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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
慣れて乗りこなしたいという要求も強い。
跨がると、元来足の短い私は足をつきかねている。
きき足は左なので、右へ倒れると、
右足の踏張りがきかない。
というよりも、コツがわからないのだ。
シートに跨がるにも一苦労する。
サヤカは、オン・オフ兼用のバイクだ。
山路のような悪路でも高速道路でも走れる。
カブで、この10年近く田圃の畦路ばかり走っていた。
特に、私は道らしくない道や山の路が好きだ。
その為、兼用車にしたのである。
クラッチの切り換えにも慣れていない為、
左手首・左腕が痛いので、
サポーターをはめて練習している。
事故から遠ざかるには、身体で覚えるしかない。
カブの経験からわかっている。
ギアチエンジもまだまだ、だ。
エンストもよくする。
初日に、ガソリン・スタンドで、
キル・スイッチに知らぬ間にふれていて大恥かいた。
カブにはキル・スイッチがなかったのだ。
キル・スイッチとは非常時に備えて、
エンジンを強制的に停止させるスイッチである。
何かの拍子にふれたのだろう。
ガソリンを入れ終わって、
いくらスタータ・ボタンを押してもかからない。
あせった。
あせったが、どうしようもない。
店員に聞いてみる。
「今日買ったばかりなのに、もう故障したのかな?」
店員はちょっと見て、
「お客さん、OFFになってますよ」と、
キル・スイッチを戻してくれた。
やはり、私のような初心者が多いのか、よく知っている。
思い出すと、今でも恥ずかしくなってくる。
その夜は、霧がかかっていた。
大神(おおみわ)神社に行った。
山全体が、ご神体となっている例の神社だ。
酒の神様でもある。
万葉集などにも詠みこまれている、この国最古の神社だ。
夜の神社はいい。
誰ひとりいない。
灯篭が灯っているので恐くはない。
静かで、こころが落ち着く。
パンパンと柏手を打つとあたり一面に響き渡る。
無事故・無違反を祈る。
巳の神杉が、心憎いほど高い。
しいーん。
つづく