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ブルターニュ紀行 55 < ゲランド と その周辺 > ブルエール自然公園の南西の縁の塩沼地帯

2021-06-09 00:45:32 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : ゲランドの塩田での塩つくり作業

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
55


フランスには
塩の産地が大きく四種類に分かれる
海岸近くでの塩田天日製法
海岸近くでの塩水火力蒸発製法
内陸岩塩鉱脈地方の水汲み上げ地下水の火力煮沸製塩法
内陸岩塩鉱脈から掘り出す製塩法

この中の
天日による製塩法で名高い産地の中でも
「Noirmoutier ノワールムゥティエ」
「Guérande ゲランド」
の二カ所が双璧で
特に一旦途切れていた昔の手作業の小規模製塩技術を
地元の若者が戦後に復興した「ゲランド」が品質の上で最も高い評価を受けている


map by ⒸGoogleMap

地図の緑色の部分が「ブリエール自然公園」の範囲
そのヘリの部分に「ゲランド」の町があり
その左下の網目状の部分が塩田地帯

俯瞰すると
一面の塩田であることがわかる


より内陸地に近い方

Photo by ⒸFox3Shots
より海に近い方

まず町を見てみよう
大手門

旧市街を囲む城壁は
ほぼ完全に近い形で残っている


『Porte Saint-Michel 聖ミカエル門』

東西南北に4つある城門のうち
いわゆる大手門は東門で「サン・ミッシェル門」と呼ばれる


この辺りは堀も消滅して




したがって
跳ね橋も残っていない
この城門を入って



振り返ると
内側は例によって二つの塔ではなくて
一つの大きな塊



内側の「城門通り」は
結構小綺麗な商店が並ぶ感じの良い通りになっている


商店やカフェ


レストランなどを左右に進んで行くと
教会の欲の広場に出る

『Ancienne Collegiale Saint-Aubin 聖オーバン旧神学校聖堂』


週に4日
この広場に市がたつ


当然塩も売ってた


生産者直売なので
お土産用にお店で売っているものよりお安く買えます





この西側正面玄関口は普通開けない
南側面の入り口を使うのは他のブルターニュ各地の教会と共通の特徴

教会まで行くと
通りが入り組んでいる





城壁内は当然古い小さな家が並ぶが


中には
やや大型の意建物も無い事は無い



城壁の上も一部あるける



4つの城門の後の3つは


『Porte Vannetaise』
北門は「ヴァンヌの門」

『Porte de Bizienne』


西門は「ビジエンヌ門」

『Porte de salines』
南門は「塩田の門」

堀は
西門から北門の間と北門を通り過ぎて少しだけ
残っている







時計でいうと
9時から1時まで右回りに


あとは堀はすでに無いが
旧市街を取り囲む城壁の外側は
道路で一周できる


ではいよいよ
製塩の現場に行ってみよう


最初の作業は「田造り」
海からの水を少しでも長い距離を流せるように迷路のような畔を作る


それらの「塩の田」を
高度が10cm 程の差をつけて何面もつないでゆく


高さが少しずつ低くなる何面もの塩田に
海からの塩水を引き込む


くねくねと長い距離を流れて行く間に
塩水の水分が蒸発して塩分濃度が上がって行き


表面に塩の結晶が少しずつ形成され始める
その最初の結晶は塩水の泡から形成され香りと風味がずば抜けて良い


その最初の結晶を集めたものを『Fleur de Sel 塩の華』と呼び
採れる量は非常に少なく
それ以後のたくさん量が採れる粗塩とは取引価格が全く違うのです


毎日集めた結晶を一箇所にまとめておく





上の小さい杓子の色の白い小粒の方が「塩の華」
下の大きい方の杓子の色がやや濃い方が「Gros Sel 粗つぶ塩」


塩を集めた後には
水鳥がやってきて餌を漁っている



ところで
「ゲランド」のすぐ南の郊外「Careil カレイユ村」に
実に素朴な城が一軒


一応城壁はあるものの門構えだけ見ると
とても城には見えない

この門を入ると


『Château de Careil カレイユ城』

こうなります
そして左を向くと





この角度で見れば
確かに城塞ですが





このルネッサンスの屋根窓を見ると


一応城館とも言える
まあしかし


地方の小貴族の「代々の」家という雰囲気そのもの






この寝室などを見せられたらもう
「古城」以外の何物でもありません


しかし
この雰囲気は19世紀の館

大食堂の間は


近郊の人たちが
結婚式のパーティーなどに好んで利用されているそうです


気取らず
片意地張らず
先祖代々の屋敷を守ってきた城主の家族の自負を感じるものであります
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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