マンション住まいにおいて、上下階の騒音は一番厄介な問題と言えます。床の遮音性能につきましては、LL45と表示してあるものがほとんど、と言えるでしょう。このLL45という表示の意味は、ここで採用している床を、厚さ15㎝の鉄筋コンクリートのスラブに施工した場合、LL45相当になることを予想したものです。つまり、この床を使って、実験室で測定したらLL45でした、ということだけで、実際に出来上がった部屋で音を出して確認したわけではありません。床の遮音性能につきましては、平成12年に住宅の品質確保の促進等に関する法律が施行され、それに基づき、日本住宅性能基準が定められています。但し、この基準に強制力は無く任意で受けるようになっています。この基準は以下のようになっています。
性能 重量衝撃音 生活実感 軽量衝撃音 生活実感
性能 重量衝撃音 生活実感 軽量衝撃音 生活実感
基準 (LH) (LL)
5等級 LH‐50以上 ドスンと重い音が、 LL‐45以上 スプーンを落とすと、
小さく聞こえる かすかに聞こえる
4等級 LH‐55以上 ドスンと重い音が、 LL‐50以上 イスを引きずる音が、
聞こえる 聞こえる
聞こえる 聞こえる
3等級 LH‐60以上 ドスンと重い音が、 LL‐55以上 上階の生活行為が、
よく聞こえる わかる
よく聞こえる わかる
2等級以下は通常はありませんので省略します。以上のような基準がありますので、分譲会社もLL45という数字にこだわります。軽量衝撃音であるLLよりも重量衝撃音のLHの数値が大事と思いますが、この数値は表記していないことが多いです。
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床の遮音については、建築基準法で何も規定されていませんので、上階の音がいくら大きく聞こえても、法律に照らし合わせて、欠陥だ、と主張する事は出来ません。裁判になっても、我慢できる範囲か、そうでないか、というあいまいな感覚で争うことになります。マンション生活で最も気になる音の問題ですが、現状は発展途上の状況です。消費者が望んでいるのは、この床の全体的な遮音性能はこうです、と分かる基準で明確に表してもらうことですが、残念ながら、そこまでになっていません。(810)