二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

駆逐艦『神風』の記録~艦隊これくしょん、転生憑依物 第4話「確認試練」Ⅰ

2014-05-25 21:36:32 | 連載中SS

かれこれ数日、入院することになっていた。
金剛や榛名といった『艦これ』の大物人物にお見舞いから始まり、
自分が意識を回復したと聞いた艦娘達から入れ替わり、立ち代りお見舞いにやって来た。
みんな美人さんや、可愛い子さんで第6駆逐隊の面子が来たときはフナッシー!と興奮していたけど、常に死んだ表情のおかげでばれずにすんだ。

やったね!
さて、提督と金剛たちに後方に下がるように言われたけどNo!と言ってやった。
だって、どう考えて人類不利な戦況で自分だけ逃げてもいつかは最前線で戦うことになるのは予想できる。

だから、ここで逃げる事に意義が見出せない。
それにどうせ戦うなら、こうして出会った人と一緒に戦ったほうがいい気がしたからだ。

で、完治したボクは現在兵装を装備し、航行中だ。
その理由は叢雲を模擬戦をすることとなったからだ。

まあ、その理由は後方に下がることをボクは拒否したが記憶があやふや。
おまけに基本的な海軍用語、知識を知らず、戦い方もかなり欠落しているためかなり不安視されてしまった。

いや、さ。
ボクの決意だけは本当だが、現代の軍隊は蛮勇さが求めれているわけではない。
現実の自衛隊に入るにも試験に合格する必要があるように一定の知識が求められている。
いくら自分が前世はミリオタとはいえ、細かい海軍用語や海軍知識とか分からないし!
戦い方も艦砲の構え方とかは体は覚えていたけど、隊形の組み方とか基本的な戦術運営がボクにかけていた。

だから、本当に前線で戦う気力があるか否か?
それを試すための模擬戦をこれからするのであった。

「さて、ここらでいいわ。神風」

ボクの前を航行していた叢雲さんが振り返り停止する。
あ、はい、叢雲さん……っと停止。

「……少し手間取っているわね」

叢雲から容赦ない意見が出た。
うぐ、否定したところだけど否定できないのが辛い。
海面に浮き、動くことは自然と出来たけど、問題はその動作だ。
常に揺れ動く海面を滑るには慣れがまだまだ慣れが必要で動作がぎこちない。

ちなみに、艦娘の個性を示す服装だが自分はセイラー服ではなく上は旧海軍の詰襟紺色の下士官第1種軍服。
頭に金色の錨が描かれた海軍の制帽を被り、下は紺色のスカートに膝まである同じく紺色の靴下。

と、島風や雪風のように露出度が高くない装いであった。
ただし、スカートはいわゆる『二次元にしか存在しない短いスカート』なせいでなんか、その、スースーする。

ついでに、下着が見えそうで何だか気になって仕方がない。
ただ島風のように露出狂じみた服装じゃなかったから良かった。
もしも彼女並に露出度が高かったら、多分正気が保てなかったかもしれない。





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MMDモデル 艦これの【烈風妖精】が出ました!

2014-05-24 08:11:29 | 日常




【MMD艦これ】烈風妖精ver1.0

艦これの戦闘機、烈風が更新されました!
製作者は流星、彗星などの艦これ系列の航空機を作っています。

ぜひMMDで遊んでみてください!






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弓塚さつきの奮闘記外伝「午前10:53」Ⅰ

2014-05-23 23:34:01 | 連載中SS

「よっと、やれやれ」

喫茶アーネンエルベの路地裏。
全身刺繡男ことアヴェンジャーが溜まったゴミを出していた。
現在アーネンエルベはアヴェンジャー、マジカルアンバー、カレンの3人で運営しており力仕事はアヴェンジャー担当であった。

カレンはこうした力仕事をもっとも不得意としていたし、アンバーは調理に忙しい。
ゆえに、配膳担当のアヴェンジャーがこうした力仕事全般を担当していたが流石に疲労を覚えつつあった。

おまけに今はモーニングを終え、ランチタイムに入りつつある時間帯。
配膳だけでも大変にも関わらず、こうした雑務に追われているのだから仕方がない。
会計でカレン、調理はアンバーとある程度役割分担をしているためどこぞの牛丼チェーンのごとく。
一人で何でもしなければならないことはないが、それでもオーバーワークであることには変わりがない。

「というか、あの自称魔法少女が言っていた援軍はいつ来るんだ?」

だから、周囲に人がいないためアヴェンジャーがボヤく。
というか、今日の働きに給料でるのか?と疑問を覚えた所で人の気配。
それなら特にアヴェンジャーは気にしなかった問題はその人物が発する気配が堅気のものではなかった。

そう、とても濃厚な魔の空気を纏っていた。

「っ……おいおい、こんな昼間っから…………はい?」

反射的に振り返り、右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)を具現化する。
最弱を自認する英霊であるが、それでも意地というものがあり戦闘準備を整える。
もしも、相手が自分に敵意をむき出しにした瞬間、立ち向かうつもりであったが、アヴェンジャーは絶句した。

確かに堅気の雰囲気ではない。
だがその人物は何故かしま○ろうの着ぐるみを着込んでいた。

「……もしかして、アヴェンジャー?」

しま○じろうから声が漏れる。
年齢性別が不詳であったが、少女であるらしい。
この姿をあまり人前で出さず、かつ知っている人物は限られている。
にも関わらず、開口始めに自分の名前を言い当てたこの少女は何者か?
アヴェンジャーは警戒心と疑問が内心で浮かんだが、その思考は一度中断された。

「あ、弓塚さん来てくれたんですね!」

アンバーこと琥珀が裏のドアから顔を出し、少女の名前を呼んだ。
どうやら、目の前の着ぐるみの少女がアンバーが言っていた助っ人らしい。
にしてもここまで強力な魔が喫茶店の助っ人とは……と、自分の事を棚に上げてアヴェンジャーは呆れる。

「ああ、琥珀さん。いくらこれで日中歩けるとはいえ、この姿は狙っているでしょ!!」
「当然じゃありませんか!似合ってますよ」

ああ、そういえば声がしま○ろうに似ているどころかまんまだな。
とアヴェンジャーが悟り、いい感じに割烹着の悪魔に玩具にされてるのを見て。
思わず自分とカレンの関係を連想させ、親近感が沸いた。





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ヴァルハラの乙女 第11話「変化と後始末」

2014-05-20 19:56:43 | ヴァルハラの乙女


「なっ!?」
「宮藤っ!!」

ネウロイが自分達が駆けつける前に撃墜された。
そう、一安心したが、ネウロイが海面をバウンドしつつ宮藤とリーネに衝突した。

くそ、またか!?
また物語が変わっている。
視認するにしても遠いし立ち上った水柱でよく見えない。

……まて、無線は通じるはずだ。

「バルクホルンだ、繰り返す。バルクホルンだ」
『こち―――z---り―――み――』
「……っち!」

こんな時に限って雑音しか聞こえない。
舌打ちと共に焦りが生まれ、どうすればいいか分からなくなる。
だけど、隣で飛行しているシャーリーことイェーガー大尉がわたしの裾を引っ張り前を見るように促した。

「おい、見ろよ大尉」

声につられて前を見る。
そして、よくよく水柱が立った場所を凝視。
大質量の物体が墜落したため海面は水煙が視界を占拠していたが、収まりつつある。
その白く薄い蒸気のカーテンの中から青白く輝く巨大な円形――――ウィッチの青白いシールドが現れた。

……これを見るのは二度目であるが、流石主人公にしてメイン盾と言うべきか。
ウィッチ隊として入隊して数ヶ月で数十メートルクラスのシールドを展開できるなんて、なんというチート。
おまけに大質量の物体の衝撃に耐えきれるなんて、正直自分には無理だ。

む?
あ、海に落ちた。

『リーネさん、宮藤さん!!』
『大丈夫みたいだゾ、中佐。仲良く海に落ちたけど元気そうだぞ』

ミーナとエイラの通信が入る。
ミーナの方は慌てていたがエイラが言うとおり

『やったよ、宮藤さん!私できたよ!』
『わっ……リネットさん、すっごく大っきい……』

隊内無線で芳佳とリネットの声が響く。
リネットが初めての撃墜でテンションが高いようで、宮藤を抱きしめはしゃいでいる。

『ふぉ……』

そしてリネットの胸の中に顔を埋めている宮藤は歓喜のうぶ声を上げた。
よくみれば顔だけでなく手でもリネットの胸部装甲の柔らかみを堪能すべく彼女の胸を掴んでいる。
……まったく、相変わらずこのおっぱい星人は自重する気なんてさらさらないようだな、おい。

『本当に、ありがとう。
 宮藤さん、宮藤さんのおかげで私、ようやくみんなの役に立てたよ』

『そんなことないよ、あんな遠距離から狙撃できるのはリネットさん――――リーネちゃんだけだよ』

『え?』

突然のちゃん付けにリネットが戸惑う。
この会話を聞いているわたし達は宮藤の次の言葉に耳を傾ける。

『私達歳も近いし、それに階級も同じだし、
 私の事も芳佳でいいから、友達になってくれないかな?』

『……っ!』

リネットの驚きで息を飲んだ気配を無線越しにも感じ取れた。
そして、しばし間が空き周囲の人間が聞き耳を立てている中、リネットは答える。

『う、うん!!
 こっちこそよろしくね、芳佳ちゃん!』

この瞬間、リネットは宮藤と友達となった。

「青春しているねー」

そう言い、なんか子どもの成長を微笑ましげに見守るオカンのような表情をシャーリーは浮かべた。

「ルッキーニの様子を見るのも大変だろ、母さん」

「いやー、そうだなー。
 娘のルッキーニの面倒を見るのも、なかなか大変でね。
 お父さんも少しは世話を……って、いつから私がルッキーニのお母さんになったんだよ!!」

「いや、こっちこそ。
 いつからイェーガー大尉の旦那になったんだ!?」

自分から仕掛けたとはいえ何だこのノリ突っ込みは!?
シャーゲルなんてカップリングの要素にキマシタワーが建設されることなんて無いのに!

「あらあら、仲がいいわね」
「んだな」

なんて言っていたら、ミーナとエイラがやってきた。
いや、正しくはこちらが2人の方に来たから、合流したのだろう。

だが、2人に異議を申し立てたい。
シャーリーとは前世のまま男性ならぜひとも仲を深めて行きたいところだが、
生憎、今は女性で百合推進者でもないので、シャーゲルフラグなど有り得ないと!

「冗談はよしてくれ、わたしとイェーガー大尉が夫婦に見えるか?」

「いやー私はお似合いだと思うけどナー。
 ほら、堅物な旦那と豪快な妻。バランスがいいじゃないか」

によによ、とエイラは笑みを浮かべた。
使い魔が狐のせいで何だか狐が人を化かしている雰囲気だ。
実に殴りたい笑顔であったが、まあ今は任務中なので後でサーニャネタで弄るとしよう。

宮藤の誕生日がサーニャと同じ事をまだ知らないはずだし。
後は最近夜間哨戒で密かにとある男性と会話を交わしている事実とか、どんな反応をするか実に楽しみだ。

「話は変わるけどリネットさん、それに宮藤さんは上手くやってくれたわね」

くくく、と邪笑と共に妄想していたらミーナが話題を変えた。

「ああ、そうだなミーナ」

そうだな、確かにあの2人はよくやってくれた。
何せ客観的に解釈すれば主力が囮に引っかかり、残った味方も突破される。
そして、入隊して僅か数ヶ月そこらの2人で最後の最後の防衛線として見事にネウロイを撃墜。

と、今日の主役は間違いなく2人の物で、その功績は絶大だ。
こちらは万が一に備えて色々手を打っていたが、実を言うと全てが杞憂に終わって安堵している。
というのも、大尉の権限でできることなど限られていたし、仮に出来たとしてもネウロイには焼け石に水的なものでしかない。

だから、あの2人がネウロイを撃墜できて本当によかった。
2人を抜かれてしまえば直ぐに501の基地へネウロイはたどり着いてしまい、大勢の命が失われていただろう。

本当によくやってくれた。
だから海から引き上げた後で何か2人に奢ってあげ……あれ?

「あ、」
「……どうしたの、トゥルーデ?」

そういえば、アニメの水着会でストライカーユニットを履いたまま泳ぐ訓練のシーンで2人は溺れていたけど、今は浮いている。
この世界でも未だ、その訓練をしていないからこうして溺れず浮いていられるはずがない。
と、なれば答えは唯一つ。

『楽しい所すまないが、宮藤軍曹。
 ストライカーユニットと銃器はどうした?』

『え、あ、はい!海に墜落した時、重かったので両方とも捨てました!』

通信を入れて宮藤に聞いたが予想通り――――浮力を得るために装備を全て捨ててしまった。

『えっと、宮藤さん……もしかしてリネットさんも?』
『はい!リーネちゃんも全部捨てちゃいました!』

あ、ミーナの顔が引きつった。

『ぜ、ぜんぶ?』

『はい、全部です』

『芳佳ちゃん、軍の装備を捨てちゃったから聞き直しているんだよ。
 すみませんミーナ中佐、海に落ちたとき溺れそうになったから思わず捨ててしまいました。その、処罰は後で受けますから……』

空気を読まない、というより状況を察していない宮藤の変わりにリネットが謝罪する。
しかし、それで失った装備は戻ってくることはない、海底から引き上げるにもどう見ても不可能だし。
ミーナは装備紛失に呆れ、怒り、呆然と色々感情が入り混じっているらしく顔が青やら赤やら変化する。

何せまた予算とか装備を引っ張り出すのに根回しやら手続きやらが必要で、それが簡単にいかない。
元々装備の配布は常に不足気味だし、軍官僚組織とは思いのほか動きが鈍くかと言って装備がないから駄目でした、と言ういい訳も通じない。

だからツテやコネ、根回しを動員して装備や予算を貰うものである。
昔の英雄達はただ目先の敵をその槍で突くだけで済んだが、現代の兵士はただ槍を振り回せばいいものではない。
適切な装備、適度の休憩、規模に合った予算、その全てを整えてやる必要があり、わたし達はそれを揃える役割を担っている。

『……いえ、リネットさん。謝らなくていいわ。
 貴女達はまだストライカーユニットを装着しての水泳訓練をしていなかったから仕方がないわ。
 それに、命があれば何度でも戦えるし、そして今日はよく頑張ったわね。
 宮藤さん、リネットさん、2人とも……本当にありがとう、これからもよろしくね』

『は、はい!ありがとうございます!』

『これからも、よろしくお願いします、ミーナ中佐!』

が、ミーナはここで怒りの感情を出すのを抑え先にすべきこと。
つまりこの戦闘で生き残り戦果を挙げた2人を称えた。

ははぁ、流石ミーナだ。
ここで装備を紛失したことに怒鳴り散らさず褒めることが出来るなんて。

「お咎めなしかー、始末書仲間が出来ると期待したんだけどなー」

で、そこの不良士官ことシャーリーさん、貴女は一体何を期待していたんですか?
というか、始末書仲間とかやめてくれないかな、アレも一応こちらで読む必要があるから、ない方が書類仕事が増えなくいいから。

「というか、まだこの間の始末書を提出してしなかったな?」
「あれ……そうでしたっけ?」

ふふふ、と悪戯っぽく笑うオレンジ色の髪をした少女。
口元を手で押さえ、流し目でこちらを見る姿は整った顔立ちを相俟って野郎が一目見たら間違いなく一目ぼれをするだろう。
が、中身は男でも既に女性としての習慣を身に着けて幾星霜、そのような事には陥らない。

「で、いつ提出するんだ?今日か?明日か?それとも明後日か?」
「あ、やだな、そんな怖い顔をしなくていいじゃないか。明々後日には出す――――あいたたた!!」
「書類・は・期日・を・守り、手早・く・提出・す・る・こ・と!」

頭を掴み拳でぐりぐりと締め上げる。
ええい!書類ぐらい期日に間に合うように出せよ!
見るほうにも期日というものがあってだな……ってそこのお二人さん、何をニヤニヤこっちを見てるんですか?

「んふふふー、やっぱり仲がいいじゃないカ」
「あらあら」

いや、どこが!?
だいたい、未だわたしはシャーリーとは言わず、苗字で呼んでいるくらいだぞ。
よし、ではこれから如何に彼女とは衝突しているか話し、誤解を解こう。



※  ※  ※



「ふふふ、」

如何に部下に苦労しているかトゥルーデが言い。
横からシャーリーが茶々を入れると、2人は再度言い争う。

だが、そこに険悪な空気はない。
早い話、じゃれ合っているだけである。
トゥルーデは否定していたが、やはり2人の仲はいいのだ。
その光景に、501を纏める部隊長としてミーナは微笑ましく感じた。

(それに今日はあの2人もよくやってくれたし、今日はいい日ね)

嬉しい事はそれだではない。
芳佳、リネットの2人が見事にネウロイを撃墜し、兵士として戦えることが証明された。
特にリネットは以前は精神的にかなり不安要素があったが、これを機に自信を得たはずである。
彼女の成長はミーナ個人として嬉しく、また部隊長として戦力が増強された事実を歓迎した。

(戦術の幅も増えるし、後は――――)

後はこのまま穏やかな時間が過ぎれば文句はない、そうミーナは内心で呟いた。
しかし、真の意味でそのような時が訪れる日はこの戦争が終結した時であることをミーナは知っていた。

また、ミーナから見て少し変わっている所があるかもしれないが大切な戦友であるトゥルーデ。
実は転生者で、この世界における異端者とも言える存在しか知らなかったが、501は戦乱の渦中に巻き込まれることが確定していた。

そして、戦乱は転生者の想像を常に超える続け。
ミーナの平和への願いは、まだまだ先の話になるのであった。






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ヴァルハラの乙女 第11話「戦争Ⅱ」Ⅲ

2014-05-19 22:14:13 | 連載中SS

『えっと、宮藤さん……もしかしてリネットさんも?』
『はい!リーネちゃんも全部捨てちゃいました!』

あ、ミーナの顔が引きつった。

『ぜ、ぜんぶ?』

『はい、全部です』

『芳佳ちゃん、軍の装備を捨てちゃったから聞き直しているんだよ。
 すみませんミーナ中佐、海に落ちたとき溺れそうになったから思わず捨ててしまいました。その、処罰は後で受けますから……』

空気を読まない、というより状況を察していない宮藤の変わりにリネットが謝罪する。
しかし、それで失った装備は戻ってくることはない、海底から引き上げるにもどう見ても不可能だし。
ミーナは装備紛失に呆れ、怒り、呆然と色々感情が入り混じっているらしく顔が青やら赤やら変化する。

何せまた予算とか装備を引っ張り出すのに根回しやら手続きやらが必要で、それが簡単にいかない。
元々装備の配布は常に不足気味だし、軍官僚組織とは思いのほか動きが鈍くかと言って装備がないから駄目でした、と言ういい訳も通じない。

だからツテやコネ、根回しを動員して装備や予算を貰うものである。
昔の英雄達はただ目先の敵をその槍で突くだけで済んだが、現代の兵士はただ槍を振り回せばいいものではない。
適切な装備、適度の休憩、規模に合った予算、その全てを整えてやる必要があり、わたし達はそれを揃える役割を担っている。

『……いえ、リネットさん。謝らなくていいわ。
 貴女達はまだストライカーユニットを装着しての水泳訓練をしていなかったから仕方がないわ。
 それに、命があれば何度でも戦えるし、そして今日はよく頑張ったわね。
 宮藤さん、リネットさん、2人とも……本当にありがとう、これからもよろしくね』

『は、はい!ありがとうございます!』

『これからも、よろしくお願いします、ミーナ中佐!』

が、ミーナはここで怒りの感情を出すのを抑え先にすべきこと。
つまりこの戦闘で生き残り戦果を挙げた2人を称えた。

ははぁ、流石ミーナだ。
ここで装備を紛失したことに怒鳴り散らさず褒めることが出来るなんて。

「お咎めなしかー、始末書仲間が出来ると期待したんだけどなー」

で、そこの不良士官ことシャーリーさん、貴女は一体何を期待していたんですか?
というか、始末書仲間とかやめてくれないかな、アレも一応こちらで読む必要があるから、ない方が書類仕事が増えなくいいから。

「というか、まだこの間の始末書を提出してしなかったな?」
「あれ……そうでしたっけ?」

ふふふ、と悪戯っぽく笑うオレンジ色の髪をした少女。
口元を手で押さえ、流し目でこちらを見る姿は整った顔立ちを相俟って野郎が一目見たら間違いなく一目ぼれをするだろう。
が、中身は男でも既に女性としての習慣を身に着けて幾星霜、そのような事には陥らない。

「で、いつ提出するんだ?今日か?明日か?それとも明後日か?」
「あ、やだな、そんな怖い顔をしなくていいじゃないか。明々後日には出す――――あいたたた!!」
「書類・は・期日・を・守り、手早・く・提出・す・る・こ・と!」

頭を掴み拳でぐりぐりと締め上げる。
ええい!書類ぐらい期日に間に合うように出せよ!
見るほうにも期日というものがあってだな……ってそこのお二人さん、何をニヤニヤこっちを見てるんですか?

「んふふふー、やっぱり仲がいいじゃないカ」
「あらあら」

いや、どこが!?
だいたい、未だわたしはシャーリーとは言わず、苗字で呼んでいるくらいだぞ。
よし、ではこれから如何に彼女とは衝突しているか話し、誤解を解こうじゃないか。






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