PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

PSW求人情報(7)

2010年09月09日 13時41分42秒 | PSWのお仕事

昨夜は、午前3時半まで、家で宿題、しこしこやってました。
今日は、午前中、会議二つ。
ボ~ッとするかと思ってたら、わりと元気で、司会とかしてました。
僕、まだまだ、結構、いけるかも~♪
…とか思ったりして…(^o^)

午後は、この後、本郷の文京学院大学へ。
明日からの「リカバリー全国フォーラム2010」の仕込み設営です。
初日、全体会ホールの責任者なので、音響さんとも打ち合わせないと。
夜は、トークライブの打合せ。
帰りは、何時になるのやら…(^_^;)。

「リカバリーフォーラム」は、既に事前申込み800名。
当日参加を加えると、やはり1000名、超えるでしょうね。
分科会によっては、既に定員を超えており、入れないところも。
コンボの皆さん、フル回転です。
なんとか、無事、乗り切れますように♪(^-^)

閑話休題。
<(_ _)>

本日のお題は、「PSW求人」です。
長谷川病院の和田さんから、昨日、お電話頂いて「経験者求む」と。
経験者は、タイミングとマッチング次第ですよね。
広く公募とのことなので、データで概要を送ってもらいました。
こんなブログでも、少しでも、お役に立てば…。
(^_^)

途中採用ですが、実質的な増員になるそうです。
アディクション部門を担当するPSWを求めているそうです。
東京のPSWなら、ご存じでしょうけど。
相当、忙しい職場であることは確かですよ。
「やってみたい!」と興味のある方は、下記にお問い合わせ下さい。
(^o^)


※画像は、キャンパス内の小径。木漏れ日が美しい季節です。


☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆


長谷川病院 精神保健福祉士募集

採用予定日 2010年12月 (応相談)
就業場所 東京都三鷹市大沢2-20-36 長谷川病院
業務内容 精神科病院における相談援助・入退院支援・心理教育業務
雇用形態 正職員
雇用期間 常勤 (試用期間あり)
就業時間 9時~17時
時間外  不定 (業務状況に応じて)
給与条件 当院規定による (経験による加算有)
保険   各種保険完備 退職金制度:有
休日   日祝日に加え月4日、夏季休暇・年末年始
応募資格 精神保健福祉士資格保持者 3年以上の実務経験を有する方
     特にアルコール依存症の治療に経験・関心のある方
募集人員 1名
応募方法 電話連絡のうえ、履歴書・職務経歴書をお送りください。
書類審査が通過した方に後日面接日を通知いたします。
(応募書類不返却)
問合せ先 長谷川病院医療社会事業部 佐藤宛 ℡ 0422-31-8600(代表)
     


PSWを考えているあなたへ

2010年09月07日 15時44分47秒 | PSWのお仕事

Hさん、メッセージ、ありがとうございました。
今、宿題に追われていて、なかなか返事ができないで、すみませんね。

Hさんは今、精神保健福祉士を目指すことを、考えておられるのですね?
うれしいですね、そういう方から、メッセージを頂けるのは。

ネットで色々調べていたら、このブログにたどり着いたということでしょうか?
「精神保健福祉士」とかで検索かけると、ヒットするんですかね?

普通の大学を出てるなら、受験資格を得るためには一般養成施設に通うことが必要ですね。
でも、たしかに授業料等百万円以上かかりますから、半端な気持ちでは始められませんね。

今の仕事を続けながら、通信教育でという手もありますけどね。
通信教育だと、だいたいどこも授業料等で40万円くらいでしょうか。

ただ、実習期間やスクーリングもありますし、仕事を休めるかがネックになってきます。
実習は、現状でも90時間(約12日間)、新カリに移行すると210時間必要ですし。

今の仕事を辞めて、通学できる環境があるなら、その方が良いとは思います。
ひとりで学習するのと、リアルに教員と対面して仲間と教室で学ぶのとは、違いますしね。

Hさんのこと何も知らないので、PSWがあなたに向いているかどうか、わからないです。
この仕事に向いてる、向いてないと、他人が決めるものでもないと思いますし。

でも、他者とかかわることに、喜びを感じられるかどうかが、ポイントだとは思います。
新しい出会いや、他者とコミュニケーションをとるのが苦痛な方は、しんどいでしょうね。

それから、情緒的に不安定な方だと、ストレスフルな状況になった時、心配ですね。
怒りや攻撃を向けられる時もありますし、スタッフチームで対立する時もありますからね。

自身の体験から、リカバリーPSWをめざし、チャレンジされる方もいらっしゃいますが。
勉強して資格は得ても、なかなか仕事には結びついていない方が多いのも事実です。

PSWの現状を、ネットの掲示板等で意見求めると、超ネガティブですよね(笑)
どんなに豊かな体験ができる素晴らしい仕事か、と説くポジティブな意見は皆無です。

現場での不平と不満と愚痴が、ネット上で一気に噴出している感じですね。
希望にあふれる若い皆さんに、お薦めできないという意見が、結構多いですよね。

病院に勤務しても、雑用ばかり押し付けられて、学んだこと全然活かせない、とか。
地域で勤務しても、収入は驚くほど低く、結婚して生活できない、とか。

ネットの影響か、最近PSWを志向する人が減ってしまい、養成校も減少に転じています。
有資格者4万人を数えて、供給が需要を既に上回ってきているという指摘もあります。

そういうネガティブな側面はありますし、否定しがたい現実もあります。
でも一方で、PSWという仕事のポジティブな側面があるのも事実です。

この国で、最も立ち後れた貧しい医療と福祉の分野で、PSWは仕事をしてきています。
PSWたちが、精神科医療を変え、地域の資源を作ってきたと言っても良いと思います。

PSWたちが頑張って来られたのは、やはり当事者の笑顔や感謝があったからでしょう。
PSWは、対象者である精神障害者によって、生かされてきている職種と言えます。

厳しい状況の各現場で、PSWは一貫して、精神障害者の社会的復権を訴えてきました。
経験を積んできたPSWは、一定の自負と責任感を持って仕事をしているはずです。

職種としてのミッションを、自分のものとできるかは、人により様々ですが。
PSWが活躍する領域も拡大しつつあり、職種としての存在感も高まってきています。

未だに、待遇面での評価が社会的に追いついていないのが、極めて残念ですけども。
同じPSWでも、職務内容、職場環境や待遇は、人によって本当に千差万別ですし。

Hさんが、どんな生き方、どんな仕事をしていきたいかが、選択の基準だと思います。
まだ時間はありますから、どうぞ、じっくりと振り返って考えてみて下さい

精神保健福祉士という仕事があると知った時、なぜ目指してみようと思ったのか?
自分は、PSWになって、どんな仕事をして、生きていきたいと思ったのか?

できれば、街の精神保健福祉ボランティア講座とか、受講してみてはいかがでしょう?
色々な現場やPSW、当事者と出会い、リアルに考えられるのではないでしょうか?

そこから、自分が本当にしたいことは何なのか、明らかになると思いますよ。
たとえPSWを目指さないという選択でも、あなたの結論を、僕は尊重したいと思います。

あなたから頂いたメッセージへの回答を、こうして、記事にしてみました。
他の方にも読んでもらって、色んな助言を受けられたらいいなと思ってのことです。

もし、この記事という取り上げ方が心外で、イヤだったら、率直に言って下さい。
この記事、ボツにしてもいいですし、別の形にして再投稿することも考えます。

あなたにとって、最良の選択を…。
あくまでも、基準は、あなた自身です。


※画像は、都庁第2庁舎の一角にある彫刻。タイトル、忘れました~。

PSW国際委員会、起動!

2010年09月06日 10時13分11秒 | PSWのお仕事

日本精神保健福祉士協会の国際委員会が、先週土曜日(4日)、動き始めました。
まだ、これから委員を補充していって、陣容を整えていかねばなりませんが。
前任の木村真理子さんから、今年度、僕が国際委員長を引き継ぐことになりました。

たしか6月の上旬、協会常務理事の木太直人さんから電話がかかってきて…。
国際委員会の委員長就任を、要請されました。
沖縄総会の開催間際、まだそこだけ委員長が空席で、決まってなかったようです。
業務指針作成委員長を終えて、暇なんじゃないか、と思われたんでしょうかね?(笑)

最初、さすがに断りました。
自分が国際委員長という器でないことは、僕自身が一番良くわかっているからです。
日本国内の現場で、ちまちまと、現場の仕事をしてきただけのPSWです。
何も国際関係の実績なんかありませんし、ミスキャストだと思いました。

前任の国際委員長である木村真理子さん(日本女子大学教授)は、全然違います。
彼女とは10年前に、いわゆる「ルコント・レポート」を一緒に監訳させて頂きましたが。
(『精神保健福祉』第50号及び『リハビリテーション研究』第111~112号に掲載)
海外渡航歴も豊富で、アジアをはじめ、海外のソーシャルワーク事情にも詳しい方ですし。
英語が堪能で、通訳もできて、今や日本のPSWを代表して海外にも発信しておられます。
その木村さんが、日本をしばらく離れることになったので、後任に、と言われても…(汗)

何よりも、僕は英語が出来ません(爆)
何か他の外国語ができればいいのですが、日本語しか知りません。
海外の方と話せと言われても、通訳がいなければ、ちんぷんかんぷんです。
ルコントさんが来たときも、僕は木村さんの横でふんふんと聞いているだけでした。
そんな国際委員長では、PSW協会の品位にもかかわります。

ついでにカミングアウトしてしまうと、僕は外国に行ったことがありません(恥)
今や誰もが当たり前に出かけている、海外旅行ということをしたことがないのです。
海外(海の外)で行ったことのあるのは、沖縄本島と八丈島だけです(笑)
住宅ローンやら子どもの教育費やら、海外旅行に行く余裕なんてありませんでしたし。
あれこれ仕事を抱えていると、まとまった休みを取ることなんかできませんでしたしね。

パスポートを持っていない国際委員長なんて、おかしいと思いませんか?
僕が言うのも、なんですが…。
まぁ、パスポート自体は、その気になればいつでも取れますけど。
海外に行ったことのない国際委員長なんて、ふつう考えて、あり得ないですよね?

そんなこんなで、木太さんには「無茶だ」ということを、さんざん言いました。
木太さんからは「困ったときの龍龍さん頼み…!」とか、おだて上げられ…。
「当面の課題は来年日本で開催のAPC21運営なので、英語出来なくても大丈夫」
とか言われて、日本語でいいなら大丈夫かな?とか、その気にさせられてしまい…。
結局、口説き落とされたような感じですかね。

そんな軽率な、国際委員長です。
まるで権威のない、国際委員長です。
外国語がまるで話せない、国際委員長です。
なんとも頼りない、申し訳ないような国際委員長です。

でも、とりあえず就任した以上は、自分のミッションは果たしたいと思います。
来年7月に日本で行われるAPC21に向けて、微力を注ぎたいと思います。

日本PSW協会の皆さん、どうか、ご協力をお願いします。
社会福祉専門職協議会の各団体の皆さん、どうぞ、お付き合いお願いします。
そして、APC21組織委員会の関係団体の皆さん、どうぞ、よろしくお願いします。

あらら?もう午前3時半です。
ブログには、明日、学校に行ってからアップします。

※APC21(あぱっく21?)については、ホームページをご覧下さい。
Japaneseを押すと、日本語版の案内が出て来ます。
21th Asia Pacific Social Work Conference (第21回アジア太平洋ソーシャルワーク会議)
→http://www.apswc2011.org/


PSW求人情報(6)

2010年09月03日 19時25分21秒 | PSWのお仕事

一時期、供給過剰と言われていた精神保健福祉士ですが。
最近は、時代を反映してか、医療機関で公募かけても、そんなに人が集まらないそうで。
こんな個人ブログでも、求人情報アップの要請を頂きます。

どこも、少しでも実務経験がある人を求めているのは、やはり即戦力を求めている訳で。
自分が採用者側であれば、たしかに現場経験のある人が安心、という感覚は頷けます。
まずは、PSWとしてどこかで働き始めることが、将来の道を開くことになりそうです。

以前、このブログでもお知らせした、小平市の松見病院も、更にPSW増員らしいです。
社会福祉士では、横浜の東戸塚記念病院が、MSWが補充されていないと聞きましたが。
もう、さすがに充足しましたかね?(未確認)
どうぞ、直接求人担当者にお問い合わせ下さい。

なお、今回、常勤PSWの求人じゃありませんが、求人情報を一件。
岩崎香さんから、ご紹介頂きました。

区の生活保護のアルバイト(非常勤職員)、募集です。
時給1935円というのは、国の機関より破格にいいですね。
月16日勤務だけで、24万円くらいでしょうか。
条件さえ合えば、やりがいのある、良いお仕事かも知れませんね。

地域移行・自立支援に取り組んでいる豊島区の募集です。
精神保健福祉士で、実務経験がある人が欲しいらしいですけど。
採用予定は、11月1日。
意欲のある方、どうぞ応募してみて下さい。

詳しくは、豊島区のホームページに載っているので、ご確認下さい。

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

東京都豊島区求人

居宅生活安定化支援員
採用人数:1名
仕事内容:生活保護を受給している精神障害者の方に対する相談・訪問・諸手続きの援助など
給与:1935円 ~
勤務地:東京都豊島区
勤務時間:8:30~17:15(休憩時間:60分)
休日:土日
最寄り駅:池袋駅・東池袋駅・東池袋四丁目駅・北池袋駅・雑司ヶ谷駅・大塚駅・巣鴨新田駅
応募資格・学歴:不問
経験:経験あれば尚可
資格:保健師あるいは精神保健福祉士
雇用形態:パート労働者(非常勤職員(年度更新の可能性あり))
雇用期間:臨時(4ヶ月以上)(平成22年11月 1日~平成23年 3月31日)
年齢:不問
待遇
育児休業取得実績:なし
加入保険:雇用 労災 健康 厚生
備考:月16日勤務 
有給休暇は法定通り、試用期間なし 
※問合せは、平成22年8月25日より開始 
就業場所禁煙/制服貸与なし/増員
*作文テーマ「精神障害者が地域で安心して生活するために援助者がすべきこと」について文書(400字詰め原稿用紙3枚以内)を作成し、履歴書(写真添付、A4版、過去に経験した職務を記入)、資格を証明する登録証のコピー、紹介状を添えて、直接持参もしくは郵送して下さい。 
※平成22年9月24日(必着)提出文書は返却不可


※画像は、新宿新都心近くの東京乗馬倶楽部とドコモタワー。
 記事内容とは一切関係ありません。


識者の意見

2010年08月11日 11時21分49秒 | PSWのお仕事

何か事件の報道があると「識者の意見」が紹介されます。
その事件の当事者を知るはずもないのに、批評をします。

中には、色々背景の事情や情報を得た上で、正鵠を得たコメントを寄せている人もいます。
でも、多くはごく一般的な捉え方や、何も知らないで論評しているコメントも目立ちます。

マスコミ精神医学者としか言いようのない、困った精神科医もいます。
何が「識者の意見」なのかと、反論したくなるコメントも散見されます。

かく言う僕も、新聞の「識者の意見」にコメントを寄せたことがあります。
大学のセンセイになってから、初めて体験することでした。

ある日、新聞社の人が突然電話をしてきて、コメントを求められます。
こちらは、事件の概要等詳しいことを知りませんから、情報の提供を依頼します。

新聞社から何十枚というファックスや、添付ファイルが送られてきます。
数時間後に、あるいは翌日、記者が電話をしてきて、インタビューを受けます。

それを短いコメントに記者がまとめ、記事になります。
30分、40分お話ししても、残念ながら新聞に載る時は、ごく数行です。

いずれも、悲惨な事件でした。
「なんで…」と絶句してしまうような、事件もありました。

医療観察法では、当然ですが、精神障害者が対象事件を起こすことが前提になっています。
そして、その被害者は、多くは身内の家族であることが、知られています。

でも、一方で、精神障害者側が被害者である事件も、実は多数存在します。
追い詰められたご家族が、切羽詰まった状況で、当事者を殺めてしまう…。

マスコミで報道されるのは、事実関係のごく一部です。
オモテに出てこない、捜査資料や裁判資料を読むと、事件の背景が浮かび上がってきます。

実は、事件に至るプロセスで、専門職と呼ばれる人のかかわりの問題があったりします。
いや、むしろ、必ずと言って良いほど、専門職のかかわりのまずさが背景にあります。

それは、単に事件を予見できなかったということだけではありません。
何気ない専門職のひとことが、当事者と家族を追い詰めているのです。

もし、その場面で、その専門職が、そのひとことを、発していなければ…。
もし、その当事者が、その家族が、その病院でなく、その担当者でなければ…。

事件を取材した記者が「識者の意見」を求めるのは、単に無知なためではありません。
むしろ、事件の取材を通して、とても真摯に、実に多くのことを学んでいます。

でも、記事を書くのに、事件を伝えるのに、何か足りない点を感じているようです。
釈然としない割り切れ無さを感じて、「識者」に答えを求めているのです。

その真摯なジャーナリストとしての姿勢に、やはり真摯に向き合わなければと思います。
そして、その事件が訴えていることを、少しでも多くの人に伝えなければと思います。

いろいろな矛盾や問題が、鬱積した結果として起きているのが「事件」です。
突発的なようでも、実はそこに至るプロセスには、いろいろな原因があります。

僕は、たいした「識者」ではありません。
でも、臨床現場にいたPSWだからこそ、言える部分もあると思っています。

もし、残念な事件が起きてしまったら、皆さんも考えてみて下さい。
報道されている事実関係の背後に、どんな生活のプロセスが、生きてきた物語があるのか。

事件の当事者たちの、辛く哀しい想い…。
想像力が、彼岸の他者と、僕たちをつなぎます。



医療福祉連携士とソーシャルワーカー

2010年07月02日 11時44分41秒 | PSWのお仕事

以前、このブログに、チラッと書きましたが…。
「医療福祉連携士」養成のための講習会が、今夏スタートします。
「医療福祉分野の連携・調整のエキスパートを養成する」ことを掲げています。
病院の地域医療連携室や、地域包括支援センターのスタッフを対象にした、初めての認定資格制度です。

主催は、NPO法人の日本医療マネジメント学会(JHM)です。
僕は会員でもないのに、ひょんなことからプロジェクトに関わることとなり、講師までやる羽目になりました。

ご存じのように、一般科の医療資源は、現在、明確にシビアに機能分化されています。
精神科も退院促進にシフトしつつあると言っても、まだ医療再編の蚊帳の外です。
特に急性期医療の提供病院は、どこも退院調整看護師などを配置して地域医療連携室を設けています。
圏域内の限られた医療資源を、最大限効率的に活用するというのが国の趣旨です。
国の増大する総医療費抑制というシナリオの中で、だいぶすったもんだがありましたが。
状態に応じて患者が医療機関を移動する、病病連携、病診連携が、今やもう当たり前です。

在宅介護面では、地域包括支援センターが定着し、社会福祉士等が配置されています。
でも、医療や福祉の連携をトータルにコーディネートする力は乏しく、これまでも課題でした。
高齢患者が急増している中で、医療提供や福祉利用、在宅医療や介護支援の体制整備が求められています。
患者・家族が最適な治療・療養環境を確保できるよう、医療、福祉、介護、行政等をつなぎ、橋渡ししていく人が必要です。

SWの立場からは「医療ソーシャルワーカーがいるじゃないか」と言いたいところですが。
一昔前のように、医療福祉相談室が単独ですべて回せるほど、業務量は甘くありません。
医師・看護・事務その他の多職種と協働しなければ、業務をこなせなくなっています。
むしろ、地域連携別立てで、MSWは純粋に福祉相談だけ、という病院はもう少ないのでは?
退院・転院調整だけやってきたMSWだと、地域医療福祉連携という流れに呑み込まれつつあります。

JHMは、全国・地方の学術集会の他に、クリティカルパスセミナー等開催している学会です。
「医療福祉連携士」講習会でも、地域連携クリティカルパスの演習等が組まれています。
医療・福祉連携パスの策定を進めることで、地域での連携を構築し、患者の共有ツールとして集積していくことを目指しています。

今回の資格化で、JHMが掲げている目的は…
地域の急性期医療機関から、在宅支援までの切れ目のないサービスの効率的提供。
患者にとって最適な連携を推進するための、医療と福祉のコーディネート。
地域における、限られた医療資源や福祉資源の効率的利用の促進と、医療福祉連携のシステムの構築に貢献。
…といった言葉に集約されます。
「医療福祉連携士」の育成と認定制度を創設することで、連携を実のあるものにしていきたいということに尽きるでしょう。

この講習会の履修が、学会認定の「医療福祉連携士」資格試験の受験資格の必須要件とされています。
学会の認定資格であって、国家資格ではないので、外部からどうこう言われる筋合いはないと言えば、それまでですが。
SW団体との意見交換等、事前に為されて然るべきだったのではと、個人的には思います。

次代のこの国の医療提供体制をにらんで、新しいバスが次々に発車しつつあります。
医療介護福祉士、医療メディエーター、医師事務作業補助者、相談支援センター相談員…。
医療現場というバスターミナルで、見慣れないバスに戸惑う専門職種もかなりいます。
実は、一番出遅れているのが、福祉の担い手を自称してきたSWなのかも知れません。

新しいバスの行き先と路線は、まだハッキリしません。
それでも、今後の病院経営を展望して、トレンドを志向する多くの職種が集まるでしょう。
あなたがSWなら、「医療福祉連携士」という新しいバスに乗りますか?
それとも、時代遅れと言われても、従来の「相談室」という独自路線を守りますか?

この医療福祉連携士の資格は、今後SWの世界で物議を醸すでしょう。
僕が、このプロジェクトに関わる中で、それなりの物議を醸したように…。
この資格ができて、一番問われているのは、実はSWのアイデンティティなのかも知れません。

参考までに、第1回医療福祉連携士講習会の案内の一部を以下に載せておきます。
詳しくは、日本医療マネジメント学会のホームページで確認して下さい。
→ http://jhm.umin.jp/


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特定非営利活動法人日本医療マネジメント学会
2010年度 医療福祉連携講習会
テーマ:医療・福祉分野の連携・調整のエキスパートを養成する。

1.会期
(1) 共通科目講習:2010年7月31日(土)、8月1日(日)、8月28日(土)、8月29日(日)の4日間
(2) 専門科目講習(A)医学系科目:9月11日(土)、9月12日(日)の2日間
(3) 専門科目講習(B)社会福祉学系科目:9月25日(土)、9月26日(日)の2日間
(4) 課題講習:10月23日(土)、10月24日(日) の2日間

2.会場
日本医科大学 教育棟2階 講堂

3.プログラム( )内は担当講師
<共通科目講習>概論等18時間、演習6時間、実習12時間以上

概論
1.地域医療連携概論 (武藤正樹)
2.医療政策・関係法規概論 (大久保一郎)
3.医療保険制度・診療報酬概論 (大久保一郎)
4.福祉連携論 (相原和子)
5.ケアマネジメント論 (古屋龍太)
6.病院運営概論 (高橋利毅)
7.医療情報システム概論 (津村 宏)
8.クリティカルパス概論 (野村一俊)

演習
9.クリティカルパス演習1 (野村一俊)
10.クリティカルパス演習2 (野村一俊)
11.地域連携クリティカルパス概論1 (武藤正樹)
12.地域連携クリティカルパス概論2 (武藤正樹)
13.地域連携クリティカルパス演習1 (野村一俊、藤本俊一郎、武藤正樹)
14.地域連携クリティカルパス演習2 (野村一俊、藤本俊一郎、武藤正樹)
15.在宅医療概論 (岡田晋吾)
16.カウンセリング概論 (矢永由里子)

実習
17.地域医療連携実習 (下村裕見子、武藤正樹)
18.地域連携クリティカルパス実習 (野村一俊、武藤正樹)
(17.及び18.ともに必須)

<専門科目講習>
○A 医学系科目  概論12時間、実習12時間以上

概論
19.臨床医学概論1(呼吸器系、循環器系) (西澤延宏)
20.臨床医学概論2(脳・神経系) (中村雅彦)
21.臨床医学概論3(感覚器系) (中村雅彦)
22.臨床医学概論4(筋・骨格系) (西澤延宏)
23.臨床医学概論5(消化器系・内分泌系) (宇治原誠) 
24.臨床医学概論6(泌尿器系、生殖器系) (金岡 剛)
25.臨床看護学概論 (橋口広子)
26.地域看護学概論 (秋山正子)

実習
27.臨床医学実習(急性期病院) (野村一俊)
28.臨床医学実習(回復期病院) (森 照明)
29.臨床医学実習(地域診療所) (宮澤総介)
30.臨床医学実習(保健所、市町村保健センター等) (清水 博)
(27.~30.のうち、少なくとも2施設を履修)

○B 社会・福祉学系  概論12時間、実習12時間以上
概論

31.医療福祉論 (小松美智子)
32.精神保健福祉論 (古屋龍太)
33.退院支援論1 (生駒真由美)
34.退院支援論2 (生駒真由美)
35.地域移行支援論 (古屋龍太)
36.福祉制度論 (小松美智子)
37.福祉施設論 (古屋龍太)
38.在宅介護論 (小林月子)

実習
39.介護療養型施設実習(入所施設) (小宅比佐子)
40.在宅福祉実習(包括支援センター等) (武藤正樹、下村裕見子)
41.福祉行政実習(市町村、福祉事務所、児童相談所等) (清水 博)
42.居宅介護支援施設実習(在宅施設) (古屋龍太)
(39.~42.のうち、少なくとも2施設を履修)

課題講習・ワークショップ・発表会
(大久保一郎、小宅比佐子、清水 博、野村総介、武藤正樹、木佐貫篤、下村裕見子、古屋龍太、矢永由里子)

特別講演
(長谷川敏彦)

※実習について
・実習は受講者が希望し、学会が承認した施設(自施設を含む)において履修。
・共通科目実習は2施設、専門科目実習(医学系科目及び社会・福祉学系)は各4施設のうち
夫々2施設を選択履修し、その後レポートを提出、評価を受ける。

講師一覧(50音順)
相原和子(国際医療福祉大学)
秋山正子(ケアーズ・白十字訪問看護ステーション)
生駒真由美(国立病院機構愛媛病院)
宇治原誠(国立病院機構横浜医療センター)
大久保一郎(筑波大学大学院)
岡田晋吾(北美原クリニック)
小宅比佐子(国立精神・神経医療研究センター)
金岡 毅(元福岡大学)
木佐貫篤(宮崎県立日南病院)
小林月子(岐阜大学)
小松美智子(武蔵大学)
清水 博(神奈川県平塚保健福祉事務所)
下村裕見子(東京女子医科大学病院)
高橋俊毅(国立病院機構横浜医療センター)
津村 宏(東京医療保健大学)
中村雅彦(波田総合病院)
西澤延宏(佐久総合病院)
野村一俊(国立病院機構熊本医療センター)
橋口広子(国立病院機構新潟病院)
長谷川敏彦(日本医科大学)
藤本俊一郎(香川労災病院)
古屋龍太(日本社会事業大学大学院)
武藤正樹(国際医療福祉大学大学院)
宮澤総介(なるみやハートクリニック)
森 照明(湯布院厚生年金病院)
矢永由里子(財団法人エイズ予防財団)
ほか

※ 授業の順番及び講師については、変更になる場合あり。履修の有効期限は2年間。

受講資格

・医療福祉連携士を目指す方もしくは医療福祉連携分野に関心の高い方
・日本医療マネジメント学会会員であることを原則としますが、非学会員でも受講できます。
<医療福祉連携士認定試験の受験を希望される方へ>
・学会認定試験ですので、学会会員であることが必要です。
・本講習の履修が必須です。
但し以下の免除規定があります。
・医療系の国家資格を有する者は医学系科目講習の、社会・福祉学系国家資格およびこれに準ずる資格(例:臨床心理士等)を有する者は、社会・福祉学系科目講習の履修を申請により免除できます。
・大学院において、医療福祉連携に関する課題により、修士号・博士号を取得した者は、医学系科目講習および社会・福祉学系科目講習の履修を申請により免除できます。試験の免除はありません。

参加費
100,000円(但し、非学会員110,000円)
但し、医学系科目講習または社会・福祉学系科目講習のいずれかの履修の免除をうけた場合
80,000円(非学会員 90,000円)
医学系科目講習および社会福祉学系科目講習の両方の履修の免除をうけた場合
60,000円(非学会員70,000円)
※ 実習、宿泊および交通に掛かる費用は自己負担。参加費の有効期間は2年間。

定員
150名(定員を満たし次第締め切らせて頂きますので、お早めにお申込み下さい。)

受付期間
2010年6月1日(月) ~ 2010年7月9日(金)
問い合わせ先
日本医療マネジメント学会事務局
〒860-0806 熊本市花畑町1-1三井生命熊本ビル3階
TEL 096-359-9099  FAX 096-359-1606
E-mail jhm@space.ocn.ne.jp 


PSW求人情報(5)

2010年07月01日 10時34分25秒 | PSWのお仕事

小平市の松見病院で、PSWを募集しています。
この夏から、勤務できる人を求めているとのこと。

現在、PSWは二人体制ですが、今回一人増員することになったそうです。
PSWの古川玲衣さんは、僕の分担だった厚労省の委託研究班に参加してくれていました。

この病院のことは、以前、このブログで触れたことがあります。
昨年9月5日に掲載した「退院支援に向けての胎動」という記事です。

社会復帰に向けた取り組みは、お世辞にも活発とは言えない病院でした。
長期に療養している入院患者さんが、圧倒的に多かった病院といえます。

その病院で、PSWはコツコツと、患者さんに寄り添いながら頑張って来ました。
医師や看護、地域生活支援センターと協働しながら、退院支援に取り組んで来ました。

最近では、従来からのOTに加え、院内でSSTや服薬教室も始めています。
訪問看護も開始し、入院中心から地域医療型の病院へ、大きく転換しつつあります。

退院・地域移行支援等に関心のある方には、非常にやりがいのある職場といえるでしょう。
新しい精神医療の形を創っていく、意欲あるPSWの応募が期待されています。

応募の概要は下記の通りですが、詳しくはお問い合わせ下さい。
以前載せた、松見病院についての記事を再掲しておきますので、ご参照下さい。


◆松見病院 PSW急募◆

職  種:精神保健福祉士有資格者
採用人数:1人
業務内容:病院における相談業務全般
雇用形態:正職員
就業時間: 月~金 9:00~17:00
      第1・3・5土 9:00~12:00
賃  金:月給20万円~ 賞与年2回 交通費支給 
問い合わせ先:医療法人十字会 松見病院 採用担当まで
        〒187-0031 小平市小川東町2-11-1 042-341-3211(代)


★ ☆ 以下「退院支援に向けての胎動」より抜粋 ☆ ★

ひとつは、「病院からの卒業~松見病院での退院支援事例を通して」。
ひとりの男性の事例(50歳)について、関わってきた4人の報告がありました。
小平市にある松見病院から、副看護部長の實籐さんとPSWの古川さん、あさやけの花形さんと、ふれあいの郷の矢野さんです。
パワポの資料も良くまとめられており、4人の女性が一体化して自然に話していたのが、とても印象的でした。

事例の男性は、21年間幻聴に従い、この8年間、病棟内でいつも日中布団をかぶっていて、人との接触がまったく無かったそうです。
当初は、退院支援を病棟で進めても、逆に病状悪化を来たし、支援は4ヶ月で中断されたとのこと。
スタッフが調整を先行してしまい、本人の気持ちの変化、不安を受け止め切れていなかったという反省が残ったそうです。
仕切り直しの退院支援が、地道に粘り強く開始されました。
病棟内カンファレンスに地域のスタッフが参加したり、病棟スタッフが積極的に話しかけて関係を構築したり、医師は新薬の調整をしたり。
「退院」を禁句にして、「ひとり暮らし」のイメージ作りを、繰り返し外出したり、色々なツールを使いながら行ったり。
病院と地域が、進捗情報とスケジュール、見立てを共有するために密にコミュニケーションを図ったり。
ひとりの男性の8年ぶりの退院に向けて、スタッフたちが本当に手を携えて支援を組んできた様子が、よく伝わる報告でした。

最後に、退院日に撮ったという、ご本人とスタッフたちの記念写真が写されました。
ご本人のメッセージが読み上げられました。
「支援センターの方たちの手助けで、退院することができました。
今は、夜更かししてしまったり、何もすることなかったり、寂しいこともあります。
でも、今、誰にも拘束されることのない自由な生活は、とても楽しいです。
今後は、昼間どう過ごすか、考えたいと思います」と。

質疑応答では、
病院側と地域生活支援センターの連携の工夫や、病院からだけでなく地域から歩み寄ってくれることで、本人も安心感を得られること。
病院看護師からすると、外部の人が入ってきて初めてのカンファレンス体験の新鮮さや、地域スタッフとの関わりで看護スタッフの関わりが展開しだしたこと。
見立ての統一がとても重要で、病棟スタッフと地域スタッフが共同歩調を取り、外出の実体験を通して本人が変わっていったこと、
などが話されました。

参加していたある患者さんは、
「自分が退院してから10年たって、今はこんなに違うのかとビックリした。
自分が退院する時には、病院スタッフも誰も助けてくれなかった。
こんなに様々なスタッフが、細やかに関わってくれるのかと感動した。
今後、できることがあれば、この事業に協力していきたい」
と話していました。

このエリアの取り組みは、まだまだ始まったばかりで、とても未熟かも知れません。
7万2千人の「退院可能精神障害者」の地域移行に至るには、余りにも遠い現実があるのは確かです。
この事業に対しては、「病院と地域に対する啓発事業の域を出ない」という批判もあります。

それでも、今ここで蓄積されつつある経験は、これから大きな力になるはずです。
退院を果たし、地域で元気になっている人がいるという成功体験は、病院と地域、双方のスタッフの、モチベーションとノウハウとスキルを確実に上げていきます。
問題点をあげつらうのではなく、やれたこと、できたことを確実に積み上げ、伝えていくことが、希望を生んでいくのだと思います。
そういう意味では、精神病院の地域社会参加に向けたリハビリテーションが、ようやく始まったと言えるかも知れません。


※画像は、松見病院のホームページからお借りしました。

精神保健福祉士法改正案、廃案

2010年06月17日 09時12分38秒 | PSWのお仕事

あわただしく総理大臣が替わって、いよいよ参議院選挙へ。
1月からの、会期150日間の通常国会は、延長されることなく閉幕しました。

いろんな法律は、衆参両議院で可決されると、成立して公布される訳ですが。
国会が閉会になると、衆議院に提出あるいは審議中の法案は、次回国会に継続審議になります。
一方、衆議院を通過し、参議院で審議中であった法案は、審議未了のまま廃案になります。

障害者自立支援法暫定改正法案は衆院で可決し、参議院に送られていました。
参議院での委員会審議も終わり、本会議での採決に入る段階で、総理大臣が替わりました。
所信表明演説やら内閣不信任決議やらで、審議は止まり、あらゆる法案が店ざらしのまま。
結局、会期末の16日、参議院は本会議を開催しないまま、国会閉会となりました。
あと1日あったら、法案がいくつも通っていたんでしょうけど…。

さんざん物議を醸した、障害者自立支援法の廃止に伴う新法制定までの暫定改正法案も、廃案。
これに伴う、児童福祉法改正案、精神保健福祉法改正案等の関連法案も、廃案。
参院選後の9月からの臨時国会で、再上程されるのでしょうが、どうなりますことやら…。

PSWが国家資格になる時も、継続審議になったり、廃案になったり、すったもんだしました。
政治の世界は一寸先は闇、一般庶民の思い通りには進んでくれません。

今回、その精神保健福祉士法改正案も含まれていた訳ですが、同じように廃案。
ご存じのように、新養成カリキュラムへの移行が盛り込まれた法案でした。
社会福祉士に続いて、精神保健福祉士の養成課程が大きく変わるはずだったんですが…。
2012年度新カリキュラム移行は、どうなるんでしょう??

聞くところでは、カリキュラム見直しに向けた省令通知等は、継続して検討されているとのこと。
法改正となってもならなくても、霞ヶ関の官僚達は、作業を進めているのですね。
立法府である国会は、儀式だけになってしまっているような…。
既に周知されている検討会報告通りの、新カリキュラムが施行されることになるでしょう。

ただ、法改正の日程がずれ込んだことによる、施行期日が問題となります。
でも、2012年度移行を、さらに1年延ばすということは考えにくいのではないでしょうか?
社会福祉士とのズレが修復されず、不整合の期間を更に延ばすとは考えにくいですし。
移行への準備期間が圧縮されて、養成校が対応にバタバタすることになりそうです。

ただ、これは、あくまでも僕個人の観測です。
どうなるかなんて、誰にもわかりません。
なにせ、一寸先は闇の世界ですから(笑)

以下は、あくまでも廃案になった精神保健福祉士法改正案の骨子です。

◆精神保健福祉士法の一部改正法案

◇ 一 定義規定の見直し
精神保健福祉士の業務として、障害者自立支援法に規定する地域相談支援の利用に関する精神障害者からの相談に応じることを明確化する。

◇二 精神保健福祉士の養成に係る制度の見直し
精神保健福祉士試験の受験資格を得るために修める必要のある精神保健福祉に関する指定科目及び基礎科目について、文部科学省令・厚生労働省令で必要な基準を定める。

◇三 義務規定等の見直し
精神保健福祉士は、保健医療サービス、障害福祉サービス、地域相談支援に関するサービスを提供する者等との連携を保たなければならないこととするとともに、業務の内容の変化に適応するため、相談援助に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

◇四 その他所要の規定の整備を行うこと。


※画像は、国立病院機構東京病院の前庭。
 

PSWにとってのメディア

2010年06月16日 09時41分09秒 | PSWのお仕事

↑こんな背表紙の『精神保健福祉』を、ご存じですか?
日本精神保健福祉士協会の機関誌です。
PSWの方なら、見たことはあると思います。
でも、資格登録者に占める協会組織率は20%程度ですし、読んだことない人が多いんですかね?

昔々は『精神医学ソーシャルワーク』という雑誌が、年1回発行されているだけでした。
現在の形になったのが第40号からで、1999年のことです。
年4回発行されていて、現在、通巻80号です。
PSW協会が、「日本精神保健福祉士協会」という名称に変わった時に出されました。

1999年、会長の門屋充郎さん(当時)に、協会の常任理事就任を口説かれました。
どうせやるならと、広報出版部の担当にしてもらいました。
会議は最小限で少なく、家でコツコツできる仕事を希望しました。
また、僕としては、この機会にPSWの新しいメディアを創りたいと思いました。

僕自身が目指していたような「PSWのメディア」を創れたか…というと、不完全燃焼でした。
もっともっと、色々なことをやりたかったのですが、僕自身のメモリーが不足していました。
日本でインターネット常時接続環境が当たり前になるのは、僕が思っていたより遅かったですし。

今なら、SNS(mixi)やミニブログ(twitter)の類も、初期から導入するでしょうね。
mixi一社のPSWコミュニティだけ見ても、既に協会の構成員数を超えていますし。
やっぱりメディアは、双方向性があって、楽しくないとね?
まだ20世紀の当時は、掲示板を設ける提案にも抵抗が強く、利用者もあまりいませんでした。

今では誰でも検索して、新しい情報をほぼリアルタイムで入手できるようになりました。
PSW協会のHPの充実度は、他団体に比べても遜色なく、豊富な情報を発信しています。
事務局長の坪松真吾さん、広報担当の依田葉子さん等、事務局スタッフの尽力によるものです。
もはや、情報にアクセスできるかどうかは、個人の側の意欲の問題になりつつあります。

リニューアル発刊から11年を経た現在も、機関誌の形態は、ほとんど変わっていません。
でも、i-padの登場で、紙への印刷中心のメディアは、大きく変わってくるでしょう。
次世代のメディアに対応した、情報発信が求められてきます。
個々人が豊かに発信し、交信することで、PSW総体のポテンシャルも上がっていくでしょう。
データのやりとりだけなく、お互いをエンパワーしていけるようなメディアを創っていかないとね。

新しい時代に即した、新しいメディアの形と、新しい発想の専門職の姿。
新しい情報を的確に把握し、自身で咀嚼し、発信し、ユーザーに伝えていくこと。
既存の制度にただ依拠するのではなく、見通しを持った資源開拓にも取り組んでいくこと。
それが、PSWが新しい事業をマネジメントしていく上での、前提にもなってきます。

もう遙かひと昔前の話ですが、協会誌に寄稿したものを、以下に掲載しておきます。
時代の限界もあり、ちょっと力が入っていて、長いですけど…(笑)
新しくPSWになった方々が、新しいメディアを構築していく参考にでもなれば…。
現在の協会の基盤作りに取り組んだ、ひとりのPSWの想いを汲み取って頂ければ幸いです。

もはや、老兵はただ消え去るのみ…。
…って、それほど老いてはいませんがぁ~(^o^)

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

JJPSWNo.58 協会40周年特集号原稿(2004年6月発行、158~159頁所収)

PSWのメディア・ストラテジー

国立精神・神経センター武蔵病院 古屋龍太


■組織としてのメディア改革

今日メディアは氾濫し、風景と化しつつある。
情報の交通手段としてのメディアは、急速に変態し増殖し、大量に消費されている。
それでも対人援助サービスを生業とするPSWの領域では、情報は資源となり、生きた手段ともなる。
コストを自己負担する参加型組織では、メディアは個人が組織を共有する基盤となる。
メディアの享受によって、構成員は自らが組織の一員であることを意識する。
メディアは組織のエビデンスであり、アイデンティティを形成する。
グーテンベルグ以降、メディア抜きに組織は成立しない。

協会が前世紀から持つメディアとしては、機関誌『精神医学ソーシャル・ワーク』と通信紙『PSW通信』がある。
前者は歴代編集委員会による企画特集もあるが、多くは毎年の全国大会のライブレコードとなっている。
いずれも、PSWの歩みを振り返る上では貴重な記録となっている。
しかし、テープ起こしされたテキストスタイルの原稿は、編集加工されていないために読みづらく、細かく読む会員は少なかった。
一方、『通信』は会員への情報伝達を目的とした通信紙である。
精神保健福祉領域の流動化の中で、理事会議事録を逐語のライブレコードで掲載するなど、広く会員の衆目を集めた。
しかし、その編集は事務局PSWらの家内制手工業による入力作業に委ねられ、組織を担うこととなった個人の努力に負ってきた。
組織としての情報流通システムを、抜本的に改革する必要があった。

■組織再編とメディア構築

筆者は1999年の「日本精神保健福祉士協会」への組織再編とともに、常任理事に推挙され、協会のメディアを担当することとなった。
広報出版部が当面担当する事業は、三つあった。
①新しい機関誌『精神保健福祉』の編集発行
②ニュースレター(NL)『PSW通信』の編集発行
③協会のホームページ(HP)のリニューアルと運用管理
②については、井之頭病院を中心としたニュースレター委員会(川口真知子委員長)に委ねた。
①③については、自ら委員長となり基盤整備に努めた。

三者はその機能もスピードも大きく異なる。
①の機関誌は協会の顔でもあり、ネットによる情報流通が日常となっても、紙に印刷する媒体の持つ機能は変わらない。
専門職としての価値と実践を検証する一方で、PSW共有の読み物を目指した。
学術刊行物の指定を取得し、『精神保健福祉』という商標登録も行った。
製作は、企画立案→討議決定→原稿依頼→執筆→入稿督促→入力→編集→校正→印刷→製本→発送という工程で具体化し、半年近くの時間を要する。
年4回の定期発行のためには、少なくとも2号分が同時進行しなければならない。
投稿原稿があれば筆者をブラインドしての査読を行う。
委員会で検討し受理・一部修正受理・修正再査読・却下の判断を行い、投稿者への再投稿を求める返書をまとめなければならない。
会議の開催案内、議事録作成と送付、委員会の会計管理等、庶務事項の処理も煩雑であった。
そのうち、見かねた編集委員会のメンバーが、徐々に役割分担してくれた。

②のNLも、紙に印刷するメディアである以上、要する手間と工程は一緒である。
隔月発行の年6回であるため、全ての工程を2ヶ月で回転させなければならない。
一方③のHPは、情報入手→加工編集→アップロードという簡便なプロセスでメディアが成立する。
経費も安価で済み、時代に即応したハイパーメディアとして無限の可能性を有していた。

■起動時の課題と不具合

どのように通信手段や端末のマシーンが大容量高速化されても、処理決定するのは人である。
情報の鮮度を落とさずにアップロードできるかは、時間との勝負となり、個人の処理能力には限界がある。
委員会メンバーも、当然のことながらそれぞれ現場を抱えており、協会の業務にあてられる時間は限られている。
機関誌編集とHP運用に関しては、実務面の外部委託によって、自身のノウハウ不足とメモリー不足を補った。
当然相応のコストがかかるが、当時の協会年間事業費の1/3を広報出版部予算に充てて頂いた。

それでも個人的には、2000年PSW東京大会の準備も重なり、協会関係の仕事に忙殺されることとなった。
病院の本来業務時間内にあれこれ行う訳にもいかず、これらの処理は深夜に及ぶプライベートな時間を当てるしかなかった。
睡眠時間は、ほぼ毎日3~4時間に圧縮されていった。

幸いにも、新しい『精神保健福祉』は大方に好感をもって受け入れられた。
しかし、、従来の機関誌と余りにも異なる編集スタイルは戸惑いと混乱も生んだ。
前年の北海道大会の報告集編纂にあたっては、現地との意思伝達を欠いた。
せっかくテープ起こしして頂いた、個人の営為をないがしろにし、問題となった。
東京総会の場で、責任者として北海道の皆さんに謝罪させて頂いた。

HPにおいては、会員専用ページの開設と自由に書き込める掲示板の設置が急務となっていた。
上層部からの一方向的な情報伝達でなく、ネットを通しての相互発信が可能な基盤整備を目指した。
一方、組織としての情報流通には、コントロール機能も必要である。
情報操作は悪しきもので、全て個人判断に委ねるべきという考えもあるが、情報そのものが歪曲加工されており、政治的に流通されているものも多い。
担当理事としては、外部メディアへの即時対応を含め、情報のバランスコントロールを図る政治的判断にも配慮した。

メディアは価値と権力も生む。
ネットのように、単に個人が自らの考えを世界に発信することと、組織として発行する紙媒体のメディアは異なる。
機関誌のように限りある容量の中でのページ占有は、他者が共有する価値を、喧伝し賦与することにもある。
大学等の養成機関の増加とともに、ペーパーは重要な業績となり、紙メディアへの掲載を自己目的化した投稿も散見されるようになっていた。
編集委員会による、公正なコントロールが重要になってきていた。

■果たせなかったメディア戦略

資源としての情報は、特定の人々の専有物にせず、広く希望する者がアクセスできるシステムを構築すべきである。
通信網の発達ともに、新たなメディアの開発が課題になってくる。
任期中に果たせなかったが、実現に向けて検討すべき戦略を3点挙げておく。

①メーリングリスト開設
委員会・県支部単位のネットワークの構築は、その気になればすぐにでも開設できる。
会議のための移動時間や、紙資料によるコスト節減・環境保護のためにも極めて有効であり、ランニングコストは殆どかからない。

②メールマガジン発行
HPとNLの中間に位置付ければ、具体化が容易な課題だろう。
HP上の更新情報や、印刷前のNL、事務局連絡などが配信されれば、PSWの情報量は飛躍的に増大する。
定期的である必要はなく、端末ツールは携帯電話でも構わない。
コンテンツ・メニューさえ明確であれば、読む読まないは個々の判断で容量も食わずに済む。

③ローカルネット構築
現在協会がHPで提供している情報量は、夥しい量になっている。
あらゆる精神保健福祉情報にアクセス可能であるが、未だ中央集権的である。
生活圏域に密着したローカルなエリアページが設けられると、日常の相談援助業務にも活用できよう。

個人的な家庭内事情により、僅か2年で常任理事を辞任することとなった。
機関誌編集委員会は、石川到覚さんを経て、柏木一恵さんに引き継がれた。
インターネット委員会は、同僚の三澤孝夫さんを経て、坪松真吾さんに引き継がれた。
たくさんの宿題を残し、後任者にはご迷惑をおかけしてしまった。

それでも、自分としては心血を注ぎ、精一杯やってきたつもりである。
願わくば、個々の会員が情報の受け手ではなく、発信者としてネットワーク構築に参画して欲しい。
メディアはPSWにとって、大きな力になるはずである。


※再掲にあたり、ブログ用に体裁を整え、少しだけ文章に手を入れました。


看護の卵たちの言葉

2010年06月14日 10時30分24秒 | PSWのお仕事

国立看護大学校から、学生たちのリアクションペーパーをもらいました。
最終学年の看護学生たち、100名にお話しをさせてもらった時のものです。

PSWとしては、ごくごく当たり前の話しをしただけなんですが。
結構、新鮮な感じで受け止めてもらえたようで、僕としてはすごくうれしかったです。

1ヶ月半以上前に送ってもらっていたものを、今回改めて全部読み直しました。
少し時間を置くと、最初に読んだ時と違った側面が見えてきたりします。

長期在院患者、退院・地域移行、地域での生活支援、ストレングス視点…。
看護の卵たちの目に、どんな風にPSWは映ったのか、読み取ってもらえれば幸いです。

キーワードは、IPW(インター・プロフェッショナル・ワーク)でしょうか?
あと、佐藤光正さん提唱の魔法の呪文=「そのためには?」が受けてたようです(笑)

僕の話が延びちゃって、リアクションペーパー書く時間も無かっただろうに。
休み時間削って、一生懸命レスポンス寄せてくれた、看護の卵たちに感謝です。

しかし、最後に載せた学生のコメント、気になるな~。
実は、よく知ってる人のお嬢さんだったりして?…下手なこと言えませんね…(^_^;)


★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★


家族が統合失調症で、受診までとても苦労した経験があり、現在も地域生活を送る上でも苦労しているので、とてもタメになるお話しでした。今日は看護師としての視点に加え、患者の家族として、お話しを聞いていましたが、本当に「そうだ!そうだ!」の納得の話しばかりでした。ぜひ、精神障害の方を取り巻く医療保健福祉が、「本人主体」のものへと変わっていってほしいと思います。



退院するには、患者の症状が改善し、退院したいという気持ちが喚起されることが大切だが、本人の意志だけでなく、本人の生活背景や生活能力、本人の言葉の奥にある本当の気持ちなどを考慮して、環境をコーディネートしていくことが必要だとわかった。



精神病床数の各国の比較を見て、こんなにも日本だけ違うのかと驚いた。他の講義でも、日本は世界的に見て特殊であり、もっと広い視野で考える必要があると学んだが、精神の領域では、今までにとらわれず、新しい考えをもって取り組む必要があると思った。最後の方で触れられた「人生の目標」指向のケアマネの展開について、もう少しゆっくりお話しを聞きたかったです。



精神疾患の患者さんのできるところ、持っている力に目を向けて、積極的に支援していくことがとても大切なのだということを、改めて感じました。ソーシャルワーカーの人の具体的な仕事内容など、とてもわかりやすく、興味を持って聞くことができました。



精神領域の実習の時に、閉鎖病棟に行きました。入退院を繰り返している人も多く、カルテがすごく厚くて重くなっている人もいました。その時は、なかなか退院していくということを考えることができていませんでした。精神疾患を持っている人も、地域に戻って自分の力で生活していくことの大切さを知りました。地域に戻るためには、支援をしていく人達の力も必要で、退院阻害要因で示されていたように、退院に対して諦めていたり、無理だという想いを持っていたら、退院にはつながらないということを改めて感じました。私達の支援の姿勢も、精神疾患の患者さんの入院が長期になってしまった要因の一つなんだと感じ、理解していくことの大切さを学びました。



以前、自分が働いていたファミリーレストランにも、障害者と援助者が来て「お金を払ったり、注文する練習に協力してほしい」と援助者に言われ、協力したことがある。地域生活に慣れていくためにも、周りの人々の協力がすごく大事だと思った。



患者さんの一番近くにいるのは看護師と考えていたが、同じ視点からだけでなく、様々な角度の視点から見ることが大切で、ケア会議の大切さを再確認できた。患者さんとの関わりの中で、目標設定の仕方がとてもわかりやすかったです。



ソーシャルワーカーとナースの視点の違いに気がつきました。専門職の連携の必要性をよく理解できました。これからは、患者さんの「できること」は何か?という視点も入れていこうと思いました。



「そのためには?」という言葉は、物事を解決する道筋を立てていくのに活用できそうだと思いました。今回の講義で、PSWの仕事の理解が深まったと同時に、PSWの方の視点は、患者さんがその人らしく生きていくのをサポートするのに必要だと感じました。PSWの方とうまく連携する習慣をつくることが大事だと思いました。



インパクトゴールを会話の中で定め、そのために何をするかを決めるということは、動機付けがしっかりしていて、患者さんの意欲が出やすく、すごく良いやり方だと思いました。



すごく具体的でわかりやすかったです。イメージができないと、選択を迫られても決断できないというのは、すごくわかりました。また、看護職や職員の方が患者のせいにして、退院を諦めているのではないかというのは、自分の中にもすごく存在しているなぁと思い、反省しました。ありがとうございました!



精神障害を抱える人は、それぞれ持っている能力が異なり、その人が持つ力をアセスメントし、社会に活かせるようにアプローチすることが、専門職にとって必要なことだと感じました。患者さんの強みに目を向ける必要性を実感しました。「人生の目標」志向の考え方は、今後の自分の生き方に取り入れていきたいと思いました。



なかなか、他の専門職の視点というものを学ぶのは難しいので、こうやって機会を作って頂けたのはありがたかったです。「人生の目標」や「そのためには?」という言葉で、社会復帰や自立に向けた取り組みに消極的な利用者さんたちに、少しずつ本人たちの目標設定、意欲向上を行っていくことができるというのは、精神の分野だけでなく、医療や教育など様々な分野・領域に通じるものだと思いました。



患者自身が、他の患者を退院させるために病院へ行って、退院調整などを行っている施設があると知って驚いた。また、ほとんどのこと患者たちが決めている施設もあると知って、職員がなんでもかんでも手助けすればいい訳じゃないんだなと思った。



精神科に実習に行った際に、私が受け持った患者さんは退院が視野に入った方で、PSWの方とアパートや家具など、退院後の生活に向けた話しをしていました。今回の講義でPSWの役割を学んで、精神疾患を抱えた方がより良い生活ができるように、入院中~退院後まで支えていくことが求められているのだと実感しました。また長期に渡って入院していた患者さんが、退院となって急に社会の中に入っても戸惑いもあるし、不安・恐怖や疾患の再発にもつながる危険性があるので、患者さんが社会の中へ進んでいけるように、細かい配慮やサポートが必要であることを学びました。



PSWさんが行っている実際の活動を知ることで、看護師の行っていることとの視点の違いがよく分かりました。精神の実習でも「患者が○○ができないから退院は難しい」という話しをよく耳にしたことを思い出しました。この視点の違うことを理解していることが大切だと感じました。



日本は欧米に比べて精神科病棟の病床数が多く、社会的入院が目立つと言われています。それを聞いた時に、日本では地域で生活するための制度が整えられていないからではないかと思っていました。しかし、今日の講義で、様々なグループホームがあることや、退院準備プログラムが行われていることなどを知って、もっと病院と地域や他職種同士が連携していけば、社会的入院の立場にある人が、地域で生活しやすくなるのだと感じました。たくさんの写真とスライドで、楽しみながら聞くことができました。ありがとうございました。



私の父もPSWです。今日の講義で仕事の内容や役割についての理解が深まりました。他の講義や実習でも、退院後の生活を考えてケアすることが重要だと学んできましたが、まだまだその日その時のケアでいっぱいいっぱいです。PSWが患者さんの退院後について深く細かく知り、取り組んでいることがよく分かったので、看護師の視点から退院後の生活に向けて支援しつつ、PSWとも情報共有・交換し、連携を図っていきたいと思います。



※画像は、国立看護大学校じゃなくて、日本社会事業大学のキャンパス。
 ふたつの学校の共通点を発見!
 休み時間のキャンパスに、学生がいない!
 みんな、教室の中で、お勉強です。

PSW求人情報(4)

2010年05月26日 09時24分06秒 | PSWのお仕事

自治体公務員の福祉職採用が、もうすぐ締め切りですね(だいたい5月一杯)。
県では、埼玉県、茨城県、大阪府…えとせとら。
市では、静岡市、大阪市、平塚市…えとせとら。
来年度採用ではなく、なにやら急募の求人情報のお知らせが、いくつも溜まってるので、一挙に掲載します。

精神保健福祉士もあれば、社会福祉士のもあります。
地域の事業所もあれば、病院や診療所、社会福祉協議会もあります。
経験者限定の施設長採用の話しもあれば、産休代替で期間限定のものもあります。
人生色々、仕事も色々、ということでしょうか。

ひとつ、お願いとお断りです。
このブログは、基本的に、求人掲示板ではないので、情報はご自身で確認して下さい。
得られた情報を、正確に掲載しているつもりですが、間違いもあるかも知れません。
もしかして、掲載時点で、もう求人が充足して締め切られていたら、ごめんなさい。

今や随分たくさん、あちこちのサイトでPSWの求人情報もあるようですが。
どうも、なかなか求職希望者との情報アクセスが、うまくいってない気がします。
PSW協会などの職能団体のHPの求人情報は、会員でないとアクセスできませんし。
一昔前の方が、個人HPの掲示板などで、結構求人情報が載ってたような気がするんですけど…。

一般企業に比べると、どうしても福祉の世界は、狭い業界です。
求人数も、高齢者領域が圧倒的な割合を占めており、児童や障害者領域は少数です。
ましてや精神保健福祉領域の求人数は、全体の福祉の中の数%に過ぎません。
労働市場が狭く、情報流通も乏しいため、未だにクチコミが有効だったりします。

クチコミ情報を得るためには、まずはその世界に入って人脈を拡げるしかありません。
むしろ、どこの現場での経歴も、その人のキャリアになります。
キャリアが無いと、次の展開もないし、どこにもつながる術がありません。
あれこれの職場の条件よりも、まずは貪欲に「現場に入る」ことを目指した方が良いと思います。

かつて、大学出てもプータローで、3ヶ月限定の薄給産休代替PSWだった僕は、今そう思います。
PSWを目指す諸君、グッドラック!

※画像は、クローバー畑なんですけど…なんだか、わからないね?(爆)


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◆特定非営利活動法人 自立生活センター・立川

職種 福祉職(精神保健福祉士・社会福祉士が望ましい)
採用人数 1名
勤務地  自立生活センター・立川(JR立川駅南口より徒歩10分)
業務内容 精神障害者地域生活支援センターの業務、またはその補助
    (生活支援・グループワークの補助、電話相談の受付等の事務業務等)
雇用形態 産休代替
雇用期間 臨時雇用(4ヶ月以上~2011年9月30日まで)、試用期間1ヶ月
就業時間 9:45~18:30、木曜・土曜は11:15~20:00(休憩45分)、時間外なし
賃金  20万円(月額換算、月平均労働日数20日)
保険  雇用、労災、健康、厚生
応募資格 年齢・学歴不問、ただし精神保健福祉士・社会福祉士・保健師など
     精神障害者支援に関わる有資格者、就労経験のある方が望ましい
選考  随時、面接・書類選考
問い合わせ先 特定非営利活動法人 自立生活センター・立川
   〒190-0023 東京都立川市柴崎町2-10-16 オオノビル2階
   TEL 042-525-0879 FAX 042-521-3134(問い合わせ:10時~18時) 施設長:遠藤


◆医療法人柏水会 三軒茶屋診療所 

採用予定日  随時
勤務地  東京都世田谷区三軒茶屋2-19-16 三軒茶屋診療所内
業務内容  相談援助業務、その他窓口業務全般
雇用形態  正職員
雇用期間  常雇
就業時間  10時から18時まで
時間外   ほとんどなし
賃金形態  基本給20万円以上(年齢、経験により応相談)/月、食事手当:10,000円/月
     資格手当:10,000円/月、その他手当で30,000円ほど/月、通勤費:実費
     昇給:有、賞与:年2回(約5ヶ月分)平成21年実績
休日   完全週休2日制(日、その他一日)、夏期休暇(5日)、年末年始(5.5日)
保険   健康・労災・厚生年金・雇用、退職金制度:有
応募資格 精神保健福祉士資格所持者で実務経験を有する方
募集人数 1名
応募方法 電話連絡の上、後日面接をいたします。(写真貼付の履歴書をご持参下さい)
問合せ先 医療法人柏水会三軒茶屋診療所 (担当:佐藤)
     〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-19-16  TEL.03-3421-7481


◆医療法人緑光会 東松山病院 

採用予定日 随時
勤務地  医療法人緑光会 東松山病院(埼玉県東松山市大谷4160-2)
業務内容 病院における相談援助業務
雇用形態 正職員
雇用期間 常雇
就業時間 8時30分~17時15分
時間外  月平均4時間
賃金形態 20万円~(基本給、勤勉手当等)/月、通勤手当 上限5万円/月、
     昇給有り、賞与年2回
休日   交体制(4周8休)、年間休日115日
保険   健康、雇用、労災、厚生、退職金制度有り(勤務3年以上)
応募資格 精神保健福祉士資格保持者(実務経験あれば尚可)
募集人数 若干名
応募方法 電話連絡の上、下記まで履歴書を送り下さい。後日面接日を通知します。
問合せ先 (医)緑光会 東松山病院 事務長:福島昌美
     〒355-0008 埼玉県東松山市大谷4160-2 TEL:0493-39-0303


◆特定非営利活動法人ミュー

職 種  ライフサポートMEW施設長 
採用予定日  2010年7月1日
就業場所  指定相談支援事業・地域活動支援センターライフサポートMEW (東京都武蔵野市)
業務内容  精神障がいのある人への相談支援・生活支援等
雇用形態  正職員
雇用期間  常雇
就業時間  9:00~17:00、12:00~20:00(交代制)
時間外業務  有
賃金形態  本俸204,000円~331,000円
手当  調整・施設長・住宅・資格・扶養・通勤
昇給  年1回、賞与:年3回(4.25ヶ月分)
休 日  週休2日 祭日・夏季・年末年始休暇
保 険  健康・労災・厚生年金・雇用保険・介護保険、退職金制度:有
応募資格  精神保健福祉士資格所有者、実務経験5年以上、新卒不可
      相談支援専門員資格、サービス管理責任者(地域)資格所有者希望
募集人数  1名
応募方法  履歴書、「精神保健福祉への思い」1,200字程度(書式問わず)を下記問い合わせ先へお送り下さい。書類選考後、面接のご連絡を致します。6月15日(火)書類必着、6月17日(木)面接
問い合わせ先  特定非営利活動法人ミュー(担当:山口)
     〒180-0013東京都武蔵野市西久保1-6-25 西川ビル401 TEL:0422-36-3830


◆社会福祉法人 浦安市社会福祉協議会

職 種  福祉専門職
採用人数  若干名
受験資格(以下のすべてを満たすこと)
(1) 昭和55年4月2日以降に生まれた者
(2) 社会福祉士の資格を有する者
(3) 普通自動車免許を有する者
※年齢制限の理由は、厚生労働省令の例外事由3号のイ「長期勤続によるキャリアを形成するための若年者の募集・採用による
試験日時
(1) 第一次試験 6月27日(日) 午前9時 適性検査、作文
(2) 第二次試験 7月 4日(日) 午前9時 面接(※第一次試験合格者のみ)
受験手続
(1) 提出書類 イ.履歴書(市販の既成用紙に写真を貼付)、ロ.資格証明書の写し
(2) 申し込み方法 提出書類イ、ロを下記により提出ください。
・6月1日(火)~6月15日(火)
・持参の場合は午前9時~午後5時まで(ただし土・日は除く)、郵送の場合は6月15日(火)までに必着のもの
・提出は浦安市社会福祉協議会事務局まで
採用日 平成22 年9月1日予定(ただし、6ヶ月間は試用期間)
勤務地 浦安市社会福祉協議会事務局
(浦安市東野1-7-1 総合福祉センター内)
給 与
(1) 月収 196,680円~(俸給+地域手当、年齢・経験年数により決定します)
(2) この他、通勤、住宅、扶養、時間外勤務、期末勤勉手当等の諸手当が支給要件に応じて支給
勤務時間・休暇
(1) 勤務時間 午前8時30分~午後5時(土曜・日曜日休み、週休二日制)
(2) 休暇 有給休暇として、年次有給休暇(年間20日間、9月1日採用の場合7日)及び結婚、忌引等の場合に与えられる特別休暇あり
問合せ先  浦安市社会福祉協議会
     〒279-0042 浦安市東野1-7-1総合福祉センター内 TEL047-355-5271


◆医療法人群馬会 赤城高原ホスピタル

職 種 精神科ソーシャルワーカー
採 用 常勤1名
勤務地 赤城高原ホスピタル(群馬県渋川市)
業 務 アディクション問題に関わるソーシャルワーク
給 与 大学新卒18万2千円
賞 与 5ヶ月(夏冬)
社会保険 あり
勤務日数 4週7公休
資 格 精神保健福祉士(必須、資格見込み可)
    嗜癖関連治療現場での経験者、思春期、トラウマ治療の経験者は優遇
応募書類 履歴書、応募理由、自己PR、連絡方法を明記の上、下記までメールで送付
   新卒者については、成績証明書、卒業見込み証明書等も添付
応募方法 病院のホームページ( http://www2.gunmanet.or.jp/Akagi-kohgen-HP/ )熟読の上、
     一度連絡来院の上、プログラムに参加して頂き、就職したいか決めて欲しい。
問い合わせ先 赤城高原ホスピタル
    〒379-1111 群馬県渋川市赤城町北赤城山1051 TEL 0279-56-8148  
    e-mail akagipsw@hotmail.co.jp(PSW直通)担当:PSW板倉康広


PSW求人情報(3)

2010年05月22日 11時41分52秒 | PSWのお仕事

専門職大学院に通う院生の3分の1は、現職継続しながらの長期履修生です。
逆に3分の2は、いったん仕事を辞めたり休職して、通っている人たちです。
したがって、卒業時には改めての仕事に就くことになります。
清水の舞台から飛び降りる決意で、1年間勉強もして、就活もしてだから大変です。

就職というのは、その時の縁というのもありますし。
よほど大きな社会福祉法人や医療法人だと、年間通じて求人を出しているところもありますが。
多くは一般企業と違って、特に専門職採用は、時期も限られていたりして。
求職している者と、求人側の情報のマッチングがすべてです。

日本社会事業大学の就職支援センターは、とても親身になって考えてくれています。
でも、やはり、自分でどれだけアクティブに就活に励むかが、成否を決めます。
経験者と言うことで優遇されることもありますが、高年齢になるとそれだけでハンデですし。
公務員への転身を果たした人も例年結構いますが、やはり苦労はしています。

ましてや、医療領域のソーシャルワーカーは、少数職種ですしね。
いくらでも引く手あまたの高齢者領域のケアワーカーとは違って、結構狭き門です。
採用枠が少ないがゆえに、競争もあります。
求人情報へのアクセスって、本当に大事になってきます。

今回、水沼明子さんから、MSW採用の求人情報を頂きました。
昨年、通信教育科の精神保健福祉士課程のスクーリング中に、喫煙所で知り合いました(笑)
卒業生から、こういった求人情報を寄せて頂けるのは、ありがたいですね。
PSWの求人ではありませんが、MSW目指している、バランス感覚の良い方、いませんか?

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◆医療法人財団明理会 東戸塚記念病院 MSW急募
      http://www.ims.gr.jp/higashitotsuka/
勤務内容 医療福祉相談室の医療ソーシャルワーク業務
採用人数 正職員ソーシャルワーカー1名(欠員補充)
採用時期 2010年8月~
勤務時間 8:30~17:30
休日   日・祝・他1日(週休2日)、12/30午後~1/3、
     有休初年度10日、他 産休・育休・介護休暇等
給与   法人規定に拠る
賞与   2回/年 
昇給   1回/年     
希望条件 社会福祉士取得者・SW経験年数おおむね3年以上
提出書類 履歴書・職務経歴書・社会福祉士登録証(写)・
     作文「あなたの考える医療機関におけるソーシャルワークとは」 (書式・文字数自由)
提出先  〒244-0801 神奈川県横浜市戸塚区品濃町548-7
     医療法人財団明理会 東戸塚記念病院 総務課 副事務長 渡井宛
     *事前に水沼宛お電話ください。045-825-2111(代表)


※画像は、東戸塚病院ではなくて、大学の隣にある独立行政法人国立病院機構東京病院です。
 ごくまれにですが、ここの食堂に同僚とランチを食べに行きます。


PSW業務指針と用語の定義

2010年05月20日 09時04分50秒 | PSWのお仕事
PSW協会の構成員の方には、今週「議案書」が届いたと思います。
今回、約80ページの分厚い「議案書別冊」がついていますよね?
それが、先日の記事でご紹介した「精神保健福祉士業務指針(案)」です。
どうか、ぜひ、ざ~っとでも目を通して見て下さい。

「業務指針」作成委員会がスタートし、第1回会議を開催したのが2009年6月7日です。
報告書を提出し、理事会の討議に付されたのが翌2010年3月6日でした。
結局、委員会としての活動期間は、実質8ヶ月しかありませんでした。
既に前身の「提案委員会」がまとめた報告書がベースにあるとは言え、
この短期間に具体的な「業務指針」を成文化していく作業は、かなり無茶な日程でした。

土日を返上しての会議や、都心で終日缶詰状態で行われたワーキンググループなどもありました。
委員10人の熱意と使命感がなければ、本当に成し遂げられなかったと思います。
PSWとして各領域での経験を長くもつ委員たちの、精力的な取り組みに改めて脱帽です。

精神保健福祉士業務指針作成委員会のメンバーは、次の10人でした。
委員長  古屋龍太 (東京都、日本社会事業大学大学院) 
委 員  伊東秀幸 (神奈川県、田園調布学園大学)※担当部長
委 員  岩本 操 (東京都、武蔵野大学)
委 員  大石信弘 (静岡県、前・静岡市保健所)
委 員  大山 勉 (岐阜県、東海学園大学)
委 員  岡 順子 (東京都、新宿区勤労者・仕事支援センター)
委 員  木太直人 (東京都、日本精神保健福祉士協会)
委 員  田村綾子 (神奈川県、日立製作所神奈川工場健康管理センター)
委 員  廣江 仁 (鳥取県、社会福祉法人養和会F&Y境港)
委 員  山田恭子 (東京都、都立松沢病院)

せめて、もう少し時間的な余裕があれば、討議を深めたかった事柄は多々あります。
「提案委員会」が提起した、精神保健福祉士としての視点、理念、特性等についても、
新しいメンバーでの検証をもっと加え、更に深めたかったですし…。
各分野別の業務指針についても、地域・病院・行政についてはかなり議論を重ねましたが、
学校・産業・認知症については手つかずで、結局第1版に盛ることはできませんでした。
自らのポテンシャル不足もあり、本当に悔いが残ります。
でも、とりあえず、このまま提出して総会の議論にゆだねるしかありません。

「作成委員会」の成果として「用語の定義」に取り組んだことは、ひとつ成果と言えるでしょう。
まだまだ、あくまでも叩き台を示した、という段階ですけど…(36~44ページ)。
でも、なかなか専門用語として定義するまでには至らなかった言葉も、たくさんあります。
例えば、自己実現、回復、主体性、ピア、心理・社会的…(72ページ)。
PSWの価値そのものに直結する言葉ですし、哲学的な議論にも踏み込むことになり、本当に難しいです。

本来、専門職として使用する言葉は、きちんと定義され共有されていることが当たり前です。
定義が共有されていないと、言葉を発する人の背景や情感により意味はすれ違いますし。
議論をしても、堂々巡りとなってしまいます。
かつて誰もが学校で学んできたはずの言葉も、時代とともに変化します。
世代により、言葉は、新しい知見と実践を主張するようにもなります。

用語の定義としては、協会監修の『精神保健福祉用語辞典』(中央法規)もありますが…。
2004年の初版以来、内容の改訂もされてないので、内容は古くなっていますしね。
今後、精神保健福祉士養成校協会と合同で、検討していくことが必要でしょう。
協会に「用語の定義」に関する常設の委員会を設置することなども検討すべきと思います。

また、指針に止まらず、日常業務のマニュアルとなる「実務基準」の検討を始める必要があります。
医師や看護師等には、それぞれの臨床現場に即して「実務基準」がありますよね?
他の専門職種に互して、自らの専門性を堅持するためにも、やはり必要です。
また、後進の学生や若手に、精神保健福祉士業務の神髄を伝えて行くためにも、必要です。

ガイドラインをより具体化したマニュアルの作成は、これまた気の遠くなるような作業です。
でも、どこかの時点で始めないと、いつまでたってもできないですよね。
今回の指針作成が、PSWのスキル向上とコンピテンシー獲得への第一歩となればと思います。

そのためにも、素朴な疑問や、率直な意見を、協会に寄せて下さい。
この「業務指針」をテーマに、全国研修会を開催することなども、検討されているようです。
各都道府県の支部で、小規模な研修会を重ねることがあっても良いと思います。
「業務指針」のもつ理想と現実のギャップも、率直に議論すべきでしょう。

まだ若い精神保健福祉士という資格を、皆で育てていければと思います。
そのためにも、ぜひこの「PSW業務指針」を読み込んで欲しいと願っています。


精神保健福祉士のカリキュラム変更

2010年05月13日 14時14分56秒 | PSWのお仕事

精神保健福祉士のカリキュラム変更については、かなり情報が伝わっていると思います。
あちこちのサイトで、既に変更の要点については見ることができますし。
でも、実際には事ある毎に、学生だけでなく現場のPSWからも尋ねられます。
「いつから変わるんですか?」
「科目ってだいぶ変わるんですか?」
「実習時間とか、やっぱり増えちゃうんですか?」
「早くとっちゃわないと不利になるのでしょうか?」
確かに、これから受験の人にとっては不安でしょうし、基本的な改正の要点を、ここでまとめておくことにします。

「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が中間報告を出したのは、2009年11月です。
この中間報告書の中で、具体的なカリキュラム案が示されています。
その後、今年3月に最終案が示されています。
これで確定と言うわけではありませんが、ほぼこの線でいくのではと…。

■カリキュラムの見直しの基本的考え方は、
1.社会復帰の促進と地域生活を支援していく上で必要となる知識・技術を重点的に。
2.職域や求められる支援の拡大に伴う役割は、基礎的な知識を習得できるように。
3.相談援助に係るスキルを習得するための実習・演習の充実を図り、時間を増やす。
4.精神科医療機関での現場実習を必須に位置づける。

■具体的な変更内容は、
1.養成カリキュラムの総時間数 (講義科目+演習・実習) を現行の1110時間 → 1200時間とする。
2.「障害者に対する支援と障害者自立支援制度 」(30時間) を社会福祉士との共通科目として設定。
3.社会福祉士との共通科目である 「相談援助の基盤と専門職」、「就労支援サービス」、「更生保護制度」 の一部内容を専門科目の中に取り入れる。
4.精神保健福祉士に必要な知識・技術を柱とした科目体系に見直す。
5.専門科目の内容を充実・再編し、効果的な教育のために新たな科目を創設する。

■専門科目 は、次のように変更されます。
【現行科目】       → 【新科目】
精神医学         → 12.精神疾患とその治療 (60時間)
精神保健学        → 13.精神保健の諸課題と支援方法 (60時間)
精神保健福祉援助技術総論 → 14.精神保健福祉相談援助の基盤Ⅰ(30時間)
    〃        → 15.精神保健福祉相談援助の基盤Ⅱ (30時間)
精神保健福祉援助技術各論 → 16.精神保健福祉の理論と相談援助の展開 (120時間)
精神科リハビリテーション学→ 上の16に組み入れ
精神保健福祉論      → 上の16に一部組み入れ  
    〃        → 17.精神保健福祉に関する制度と福祉サービス (60時間)
    〃        → 18.精神障害者の生活支援システム (30時間)

今まで、やたら色々盛り込まれていた精神保健福祉論が16.17.18の三つに分かれ、
今度は、援助技術各論+精神科リハ+精神保健福祉論の一部が、16にすべて盛り込まれました。
「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」って、とんでもなく分厚い内容になりそうな…?

■講義科目(専門科目+共通科目)+演習・実習の新教育カリキュラムの全体像は…
【社会福祉士との共通科目】420時間
 1.人体の構造と機能及び疾病 (30時間)
 2.心理学理論と心理的支援 (30時間)
 3.社会理論と社会システム (30時間)
 4.現代社会と福祉 (60時間)
 5.地域福祉の理論と方法 (60時間)
 6.福祉行財政と福祉計画 (30時間)
 7.社会保障 (60時間)
 8.低所得者に対する支援と生活保護制度 (30時間)
 9.保健医療サービス (30時間)
 10.権利擁護と成年後見制度 (30時間)
 11.障害者に対する支援と障害者自立支援制度 (30時間)
【専門科目】390時間
 12.精神疾患とその治療 (60時間)
 13.精神保健の諸課題と支援方法 (60時間)
 14.精神保健福祉相談援助の基盤Ⅰ (30時間)
 15.精神保健福祉相談援助の基盤Ⅱ (30時間)
 16.精神保健福祉の理論と相談援助の展開 (120時間)
 17.精神保健福祉に関する制度と福祉サービス (60時間)
 18.精神障害者の生活支援システム (30時間)
【演習・実習】390時間
 19.精神保健福祉援助演習 (90時間)
 20.精神保健福祉援助実習指導 (90時間)
 21.精神保健福祉援助実習 (210時間)
 
社会福祉士の現行カリキュラム(2009年4月~)に比べると、科目数は一つ少ないです。
でも、総時間数1200時間は一緒ですね。
  
■今後の予定ですが、こんな感じでしょうか?
2010年秋頃 厚生労働省省令・告示を発出?
2011年1月 第13回国家試験
2011年4月 現行カリキュラムでの最終新学期
2011年年末 各出版社の養成テキスト続々と刊行?
2011年度中 実習指導者講習会を全国で開催?
2012年1月 第14回国家試験
2012年4月 新カリキュラムに移行
2012年初夏 新しい国家試験委員会が招集?
2012年度中 実習指導者講習会を全国で開催?
2013年1月 第15回国家試験(新カリキュラム)

新教育カリキュラムに移行すると、科目数が増えます。
受験生にとっては、国家試験の勉強の負担が増します。
養成課程をもつ学校にとっては、教員の負担が増えます。

もちろん、知識や技術習得の時間は増えるわけで、真剣に学ぶ人には喜ばしいのですが…。
受験資格を取得するまでの道のりは、ちょっと(?)険しくなります。

やはり、実習のウェイトが増えることの影響は、大きいでしょうね。
学生の実習日も増えますが、受け入れる実習先の負担も増えます。
実習先の指導者には、講習会受講が義務づけられます。
現職者で通信教育を受ける人たちは、実習時間の確保は頭の痛いことになりそうです。

精神保健福祉士の質の向上を図り、精神障害者ほかへの支援を手厚くする。
そのために、国家資格の養成教育カリキュラムを変更し、より専門職性を高める。
…国家資格創設以来の、大きな変革が、まもなく始まろうとしています。



※画像は、バス停を降りてキャンパスへ続く道(緑陰通り)。
 厳密に言うと、ここはもうキャンパス内です。


新しいPSWの業務指針

2010年05月10日 09時07分17秒 | PSWのお仕事

日本精神保健福祉士協会の総会&全国大会が、来月の6月3~5日、沖縄で開催されます。
今回の総会では、精神保健福祉士(PSW)にとって、ひとつ大きな課題があります。
「精神保健福祉士業務指針及び業務分類」の採択をめぐる議論です。

まもなく「総会議案書」とともに、この「業務指針」案が、会員(構成員)のお手元に届けられるでしょう。
結構な分量の文章ですが、ぜひまずざっとでも、目を通して頂ければと思います。
専門職としてのPSWが、自身の業務を、どう考えるかと言うことなので…。

PSWの業務指針としては、これまでも「精神科ソーシャルワーカー業務指針」がありました。
旧指針は、任意団体であった日本精神医学ソーシャルワーカー協会時代のもので、21年前(1989年)に採択されたものです。
当時は、地域の支援機関も乏しく、PSWといえば精神病院勤務が当たり前でした。
改訂作業に着手し、新たに指針を作成しなければならなくなったのは、時代遅れの古いものになってしまったということに尽きます。

旧指針では、現在のPSWの活動領域の拡がりを、もはや包摂できなくなっています。
1997年の精神保健福祉士法制定による国家資格化により、PSWの社会的認知と活動領域は一気に拡がりました。
精神保健福祉士の国家資格登録者は現在4万人を超えています。
旧指針が前提としていた、医療機関に所属するPSWの割合は年々減少しています。
PSWの先達らが、国家資格化以前から積み上げてきた歴史的経緯を踏まえつつ、時代に即した業務指針を創り上げていく必要に、協会は迫られていた訳です。

新しい指針の作成作業は、2006年8月に設置された「業務指針提案委員会」に始まります。
委員長は聖学院大学の相川章子さんでした。
委員会は合宿など行いながら、倫理綱領をベースにPSW業務の検証作業を行いました。
おおよそ1年半にわたる議論を経て、新しい業務指針の骨格が提案されました。
全米ソーシャルワーカー協会の業務指針なども参考にされています。
本文をじっくり読むと、委員の皆さんの苦労と熱い想いが伝わってきます。

これを受けて2009年3月、新たに「業務指針作成委員会」(委員長:古屋龍太)が発足しました。
提案委員会報告をベースに据えながら、PSWの現場の実務に照らして一部構成を組み替え、業務指針として整理しました。
昨年6月の静岡大会での承認を受けてから、実質わずか8ヶ月間での、集中的な作業となりました。
十分とはとても言えませんが、タイトな日程の中で最大限の努力はしてきたつもりです。

業務指針は、常に業務の実態から導き出された、専門性の到達点を示すものです。
同時に、指針は、専門職種として目指されるべき目標と方途を示すものです。
指針はあくまでも「ガイドライン」であって「マニュアル」ではありません。
実務に即した「PSW業務マニュアル」と称するものは、今後さらに広範な実践現場の意見を踏まえながら構築されていくと思います。

この指針案に記されている内容は、今後、各地のPSWの実践を通して検証されることになります。
協会構成員の議論を経て、今後改訂されていくことを前提としている、「第1版」です。
この指針が、現時点における暫定的なまとめであることに、留意して欲しいと思います。

PSWの方には、この指針の本文中に盛り込まれた一言一句を、ぜひ吟味検討して欲しいと思います。
そして、より時代状況に即した指針の作成に、協力して欲しいと思います。
どんな小さなことでも良いから、意見を寄せて欲しいと思います。
正直言って、残念ながら、本当にまだまだ不十分な内容です。
熱い議論を経て、この指針が「第2版」「第3版」とバージョンアップしていくことを願っています。

この指針案の提出をもって、業務指針作成委員会は一旦その任を解かれます。
議論は協会全体、PSW全体に引き継がれていくこととなります。
この指針が、それぞれの現場で奮闘しているPSWにとって、文字通りなにがしかの「指針」になればと願います。

残念ながら、沖縄の大会には、委員長である僕自身は大学の公務や授業が重なり、行けそうもありません。
協会常務理事の木太直人や担当部長の伊東秀幸さんに、総会での提案と質疑討論を委ねざるを得ません。
願わくば、新しい指針案を叩き台に、ポジティブで建設的な議論が展開されることを祈ります。
沖縄大会に参加されるPSWの皆さん、どうかよろしくお願いします。