に待っていました。

人災としか言いようのない原発事故。

我先にと必要以上に物品を買いあさる人々のあさましい姿。

隣国の人間性を疑うネット上の「祝辞」(注:誤字に非ず)

それでも頻々と垂れ流される大本営発表は「ただちに影響はない」の一点張り。

 

人は確かに毎日を少しずつ歩んでいます。しかし、先が見えず何の情報もわからない状況で、どうして頑張れましょうか?

 

それでもわれわれ日本人は、その誇りにかけて互いに助け合い今日まで生きてきました。全ての日本人が団結したとは

言えませんが、それでも各々できることを精一杯やってきたからこそ、今日があると私は思っています。

そして台湾をはじめとする、ほとんどの良心的な諸外国が救援を差し伸べてくれた御恩も、感謝と共に決して忘れはしません。

しかし残念ながら、1年前と比べてどれだけ最悪の事態は打開されたでしょうか? 前進できたでしょうか?

 

小さな地方都市レベルの行政やボランティア、ましてや個人レベルで出来ることは限界があります。

やはり国政がしっかりしないと駄目なのだと、嫌というほどこの一年で思い知らされたことでした。

 

非常時において一番大切なことは、本当に必要とする情報を明確に提示した上で、正しく的確な対処方法を国民に知らしめること、

そのようなリーダーシップと組織力だと私は考えます。

一年前から本日に至るまで、それが我が国にあったでしょうか? 率直に言って「はい」と言える国民は皆無に近いでしょう。

 

もちろん自助努力、近隣との共助も重要です。しかし、それだけでは駄目なのです。なにより重要な「生きるための情報」を握っているのは

情報を集約している(はずの)国のトップなのですから。

 

いまだ混迷が続く現状において、今後を見据えれば見据えるほどにこの思いは強くなるばかりです。

 

それと、蛇足かもしれませんが民放に多い傾向に一言苦言を申したく思います。

この度の大震災で被災したのは東北三県だけではありません。確かに被害が特に甚大だったのは福島、宮城、岩手でしたが、茨城や千葉でも被災し、

そして東京でも死者は出ました。埼玉でも一部地域が全半壊しています。栃木や群馬も無事とは言い難いでしょう。(追記:北海道の一部も被災しています)

また、翌日に起きたことですっかり影に隠れてしまいましたが、長野県も大きな地震に見舞われていることを忘れてはならないと思います。

東北三県の甚大な被害はもちろん急務として対処すべきですが、その他被災道県のこともゆめゆめ疎かにしてはならない。私はそう考えています。


チャレンジカップ途中経過とリザルトページ案内

2012年03月10日 | フィギュアスケート

先にリザルトページを貼っておきますね。

http://archief.knsb.nl/upload/kunstrijden/kunstrijden2012/20120308/index.htm

 

ワールド直前ながらも、出場予定の選手がわりと参戦している大会です。

男女とも順当な滑り出しですが、男子はSP1位のアモディオ選手が棄権しているのが気にかかります。

大事ではないといいのですが。

そして女子の方も、シズニー選手の調子はあまり良くない模様です。まだ怪我が治っていないのでしょうか?

しかしそれならば、コーチともども4大陸への参加を志願することはなかったと思うので、フリーで挽回できればいいですね。 

 

明日は東日本大震災から1年。まだ問題のほとんどは山積したままです。

上記大会の結果などは夜にも入って来そうですが、せめて明日は静かに祈りをささげる日、そして今後の日本を考える日にしたいので、

明日はフィギュアカテゴリーではなく、私なりにこの日に思うことを綴らせて頂きたいと思います。ご了承下さい。


欧州と北米、そして日本のスケート流儀

2012年03月09日 | フィギュアスケート

欧州発祥の競技であるフィギュアスケートですが、今や北米やアジアばかりか南米など世界各地にその競技を広げている時代となりました。

そのグローバルな時代にふさわしい公正な採点がなされているか否かはともかく(苦笑)今日は各地域の傾向・流儀について現状に則しつつ

文献からもひもといていきたいと思います。なお、下線や強調は私(ぱんだねこ)によるものです。

 

まずは「君なら跳べる!」(佐藤信夫・久美子共著)より。信夫先生の分析(P.95)。以下一部抜粋です。

「シンプルだけどお客さんの喜ぶ、演技の流れを大切にするスケートがアメリカ流。内容盛りだくさんで、細かい技の精度を

追求し、ひとつひとつの技術をこなすのがヨーロッパ。とくにロシア流です。ごくごく簡単に言えばね。

でも今となっては北米流とか欧州流という言葉も、死語ですよね」

 

少し抽象的な表現ですが、なるほどなど伝わるものがあります。この本が上梓された頃には信夫先生は、男子は小塚選手、女子は

複数のトップ選手を見ていらっしゃいましたが、今でいうならば前者がどちらかというと小塚選手、後者は浅田選手が近いように思います。

もちろん二人ともれっきとした日本人選手ですので、強いて分類するならばという話になりますが。

 

上記の佐藤信夫先生のお話とはまた違った観点で、具体的かつ細分して外国選手の談話も紹介しながら書かれている著書もご紹介しましょう。

以前にも紹介した本ですが「フィギュアスケート 美のテクニック」(監修:樋口 豊/企画・執筆:野口美恵/モデル:太田由希奈)より

「欧州と北米 ベーシックスキルは?」(P.67)

 

「最も古典的なフィギュアを伝統的に守ってきたのは欧州だ。古き良きスケートを重視し、コンパルソリーやエッジワークの練習を徹底している。

プログラムでも、正確なカーブに乗り丸いトレースを描くことが求められてきた。ヨーロッパのリンクに行くと、トップ選手が毎日2時間近く

フットワークの練習をしている姿を見かける。

中でもロシアは、正確なエッジワークを崩すことなく、バレエの動きを取り入れることを重視ししてきた。またフィンランドでは氷へのタッチが

柔らかな選手が多く育っている。ラウラ・レピストは「スケーティングは毎日重点的に練習します。氷を蹴らないで、滑らせて進むようにというのはよく

言われます」と、やはり滑りの大切さを強調する。

一方、カナダなど北米は、スピード感のあるスケーティング力を大切にしてきた。ブライアン・オーサー、カート・ブラウニング、ジェフリー・バトルらが

その代表。スピードの出るエッジの一点に乗り、のびやかで雄大な滑りを披露するタイプが多く育っている。

(中略)

誤解してはいけないのは、欧州・北米とも、最終的に求めるものはエッジワークとスケーティングの両方であること。どちらの視点からアプローチして

いるかの違いだ。このちょっとした味付けの違いを知っておくと、スケートがより深く感じられるのではないだろうか」

 

よく、欧州の選手がスケーティングの練習に時間をしっかりと割くというのは聞きますが(コストナー選手なども、一時拠点が同じだったナガス選手が

そのように証言しています)そう言われてみれば欧州の選手たちはスケーティングスキルが高い選手が多いような気がします。

 

ここで気になるのが日本のスケート論ですが、ロシアのミーシンコーチのようなメソッドを明確にしているコーチが目立つことはないので、いくらか

分かりにくいようにも思えます。ただ、前述の佐藤信夫先生は「スピードに勝る魅力はない」と公言しておいでなので、野口さんの分類だと

北米寄りの考え方に近いと思われます。

後は良くも悪くも派閥による考え方や教え方が日本においても千差万別なので混沌として見えます。ただ、あくまで私見ですが、日本では

スケーティングの質を上げることよりもジャンプの難易度を上げることに熱心な傾向があるように見えます。それは過去にさかのぼっても、

枚挙にいとまがないほどに優秀なジャンパーだった選手が多いからかもしれませんが、だからといってそれが悪いともいえないでしょう。

なんといってもいかにスケーティングがすぐれていたとして、ジャンプが壊滅的に決まらなければ結果はついてきませんから。

この辺にひょっとして、ISUが日本選手を煙たがる(というより、冷遇する)根源的な要因が隠されているような気がする昨今です。

とはいえ、シングルにおいては選手層が厚い日本ですから、それぞれ個性的な選手がいます。スケーティングの良さでいえばやはり小塚選手や浅田選手は

国際的に見てもトップクラスの選手であることは間違いありませんし、ジャンプに至っても決して劣ることもありません。

 

ロシアをみて分かるように、優秀なトップ選手をコンスタントに排出するのは至難の業ですし、ほとんど奇跡のようなものです。また、仮に出てきたとしても

ルールがこうもころころ変わるようではその余波に飲まれて沈んでしまう可能性もはらんでいます。

それならばどうすればいいのか。国レベル(スケート連盟)ではより多様な選手の育成を進めればフィギュア大国としての歴史をさらに刻むよい方途でしょうし、

選手個人では極端に偏りすぎない程度に留意しつつも、より自分の得意なエレメンツを特化して磨いていくのが近道でありましょう。

しかし浅田選手のようにすべてのエレメンツを見直し磨きなおすという選手は例外中の例外です。おそらく今後もまず出てこないことでしょう。

それは彼女が若くして五輪以外の一通りのタイトルを持ち、既に一定の評価を得てなお至上の領域へと踏み込もうとしているから挑めることです。

 

野口さんではありませんが、究極としてはすべてのエレメンツの完成度と芸術性を極限まで高めたうえで完ぺきな演技を披露できる選手を目指すのが、

全ての地域のみならずISUにぐうの音も言わさぬ方途なのであろうと思います。それこそリスキーすぎる方針でする。


アスリートの品格

2012年03月05日 | スポーツ全般

週末のフィギュアJWを追いつつ、テニスのドバイ大会もひっそり追っていましたら、私が最も敬愛するテニスプレイヤーである

ロジャー・フェデラーがアンディ・マレーを破って優勝していました。彼ももう30歳、年間数十を超えるツアーやエキシビジョンマッチ、

そしてチャリティー活動などもこなしつつ四大大会でもずっと四強もしくは八強に入り続けているのはさすがです。

 

一方、錦織選手が負けて逆上しラケットをへし折ったと報道されておりますが、まあそれは若気の至りと申しますか、かつての名選手も

たいていやっているストレス解消法?なので、私は全然気にしておりません。

昔、悪童と呼ばれたマッケンローなどもっとあれこれやっておりましたが、それでも彼の素晴らしい競技者としての経歴はしっかり

残っています。

ちなみに前述のロジャーもラケットへし折りは数回やっているはず。へし折られるラケットの身になれば、少々もったいないというか

気の毒ではありますが、そのような行為=品格を疑われる行為と結びつけるのはあまりに短絡だと思います。

 

他の競技でもいえることですが、アスリートとして大事なことは競技への真摯な姿勢と、他の競技者へのリスペクトを忘れないことだと

私は考えています。逆説的に言うならば、いかによい成績を残そうとも、競技を著しく侮辱する行為(たとえばドーピングや八百長行為など)や

他の選手への過剰な挑発、侮蔑行為があるならば、その時こそ選手は批判されるべきでしょうし、品格を疑われても致し方ないものと思います。

 

競技によってスタンスの違いはあれど、真に戦うべきは己自身であることを知っているアスリートは、大抵一流と呼ばれるようになります。

錦織選手も徐々に上位に上がってきていますが、これからが正念場。うまくセルフコントロールする術を身に着け、ラケットにも周囲にも優しく

ふるまえる余裕が身につけばその時こそ本物の矜持が身についた時と言えましょう。

後はせっかくなのでジャパンオープン以外でも、彼のプレイを母国たる日本人に持って見せてもらえる機会があれば一層、競技人口も人気も

盛り上がると思います。

……まあ、日本には若干一名過剰に暑苦しい先輩がいるので多少やりにくいかもしれませんが(笑)またよいプレイを見せてもらいたいものです。

ロジャーも高く彼を買っているようですし、錦織選手にもより一層の健闘を祈りたいと思います。


ジュニアワールド男女シングルFS&総合結果

2012年03月04日 | フィギュアスケート

男子の追い上げやジュニア一年目選手の頑張りにほっとしたり、あまりにも不調な選手もいて心配になったり、悲喜こもごもな展開となりました。

男女それぞれフリー結果、ついで総合結果の順番でご紹介しましょう。

 

<男子FS>

1.ハン・ヤン   147.57

2.J.ファリス   146.54

3.J.ブラウン   144.70

4.デニス・テン  134.42

5.田中刑事    132.16

6.Z.ブッシュ   130.85

7.H.ZHANG  129.34

8.L.FIRUS   126.96

9.日野龍樹    124.75

10.宇野昌磨   118.21

 

田中選手の怒涛の追い込みに、昨季銀メダリストの維持を見たように思います。

いまからJスポでの放送を見るのが楽しみです。SPでの出遅れがもっと最小限で済めばと思うと残念ですが、

それはもはやすんだこと。ともあれ、来季につながる経験になればと思います。

<男子総合>

1.ハン・ヤン    222.45

2.J.ファリス    221.97

3.J.ブラウン   214.90

4.デニス・テン   208.20

7.田中刑事    189.86

9.日野龍樹    181.34

10.宇野昌磨   175.92

この結果により、来季のJWの枠は2枠となります。

 

<女子FS>

1.ユリア・リプニツカヤ   123.96

2.グレイシー・ゴールド   113.85

3.アデリナ・ソトニコワ    111.88

4.ポリーナ・シェレペン   108.03

5.ジジュン・リー       105.57

6.宮原知子          104.81

7.クリスティーナ・ガオ    98.43

 

<女子総合>

1.ユリア・リプニツカヤ     187.05

2.グレイシー・ゴールド     171.85

3.アデリナ・ソトニコワ     168.45

4.宮原知子            157.78

5.ジジュン・リー         157.31

12.佐藤未生           141.20

20.庄司理紗           113.08

 

表彰台の3人はもう鉄板だったようです。リプニツカヤ選手は来季GPシリーズはシニアでしょうね。

彼女は今のところコンボが3T+3Tや2A+3Tですが、練習ではあらゆる3+3コンボができるとのこと。

まあ練習と試合では違うんですが、いい意味で神経太そうな子なので来季からは入れてきそうですね。

ゴールド選手は来季どうなるのかな?

ソトニコワ選手はフリーではエラーつきでした。

日本勢では宮原選手の健闘が光りましたね。彼女はルッツフリップ両方エラーなしです。これか強みですね。

佐藤選手も頑張りました。

個人的には庄司選手が非常に心配なのですが、コンボのセカンドサードがみんなシングルだったのか謎です。

怪我でもしてしまったのでしょうか? ともあれ、来季に向けてゆっくり休んでまた練習すればよいと思います。若いんですしね。

 

あと20日もすれば今度はシニアのワールドです。男子にはクワド祭りをひそかに期待しつつ、女子も完成度だけでなくより高難度に挑む

選手たちの姿が見られればいいなと願っています。ま、ISUは女子には高難度不要と相変わらず思っていそうですがね。