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ブルターニュ紀行 58 < サン・ナゼール と その周辺 > ブルターニュ南東端 ロワール河の世界の入り口

2021-06-16 00:15:02 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ/ホテル
巻頭写真 : サン・ナゼールの造船工廠で建造中の豪華客船

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
58



「ラ・ボール」から東へ12km
フランス第一の大河『ロワール』の河口の街が
『Saint-Nazaire サン・ナゼール』

『Pont de Saint-Nazaire サン・ナゼール橋』

フランスの東半分を南北に(北1/3 南2/3くらいに)分けて流れる「ロワール」は
全長1020km強

フランスという国は
「民族・言語・伝統・文化」の成り立ちと
「気候・風土」の自然条件が南北で異なっており
その境目が「ロワール河」なのです

「サン・ナゼール」は河口なので
非常に長いヨーロッパ最長の橋がかかっている
3356m





20世紀になって以来豪華客船の建造に特化した造船の町として名高い


街を走っていると
こういう光景が普通に車窓から飛び込んでくる


かなり完成形の姿を表しているものもあれば


最後部だけ建造中のサイトもあったり



舷側が覆われているのや


最上階甲板の建造中だったり


完成した船が進水式を済ませて
船主の元へ「納入」されるために出航するときは
岸壁にはお見送りの人々もいる


20世紀後半に入って
日本の造船業が安価な建造費で世界の造船業を壊滅させて
その日本も高度成長に伴い人件費が高騰すると韓国がマーケットを奪い
その韓国も中国に奪われ
という変遷を経てきた造船業だが
「豪華客船」となるといろいろなノウハウがモノを言うらしく
「サン・ナゼール」の牙城は揺るがない


『Queen Mary II』

そういえば
2003年の進水時には世界最大の豪華客船だった
総トン数148000トン
全長345m
高さ72m
という『クイーン・メリー2世号」も
ここ「サン・ナゼール」で建造された

ところで
フランス人は伝統文化を大層丁寧に大事に受け伝えているが
片方では
途方もなく現代的な良し悪しの判断の難しい物もしっかり評価する
それで
ここ「サン・ナゼール」では
町中にストリートアートが溢れているのです


中心部の至る所に
道路にカラーリングが施されていたり



なにやらけったいなオブジェが置かれていたり
そのオブジェは「シードラゴン 海龍」という作品で



実はこれ木製の遊具で
製作途中の段階から子供達は横で遊べた



横には
タコだか何だかよく分からない不思議なものもありました

ついでに横の建物の壁面に壁画も描いてみたり





そんな壁画を描くことを
中心街のあちこちの建物に拡大したり









ここは「美術学校」の前
なんだか納得

フランスは社会インフラの建造物を
古い建物を利用して大胆な改装を行ったり
目一杯斬新で奇抜なものを造ったりする傾向がある

旧駅舎を市立劇場に作り変えてしまった


これが駅正面全景


その内側を


木とコンクリートでこんな風にして



中がこうなった

そして
こんな物まで造ってしまった

『La Souscoupe ラ・スゥクープ』

「アンダー・ソーサー」(ティーカップの下の受け皿)
と命名された
「バレーボールとボクシング」の専用競技場です



中の観客席が「すり鉢状」になっているのが納得できる
しかし実にけったいな代物です

極めて伝統的である「市場」もこの町は近代的


正面の外観はそこそこですが


どうです
この光溢るる清潔感と言ったら



※  ※

ところで「サン・ナゼール」の対岸に
『Saint-Brévin-les-Pins サン・ブレヴァン・レ・パン』
「松林のサン・ブレヴァン」という町があって
そこに
なんとも奇妙奇天烈なオブジェがあるのです
波打ち際の
干潮時には歩いていけるほどの水の中に

『Sérpant de l'Océan』

その名も「ウミヘビ」という
巨大な骸骨

まずいかに大きいかをご覧いただこう


口の中に子供連れのお母さんが立っております


これを「けったいな」と呼ばずして
なんと呼ぼうや

2012年の「サン・ナゼール河口祭」のために
EU「ヨーロッパ地方開発基金」からの資金で
中国人彫刻家「Huang Yong Ping」に発注された総アルミニウム製の巨大な海蛇
の中骨
全長なんと130m!



笑ってうなされそうな
SF映画のワンシーンのような
でも時と状況によっては


神々しくすら見える海蛇さまではあります

さて
ロワールをまた渡って「サン・ナゼール」の側に戻って
町から西の郊外『ディシニャック』という場所に行ってみよう
ここには古代巨石文明の遺跡がある

『Tumulus de Dissignac』
目にも鮮やかな滴るような緑に只中にポツネンと一つだけ
5600年前からの時を伝えている円墳


この目線の高さで見ると
なにやらインベーダーゲームのキャラクターに見えなくもない


どうやら玄道が二本あるようだ


そして
玄道のかなりの部分が露出してしまっている


もっと大規模に覆われていたはずだ
残念ながら中には入れない


一面の畑の中のタイムマシン

※  ※

今度は「サンナゼール」の東北東側数キロ『トリニャック』
ここは且つて製鉄業で栄えた場所だった
と言う事は
戦後欧米の製鉄業がシェアーを日本に奪われ
韓国に移り
中国が奪い
今やインドネシアやインドに渡って壊滅した産業の痕跡

『Ancien Haut-Fournau de trignac トリニャックの高炉跡』


これまた
別のタイプのSF映画のセットの様な


あまり
恨みがましくも嘆きかなしむ様子も感じない廃墟遺産遺跡

※  ※

さらにもう少し東のロワールの川岸に『ドーニュ』という
現役の産業地もあります

『Raffinerie de Dogne』
ドーニュ石油精製基地


これはこれで
おどろおどろしいまでのエネルギッシュな存在感ではあります

※  ※

最後にホテルを一軒ご紹介しよう
「サン・ナゼール」から橋を渡ったすぐの対岸に『Hôtel Anne de Bretagne』







ここはレストランが特にお勧めです













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