故フランコ・バザーリア(1976年当時)
既に色んなルートから、お知らせが行ってるかと思いますが。
まもなく「日本縦断トリエステ精神保健講演会」が開催されます。
東京、横浜、大阪、長崎と、まさに縦断です。
このうち、横浜会場は、既に満席打ち止めだとか。
東京会場も、そろそろ危ないと、昨日聞きました。
組織基盤の全くない企画なのに、関係者の関心の強さが伺えます。
実は、今回、来日する方々、皆さん、渡航費は自前です。
精神科医療後進国の日本に、以前から強く来ることを希望されていました。
イタリアで精神病院をなくした経験を、日本の関係者に伝えたい。
メッセージを運ぶことを自らのミッションとして、強く意識しておられます。
僕自身はイタリアに行ったことがないので、偉そうなことは何も言えませんが…。
皆さん、ご存じのように、イタリアには単科の精神病院(マニコミオ)は、ありません。
もともとあった精神病院は、すべて解体され、廃止されました。
そこまでには、四半世紀に及ぶ長い改革の歴史があります。
その動きを、僕が最初に知ったのは、1985年です。
S・シュミットの、『自由こそ治療だ』(半田文穂訳、悠久書房)を読んでです。
この本で、精神科医フランコ・バザーリアらの取り組みが、活き活きと描かれています。
時に「政治主義」と揶揄されたバザーリアですが、元々はごく普通の精神科医だったそうです。
1971年にトリエステの県立精神病院院長に着任し、最初にやったのは病棟の開放化です。
日本でも精神医療改革を志した人々が、最初に行ったのが開放運動でした。
今では当たり前にある開放病棟も、当初は危険視されていたのは一緒です。
精神病院廃絶をうたう法律180号、通称バザーリア法が議会を通過したのは、1978年。
その後、この法律はイタリア全土に拡がり実行されるはずでしたが、そうはなりませんでした。
急進的な法律制定により、大都市や南イタリアでは展開が遅れたとも言われています。
州法の制定は大幅に遅れ、断片的で国法と矛盾することもしばしばだったようです。
従来の精神病院、精神科医たちは、猛反発し、バザーリアらは多くの批判に晒されました。
国民保健計画のもと、最初の精神保健対策事業が発表されたのは1994年です。
1999年、イタリアの保健省が、全精神病院の閉鎖が完了したことを宣言しました。
四半世紀に及ぶ年月を経て、イタリアの精神病院は前世紀のものとなったのです。
1980年に、道半ばでバザーリアは亡くなりますが、その志を継いだ人々が頑張りました。
当初はラディカルと評される一歩が、大きく時代を動かしていったのは確かです。
それまでの常識が打ち破られると、後にはそれが当たり前になってくるんですね。
今回、来日されるのは、バザーリアと歩みをともにした、今も改革の渦中にある方々です。
司会を務める大熊一夫さんが、イタリアを訪ね、「いつか日本へ」と約束した方々です。
『精神病院を捨てたイタリア、捨てない日本』(岩波書店、2009年)に出てくる方々です。
なお、主催や共催は、各会場によって、異なります。
まったく手作りで、この企画のために連動している方々です。
当初、第53回日本病院・地域精神医学会総会で、という話も提案されていたようですが。
結局、認められなかったようで、とても残念です。
あ、もし、もう、どこも、事前申し込みで満席になっていたら、ごめんなさい。
忙しくて、記事としてアップするのが、遅れましたこと、お詫びします。
詳しいことは、各会場の主催連絡窓口に、お問い合わせください。
蛇足ながら、トリエステの取り組みや現状は、本や映画でもご覧になれます。
『トリエステ精神保健サービスガイド』(小川昭夫訳、現代企画室、2006年)
トリエステ精神保健局による、おしゃれなガイドブックです。
どんな施設が今あって、どんなプログラムが提供されているか、わかります。
映画では≪Si puo' fare(シ・プオ・ファーレ)≫が、来春日本でも一般公開です。
邦題は『やればできるさ』になるのでしょうか?
病院解体後の協同組合で過ごす当事者たちの姿が、活き活きと描かれています。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
日本縦断トリエステ精神保健講演会ツアー日程
[主催・共催団体]
日本縦断トリエステ精神保健講演会実行委員会(会長:堂本暁子、事務局長:大熊一夫)
フランコ・バザーリア記念財団
NPO法人 地域精神保健福祉機構・コンボ
精神保健従事者団体懇談会
東京大学グローバルCOE「死生学の展開と組織化」
東京大学精神看護学分野
神奈川県精神障害者家族会連合会
NPO法人横浜市精神障害者家族連合会
NPO法人川崎あやめ会
NPO大阪精神医療人権センター(同センター設立25周年記念事業)
社会福祉法人南高愛隣会
[講演]
●「バザーリア法は世界で最も進んだ精神保健福祉法」
マリアグラツィア・ジャンニケッダ
フランコ・バザーリア記念財団理事長、サッサリ大学教授
社会学者、WHO精神保健アドバイザー、イタリア改革の生き字引
●「家族会は精神保健改革の強力なエンジン」
ジゼッラ・トリンカス
イタリア家族会連合会長
サルデーニャ州精神保健改革の立役者
●「病院ではできなくて地域センターならできること」
ジョヴァンナ・デル=ジュディチェ
バザーリアの愛弟子の精神科医
“精神保健不毛の地”カンパーニャ州とサルデーニャ州にトリエステ型の地域精神保健サービス網を築いた責任者
●「欧州最古最大の精神病院を閉めた経験から」
トッマーゾ・ロザーヴィオ
バザーリアの愛弟子の精神科医、ローマ大学哲学科客員教授
トリエステの歴史的改革を担い、ローマの巨大マニコミオ閉鎖プロジェクトで最高責任者○「精神病院に頼りすぎるニッポン!」
(コメンテーター・司会) 大熊一夫
朝日新聞記者時代の『ルポ精神病棟』はあまりにも有名。
大阪大学教授を定年後も、精神保健福祉の問題を追究し、第1回フランコ・バザーリア賞を受賞。
※イタリア語逐語通訳つき
※演題は演者の意向で変更になることがあります。
★第1弾 東京 11月16日(火)
事前申込みが必要です【残席僅少】
会場:北とぴあ つつじホール
交通:JR京浜東北線王子駅北口より徒歩2分
地下鉄南北線王子駅5番出口直結
都電荒川線王子駅前駅より徒歩5分
時間:18:30~21:30(開場18:00)
資料代:1,500円
お申込方法:FAXまたはメール
FAX: 047-320-3871
メール: tokyo.trieste@gmail.com
お名前・ご住所・電話番号・FAX番号・メールアドレスをご明記ください。
先着順で、満席になり次第締め切ります。
★第2弾 横浜 【参加申込終了】
★第3弾 大阪 11月20日(土)
【事前申込み不要・直接会場へ起こし下さい】
〔会場〕大阪市中央区民センター
(地下鉄堺筋線・中央線「堺筋本庁」下車)
時間:14:00~16:30
資料代:当事者・学生 500円 一般:1,000円
問い合わせ先:大阪精神医療人権センター Tel:06-6313-0056
大阪精神医療人権センター設立25周年記念事業として行われます。
講演会は14:00からですが、記念行事は13:30分から開始します。
★第4弾 長崎 11月21日(日)
事前申込みが必要です。
会場:諫早市民センター
時間10:30~16:30(開場10:00)
お申込方法:FAXまたはメール
FAX:0957-21-0572
メール:nagasaki.trieste@gmail.com
お名前・ご住所・電話番号・FAX番号・メールアドレス・お弁当の申込の有無(お茶付き800円)を明記してください。
http://trieste.jpからFAXのお申込用紙をダウンロードすることができます。
既に色んなルートから、お知らせが行ってるかと思いますが。
まもなく「日本縦断トリエステ精神保健講演会」が開催されます。
東京、横浜、大阪、長崎と、まさに縦断です。
このうち、横浜会場は、既に満席打ち止めだとか。
東京会場も、そろそろ危ないと、昨日聞きました。
組織基盤の全くない企画なのに、関係者の関心の強さが伺えます。
実は、今回、来日する方々、皆さん、渡航費は自前です。
精神科医療後進国の日本に、以前から強く来ることを希望されていました。
イタリアで精神病院をなくした経験を、日本の関係者に伝えたい。
メッセージを運ぶことを自らのミッションとして、強く意識しておられます。
僕自身はイタリアに行ったことがないので、偉そうなことは何も言えませんが…。
皆さん、ご存じのように、イタリアには単科の精神病院(マニコミオ)は、ありません。
もともとあった精神病院は、すべて解体され、廃止されました。
そこまでには、四半世紀に及ぶ長い改革の歴史があります。
その動きを、僕が最初に知ったのは、1985年です。
S・シュミットの、『自由こそ治療だ』(半田文穂訳、悠久書房)を読んでです。
この本で、精神科医フランコ・バザーリアらの取り組みが、活き活きと描かれています。
時に「政治主義」と揶揄されたバザーリアですが、元々はごく普通の精神科医だったそうです。
1971年にトリエステの県立精神病院院長に着任し、最初にやったのは病棟の開放化です。
日本でも精神医療改革を志した人々が、最初に行ったのが開放運動でした。
今では当たり前にある開放病棟も、当初は危険視されていたのは一緒です。
精神病院廃絶をうたう法律180号、通称バザーリア法が議会を通過したのは、1978年。
その後、この法律はイタリア全土に拡がり実行されるはずでしたが、そうはなりませんでした。
急進的な法律制定により、大都市や南イタリアでは展開が遅れたとも言われています。
州法の制定は大幅に遅れ、断片的で国法と矛盾することもしばしばだったようです。
従来の精神病院、精神科医たちは、猛反発し、バザーリアらは多くの批判に晒されました。
国民保健計画のもと、最初の精神保健対策事業が発表されたのは1994年です。
1999年、イタリアの保健省が、全精神病院の閉鎖が完了したことを宣言しました。
四半世紀に及ぶ年月を経て、イタリアの精神病院は前世紀のものとなったのです。
1980年に、道半ばでバザーリアは亡くなりますが、その志を継いだ人々が頑張りました。
当初はラディカルと評される一歩が、大きく時代を動かしていったのは確かです。
それまでの常識が打ち破られると、後にはそれが当たり前になってくるんですね。
今回、来日されるのは、バザーリアと歩みをともにした、今も改革の渦中にある方々です。
司会を務める大熊一夫さんが、イタリアを訪ね、「いつか日本へ」と約束した方々です。
『精神病院を捨てたイタリア、捨てない日本』(岩波書店、2009年)に出てくる方々です。
なお、主催や共催は、各会場によって、異なります。
まったく手作りで、この企画のために連動している方々です。
当初、第53回日本病院・地域精神医学会総会で、という話も提案されていたようですが。
結局、認められなかったようで、とても残念です。
あ、もし、もう、どこも、事前申し込みで満席になっていたら、ごめんなさい。
忙しくて、記事としてアップするのが、遅れましたこと、お詫びします。
詳しいことは、各会場の主催連絡窓口に、お問い合わせください。
蛇足ながら、トリエステの取り組みや現状は、本や映画でもご覧になれます。
『トリエステ精神保健サービスガイド』(小川昭夫訳、現代企画室、2006年)
トリエステ精神保健局による、おしゃれなガイドブックです。
どんな施設が今あって、どんなプログラムが提供されているか、わかります。
映画では≪Si puo' fare(シ・プオ・ファーレ)≫が、来春日本でも一般公開です。
邦題は『やればできるさ』になるのでしょうか?
病院解体後の協同組合で過ごす当事者たちの姿が、活き活きと描かれています。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
日本縦断トリエステ精神保健講演会ツアー日程
[主催・共催団体]
日本縦断トリエステ精神保健講演会実行委員会(会長:堂本暁子、事務局長:大熊一夫)
フランコ・バザーリア記念財団
NPO法人 地域精神保健福祉機構・コンボ
精神保健従事者団体懇談会
東京大学グローバルCOE「死生学の展開と組織化」
東京大学精神看護学分野
神奈川県精神障害者家族会連合会
NPO法人横浜市精神障害者家族連合会
NPO法人川崎あやめ会
NPO大阪精神医療人権センター(同センター設立25周年記念事業)
社会福祉法人南高愛隣会
[講演]
●「バザーリア法は世界で最も進んだ精神保健福祉法」
マリアグラツィア・ジャンニケッダ
フランコ・バザーリア記念財団理事長、サッサリ大学教授
社会学者、WHO精神保健アドバイザー、イタリア改革の生き字引
●「家族会は精神保健改革の強力なエンジン」
ジゼッラ・トリンカス
イタリア家族会連合会長
サルデーニャ州精神保健改革の立役者
●「病院ではできなくて地域センターならできること」
ジョヴァンナ・デル=ジュディチェ
バザーリアの愛弟子の精神科医
“精神保健不毛の地”カンパーニャ州とサルデーニャ州にトリエステ型の地域精神保健サービス網を築いた責任者
●「欧州最古最大の精神病院を閉めた経験から」
トッマーゾ・ロザーヴィオ
バザーリアの愛弟子の精神科医、ローマ大学哲学科客員教授
トリエステの歴史的改革を担い、ローマの巨大マニコミオ閉鎖プロジェクトで最高責任者○「精神病院に頼りすぎるニッポン!」
(コメンテーター・司会) 大熊一夫
朝日新聞記者時代の『ルポ精神病棟』はあまりにも有名。
大阪大学教授を定年後も、精神保健福祉の問題を追究し、第1回フランコ・バザーリア賞を受賞。
※イタリア語逐語通訳つき
※演題は演者の意向で変更になることがあります。
★第1弾 東京 11月16日(火)
事前申込みが必要です【残席僅少】
会場:北とぴあ つつじホール
交通:JR京浜東北線王子駅北口より徒歩2分
地下鉄南北線王子駅5番出口直結
都電荒川線王子駅前駅より徒歩5分
時間:18:30~21:30(開場18:00)
資料代:1,500円
お申込方法:FAXまたはメール
FAX: 047-320-3871
メール: tokyo.trieste@gmail.com
お名前・ご住所・電話番号・FAX番号・メールアドレスをご明記ください。
先着順で、満席になり次第締め切ります。
★第2弾 横浜 【参加申込終了】
★第3弾 大阪 11月20日(土)
【事前申込み不要・直接会場へ起こし下さい】
〔会場〕大阪市中央区民センター
(地下鉄堺筋線・中央線「堺筋本庁」下車)
時間:14:00~16:30
資料代:当事者・学生 500円 一般:1,000円
問い合わせ先:大阪精神医療人権センター Tel:06-6313-0056
大阪精神医療人権センター設立25周年記念事業として行われます。
講演会は14:00からですが、記念行事は13:30分から開始します。
★第4弾 長崎 11月21日(日)
事前申込みが必要です。
会場:諫早市民センター
時間10:30~16:30(開場10:00)
お申込方法:FAXまたはメール
FAX:0957-21-0572
メール:nagasaki.trieste@gmail.com
お名前・ご住所・電話番号・FAX番号・メールアドレス・お弁当の申込の有無(お茶付き800円)を明記してください。
http://trieste.jpからFAXのお申込用紙をダウンロードすることができます。