1.会計の目的・計算の重点
(1)静態論のもとでは、債権者保護のための企業の債務弁済力の算定・表示が会計の目的とされる。そのため、企業の財産計算が計算の重点とされる。
(2)動態論のもとでは、投資者保護のための収益力の算定・表示が会計の目的とされる。そのため、企業の損益計算が計算の重点とされる。
2.重視する財務諸表
(1)静態論の場合・・・貸借対照表。損益計算書の作成は行っていない。
(2)動態論の場合・・・損益計算書。貸借対照表は損益計算書に対して従たる地位に置かれる。
3.利益の計算
(1)静態論のもとでは、財産法により利益が計算される。
財産法とは、期首の純財産と期末の純財産との差額として利益を計算する方法である。
(2)動態論のもとでは、損益法により利益が計算される。
損益法とは、複式簿記により企業資本運動を描写し、これに基づいて収益と費用を把握し、その差額として利益を計算する方法である。
4.貸借対照表の作成方法
(1)静態論のもとでは、棚卸法により決算日に企業の財産と債務の実地棚卸を行って財産目録を作成し、これに基づいて貸借対照表を作成する。
(2)動態論のもとでは、誘導法により複式簿記による帳簿記録から資産、負債および純資産を誘導して貸借対照表を作成する。
5.資産の評価
(1)静態論の場合・・・売却時価で評価
(2)動態論の場合・・・取得原価に基づき評価