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海から見た<エル・ブージ>
先回に引き続き
別の日のメニューのご紹介
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様々のその時々の珍しいハーブを
ジュースとスムージーの中間くらいの飲み物状にして
ハーブのジュースはアルプスの麓アヌシーの名シェフ
『マルク・ヴェイラ』もずっとやっていた
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まるで駄菓子のような
煎餅みたいな、塩こぶみたいな、薄焼きみたいな、甘納豆みたいな
でも
全部ヨーロッパの味
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カットした硬めのクリームチーズを薄焼きで挟んだ
みたいな
野菜や肉の分子結合を変えて、密度の高いゲル状にした
不思議な前菜
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オリーブや、セロリや、様々な食材を
か酸化窒素を触媒として
卵の黄身ほどの密度と硬さに纏めたフェラン氏の化学実験
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トリュフと腸詰などの極薄仕立て
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これは海老が大元
何種類もの貝類その他のエッセンスを
フィルム状してラッピングにしたり
ジェル状やペーストのソースにしたり
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小蛸と雲丹と
パパイヤと
何かのハーブのムースと
野菜のエッセンスで作った小麦粉は使わないパスタと
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これは
なんだったか思い出せない.....
ここで
主菜にあたる料理の前の
お口直しのシャーベット
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そして魚料理
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アンチョビー(片口鰯)とネギ
ソースは判別不明
ただ美味しいとしか言えなかった
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イベリコ豚の胸肉
そしてデザート
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見た目の不思議さ
想像と見た目と実際とのギャップの凄さ
味と香りと食感と温度差の驚き
素晴らしいレストランでした。。。
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厨房から客席の方を見つめる雄牛
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1989年頃のエピソード
20世紀最大のシェフの一人『ジョエル・ロビュッション』がバルセロナにビジネスでやってきた時、フェラン・アドリアの噂を聞いて、エル・ブージを訪れた。
230㎞を車を飛ばして。
品数が多いので予想以上に時間がかかり、あらかじめ店側につげてあった退店時間が来ててしまったジョエルが、アドリアさんに客席まで来ていただいて言った一言。
「私も料理人です。今夜最終便でパリに帰らないと明日の重要な会合に間に合いません。しかし、貴方の料理を途中で中断するわけにはいかない。予定時間になりましたが、このまま最後までお食事を楽しませてください。」
あの、ジョエル・ロビュッションが感動した
フェラン・アドリアの料理
私はそのエピソードを新聞で読んで、その夏の予約をトライしました。
幸運なことに、予約が取れたのです。
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なぜ「素晴らしいレストランでした」
と過去形なのか...
半年の営業で年間8000食に
予約の希望が毎年60万件
毎年常連客が「期待を込めて」驚きに来る。
営業していない半年は
それまで誰も考えつかなかった料理を考え出してお客様を驚かす為に
全身全霊を振り絞って翌年の準備をする繰り返し
彼は
空っぽになってしまったのでした
1985年にシェフとなり、2011年で休止を発表
2年間休んで再開したい
という予定が
2年経っても3年経っても
そしてとうとう再開しなかった
1000万ユーロ(13億円)以上の赤字を残して
本当に素晴らしレストランでした
ちなみに、あまりに予約が取れない不満を解消する為に
アンダルシア地方のグラナダ郊外の古い修道院を改造したホテルを買い取って
そこのレストランで宿泊客にのみ
1年落ち(前の年の)メニューを出すという事もやっていましたが
あまり上手く行かなかった様で
それもやめてしまっています。
2019年からバルセローナに
カジュアルな「ビストロ」をオープンした
2020年には元々の店『エル・ブージ』で
世界中の料理人に解放する「未来の料理のリサーチ」の為の
『エル・ブージ料理研究センター』を開所の予定でした。
新型コロナが起こるまでは。。。
今後の復活はあるのでしょうか
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