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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
初冬の夕暮。
じっとしていると寒いが、その寒さに耐えてひとり座っていると
[これが人生そのものだ]という実感がこみあげてくる。
それがたまらなくいい。
こころが酔っ払ってしまうのだ。
あたりは薄暗い考えこむというよりも、ぼんやりとしていた。
剥き出しになった大岩。
古墳あとだと言われている。
わざとそうされたのか、自然にそうなったのか、よくは知らない。
いろいろ諸説もあるようだが、そういうことはあまり気にしない。
故意にしては、何故か中途半端な壊し方だし、
自然になったとすると、
人工的なカバーが何故なされなかったのか、
もう一つすっきりしない。
しかしながら、そんなことは私にとってはどちらでもよい。
今日は故意で、前回は自然。
その時々の気分に合わせて勝手に解釈を施す。
葬られた者が権力者であればあるほど、
その剥き晒しの巨石が物語る虚しさが、
よく伝わってくるのだ。
Oさんは、まだ内職をしているだろう。
啄木の「手をみる」の短歌が浮かんでくる。
近くの寺で鐘が鳴り始めた。
ゴオーン。
ゴオォーン。
撞き慣れた者の手による音が聞こえてくる。
アアーッ!
つづく