カオスな喫茶店アーネンエルベの中でも特に目立つ組。
両儀式、遠野志貴、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
クロエ・フォン・アインツベルン、美遊・エーデルフェルトの5人は相変わらず談笑していた。
「で、型月の主人公2人がロリコン、
という事実を確認したわけだ。ああ、こっちに近寄るなよロリコン絶倫眼鏡」
Fateの主人公である衛宮士郎、月姫の主人公である遠野志貴。
両者は型月における代表的な主人公で、多くのSSでも主人公として活躍している。
公式の見解によれば両者の相性は大変悪い、と言われているが今回目出度いことに共通点としてロリコンであることが判明した。
「ご、誤解だ!両儀さん!!」
「そうよ!お兄ちゃんはロリコンじゃなくて、私の事が好きなだけなんだから!
あ、でも遠野さんは近づかないでください、というか私に話しかけないでください」
「同意、話しかけないで」
「な、なんでさーーー!!」
完全にロリコン絶倫眼鏡と認定された遠野志貴に味方は存在しなかった。
とはいえ、これ以上ロリコン談話をしてもしょうがないとクロエが口を開いた。
「遠野のお兄ちゃんがロリコンなのはもういいわ、軽蔑するだけだし。
秋のリメイク版FateのPVがまた新しく出たわけだけどみんなどう思う?」
今年の秋に放送が予定されているUfotable版リメイクFateを議題として持ち出す。
【Ufo版】Fate Stay night PV2
「すごかった!というか、お兄ちゃんカッコイイ!!」
「士郎さんの服装も新しくなっていた……すごく期待している」
そして大好きなお兄ちゃんが絡んだ話なだけにイリヤ、美遊の順で食いついた。
『空の境界』『Fate/Zero』と極めて評価が高いあのUfotableが製作しただけに2人に期待は高かった。
「俺はアーチャーとランサーの戦いが良かったかな。
ゼロでも戦いの描写が凄く良かっただけに今回もそうしたシーンが凄く楽しみだね」
アーチャー対ランサーのシーンはPVゆえに僅か数秒しか出ていなかった。
しかし、その数秒だけでも一体何人のアニメスタッフが屍となったのだろう?
そんな感想が出てしまうほど、精巧で完成度の高い描写であったため志貴は今後に期待を膨らませた。
「あれ、よく考えてみれば両儀さんはずっとUfotableで出演していましたよね?」
「ん、ああ。そういえばそうだったな」
イリヤがふと疑問を口する。
考えてみればここにいる全員はアニメに一度は出演したことがある。
しかし、 Ufotableで出演したのは唯一人両儀式だけであった。
「でも、オレはゼロみたく怪獣を聖剣でなぎ倒したり、固有結界を展開なんて派手さには欠けていたけどな」
「戦闘シーンとかそこらのアニメよりもずっと写実的で動きまくりだったじゃないの!
というか、行き成り銀幕デビューだったし!!……っく、これが銀幕ヒロインの余裕ね……」
クロエが式の言葉に激しく突っ込みを入れる。
確かにゼロほど派手ではなかったが、見事に再現された型月世界。
そして、ファンも大満足な丁寧な描写は全7章を好評を共に見事に完結した。
「大丈夫だよクロエ。遠野のお兄ちゃんなんて『アレ』だったし、わたし達はまだ希望が持てるよ」
「……うっ、そうだったわね。
たしかにそれを考えると恵まれているわ」
「あれは、悲惨」
「型月は世界観が難しいからな……」
イリヤの慰めにクロエが自分が如何に恵まれているか確認する。
美遊、式の順で型月の黒歴史を思い出すと、同情と哀れみの視線を月姫の主人公である志貴に向けた。
「あ、うん。
イリヤちゃん、そして皆言いたいことはわかるけど、
アレ呼ばりされると地味に傷つくから、あと同情の眼でみないで、お願いヤメテ」