ワン・ウェイの件でサタンの誘惑に陥ることのなかったジンルは、二度とワン・ウェイに会ってはならないということも分かっていたが、あの晩の出来事と自分に対するワン・ウェイの熱い告白は、映画の一場面のように繰り返しジンルの心に甦ってきた……
そしてワン・ウェイから再び電話があると、ジンルの心は僅かに揺れた。「もう二度と二人では会わないわ。でも今まで通り、友達ではいられる。自分が節度を持ってしっかりしていれば、大丈夫なのよ。」そう考えて、ワン・ウェイからの電話に出て、しばらくおしゃべりをした。そんな事をしているうちに、ジンルはワン・ウェイがまた電話をしてくるだろうかと考えるようになり、それを楽しみにするようになっていった。ワン・ウェイが電話してくる度に、自然な対応をしようとジンルは自分を落ち着かせた……そんなことが続くうちに、ワン・ウェイからの電話は以前より頻繁になった。ジンルはワン・ウェイとの会話が終わって電話を切った後、いつも心が穏やかでなくなり、心が痛み、自分のしていることが神の心に沿わないのではないかと感じた。ジンルの心の痛みと不安は、正に神がジンルに対してあの時の教えを思い起こさせ、非難しているのだと気づいた。ジンルはすぐに神の前に出て祈った。「ああ神様!私はワン・ウェイとこのようなことを続けるべきではないと分かっています。でも自分の気持ちがコントロールできません。罪に向かっている自分をどうすることもできません。ああ神様!このようなことを続けてあなたを悲しませたくありません。ああ神様!どうか私を助けてください!」
その後ジンルはいくつか神の言葉を読み、自分を苦しみから解放する言葉を見つけた。「あなたたちはみな、罪と放蕩の場所で生活している。あなたたちは皆みだらで罪深い人々だ。今日、あなたたちは神を見ることができるだけではなく、もっと重要なことは、刑罰と裁きとを受け、こんなにも深い救い、つまり、神の最大の愛を受けているのだ。……あなたたちは、どうやって生活し、どのように生きていくのかを知らず、また、あなたたちは、このみだらで罪深い場所に住み、みだらで汚れた悪魔であるが、神は、あなたたちがいっそう堕落してゆくのを望まない。また神は、あなたたちがこのような汚れた場所で生活し、サタンの思うままに踏みつけられるのは見るにしのびない。あるいは、あなたたちがハデスに落ちてゆくままにすることなど望まない。神はただあなたたちの群れを獲得し、完全に救いたいと願っている。……」(「征服の働きの内幕(4)」より)。 説教と交わりの中で次のように書かれていた。「情欲に溺れた人たちが最終的にどうなるか、あなた方はもう知っていますね。大抵の場合、どうなるでしょうか。呪いを受けるでしょうか。何か良いものは生まれるでしょうか。そこに一生平安はないのです。情欲がもたらすものは混乱とトラブル、それは耐え難い苦しみです。向こう見ずに結婚相手を求めたり異常な求め方をしたりする者に幸せな結末があるでしょうか。良い結果が出ることなどなく、結局は呪いを受けるのです。軽々しく扱うことではありません。」(『いのちに入ることに関する交わりと説教』(VII)から「どのような人が神に完全にされるか」より) 「あなたがある特定の異性にみだらな思いを抱いた場合、その問題にどう対処するでしょうか。考えてみてください。あなたは最低限、結婚というものを尊重しなければなりません。もし相手に夫や妻がある場合、相手の結婚生活を尊重しなければなりません。相手の結婚生活の妨げになってはなりません。相手を尊重するということは、自分自身を尊重するということで、他の人たちを尊重することができないのであれば、自分自身も尊重できないのです。他の人たちを尊重するならば、自分自身も尊重するのです。もしあなたが結婚を尊重しないならば、あなたは人間性に欠けていることになります。もしあなたが結婚を尊重することができるならば、そして、他の人を愛し尊重することができるならば、その相手を傷つけることはしません。もし誰かがあなたに言い寄っても拒否することができるならば、あなたは適切に対処しているのです。そのような誘惑に負けないようにするには何が必要でしょうか。それは真理であり、あなたが真理を持ち合わせているならば、そのようなことをはっきりと知ることができます。この問題の本質をはっきりと理解して初めて、あなたは、自分の行動がどう相手を傷つけるか、相手の心がどう痛手を負うか、相手の人格をどこまで傷つけたかを知ることができ、そうして初めて、そのような行動を避けることができるのです。そのようなみだらな考えや思いが浮かんでも、あなたはいつでもそれを拒否することができ、そのようなものに興味を持つこともなくなり、注意を向けることもなくなります。あなたの心はそのようなものに揺れることはなくなるからです。(『いのちに入ることに関する交わりと説教』(VI)から「現在の教会に広がる三つの問題の解決に焦点を置く」より)
神の言葉と交わりの言葉を熟慮する中で、ジンルは、自分がサタンの狡猾な策略と本質、そして情欲にまかせるままにした場合にもたらされる害と結果を見抜くことが出来なかったために、抜け出せない感情の渦の中に落ちてしまったのだと知った。
そのことを思い返してみて初めて、ジンルは「愛は素晴らしい」「愛し合っていれば最後には結婚する」、「永遠を求めるより今を幸せに生きろ」、「愛することは罪ではない」といった考えを洗脳させていたのはサタンであり、サタンが、美しい愛を夢見るようにさせ、道徳や良心に制限されずにワン・ウェイのことばかり考えて連絡を取り合うようにさせて引き込まれていき、罪の中を生きて自分のしていることが過ちだと思わずに罪の喜びを求めるようにさせたのだと気づいた。
ジンルは自分の周りで不倫問題を抱えている何人もの人々、そして愛人を抱えている何人もの男性のことを考えた。一時の欲を満足させても、結局家族の争いや結婚生活の破滅を招き、時には三角関係が原因で殺人にまで発展するのだ。昨今の動きが広がっているが、大学で、公共の集会や情報公開の場で、メディアを通じて急速に広がっている。有名人や知識人が一夜だけの関係を持ったために非難され、信用を失い、みだらな関係の代名詞のようになってしまった人もいる。特に中国政府の当局者の多くは妻と愛人がいて、その多くは政治的に対立する者たちが不倫問題を利用して陰謀を企て、それによって重罪人として投獄されたりもしている。ジンルは、不倫関係に陥る人達はただ自分の情欲を満たすためだけにそのようなことをしていることをはっきりと理解していて、それは否定的なことであり、邪悪なことであり、人を泥沼に陥らせるだけのものだと分かっていた。賭け事で損をするともう一度やりたくなってしまう人たちが、最後には家族を経済的崩壊へと陥らせ、家族がばらばらになってしまうのと同じように、情欲に溺れる人々は一度そのような関係を持つと、同じことを繰り返すようになり、遂には姦淫の罪から抜け出せなくなるのだ。そのようにして最終的に彼らは自分たちの体を破壊し、将来どこまでもその問題を引きずり、生きる気力を失って自ら命を絶つ人さえいる。それだから、ジンルは情欲に任せていることは良くないと感じた。罪深いことで、天からの罰と怒りを招くことだと思った。そして人を破滅の道に引き込むことであると。そしてジンルは、サタン的哲学と理論は全て妄想であり偽りであり、真実ではなく、人を騙し、サタンが人を堕落させる道具であり、不倫に関わる男女の間に本当の愛はないことを理解した。もし本当の愛があるならば、その人には人間性があり、相手を敬い、結婚というものを敬い、相手を傷つけることは一切しない。不倫をする人間はみな互いの情欲をもてあそび、相手を利用しているのだ。ジンルがそれを理解した時、神の前に出て、こう祈った。「ああ神様!サタンの毒に侵されて生きる結果がどのようなものかやっと理解できました。これ以上サタンの毒に侵されて肉の欲の中に生きたくありません。ワン・ウェイと連絡を取り合いながら生活することは誠実さも品格もないものです。私はこんなことを続けることであなたの名前を辱めることなどしたくありませんし、クリスチャンとしての証しを失いたくありません。私に神様を畏れる心を与え、真理の原則を貫いて肉を捨て、危険を知った時にはそれを避け、神様の栄光のために真の人間の姿を生きる者とさせてください。」
ある日ジンルがスクーターで教会へ向かっていると、ちょうどワン・ウェイが車で通りかかった。ワン・ウェイはジンルを呼んだ。ジンルは答えたかったが、その瞬間に神様からの言葉と神の前での自分の祈りを思い出した。ジンルはこのままの状態を続けることはできないと分かっていたので、車の中のワン・ウェイを見ただけで何も言わなかった。ジンルはスクーターを止めることなく走らせていくと、ワン・ウェイが着いてきて、クラクションを鳴らした。心の中でジンルは神に祈り、サタンの策略から自分を守り、クリスチャンとしての証しになるようにと祈った。すると、ジンルの心は静まった。ジンルはワン・ウェイに言葉を返すこともしなかった。どうしたらワン・ウェイから逃げられるか、それだけを考えた。分かれ道に来たとき、ジンルはワン・ウェイが一方へ曲がるのを見て、急いで反対方向に向かってスクーターを走らせた……
ジンルはその後何度もワン・ウェイと路上で出会ったが、ワン・ウェイに対する態度を変えることはなかった。すると神はジンルに道を開いてくださった。ワン・ウェイに会う時はいつでも、ワン・ウェイが誰か知り合いにばったり会ったり、渋滞だったりして、ジンルに近づくことはできなくなった。ジンルはその後ワン・ウェイと接点を持たずに済むようになった。ジンルはケータイ番号を変え、二人はその後会うことも話すこともなくなった。
このような経験を思い起こし、ジンルは次の事を本当に理解するに至った。この誘惑だらけの世界では、日々サタンからのさまざまな誘惑に直面する。真理を持たない私たちはそのような誘惑を見分けることができず、サタンの毒によって生きてしまい、邪悪な世の流れに流されるままになり、罪に陥って抜け出せず、サタンに騙され傷つけられてしまう。サタンの様々な誘惑と巧みな策略を見抜きたいと思えば、神様の前に出て神様の言葉を身に付け、より多くの真理を理解し、肯定的な事と否定的な事の違いが分かるようにし、サタンの巧みな策略を完全に理解し、誰に会っても、どのような物事に直面しても、神様の言葉にしたがって物事を見、神様の言葉と一致して物事を行い、行動に原則が伴うようにする他に道はなく、そのようにして初めて、サタンの誘惑に陥らなくなる。神様の次の言葉にある通りだ。「人間が自分のものとすべき真理は神の言葉の中にある。それは、人類にとって最も有益で役立つ真理である。それは、あなたがたの体に必要な薬であり、糧であり、正常な人間性を回復させる助けになるものであり、人間が備えているべき真理である。あなたがたが神の言葉を実践すればするほど、あなたがたのいのちは一層早く開花するであろう。また、あなたがたが神の言葉を実践すればするほど、真理は一層明らかになる。あなたがたの霊的背丈が成長するに従って霊的世界のことをもっと明瞭に理解し、より力を得てサタンに勝利するであろう。」(「真理を理解したらそれを実行せよ」より)
ジンルは胸が一杯になって大きく呼吸し、そして思った。「神様が御言葉をもって私を救い、助けてくださらなかったならば、私はとっくに人間のあるべき姿を失って堕落し、誠実さも品位もないまま、不倫関係に陥るような酷いことをしていたわ。家庭のある人と関係を持ち、愛人になっていたんだわ。家庭を崩壊させた者のレッテルを貼られ、堕落した人生を生き、良心の呵責に苦しみながら残りの人生を生きることになっていたんだわ。」ジンルは心から神に感謝し、讃美した。ジンルは以前のような平穏な生活を取り戻し、教会で喜びを持って自分の本分を尽くし、神の言葉による裁きと清めを受け入れ、真の幸福の道をしっかりと歩んでいる。全ての栄光は神にあれ!
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