タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

民俗学の話を少々。

2015年08月09日 | Weblog
ある高名な民俗学の先生のお話を伺う機会がありました。
その際に非常に心に残ったのは、
「現代に生きている私達が、正確な記録を後世に残しておかないと、
 例えばハロウィンがいつから日本に広まったのか、
 恵方巻がいつから始まったか、そんなことさえ分からなくなり、
 後世の人達はそれが日本の伝統だと思ってしまうだろう。」と。

たしかに、そういうことは身近に沢山あるため、先生のおっしゃることが
非常に身にしみました。

例えば、私は子どもの時に七五三をお祝いしていないのです。
なぜかというと、両親とも、七五三の習慣のない土地の出身だったから。
平成生まれの方が聞いたら驚くかもしれませんが、
七五三のお祝いが全国に広まったのは、テレビや雑誌等の影響や、
写真館が宣伝したことなど様々な要素があってのことです。

あるいは、おせち料理。
私の子ども時代の昭和50年代、
母が「おせち料理の作り方」の本を熱心に読みながら
正月の準備をしていたことがありました。

「おばあちゃんから作り方を教わらなかったの?」と聞いたら、
あちこちのページを開きながら、
「私の子ども時代、この本に載っている、この料理とこの料理と・・・は
食べたことも見たこともなかった。」と答えました。
それらはその時点ですでにおせちの定番とされている料理だったので
愕然としたのをよく覚えています。

その後成人してからいろいろな方から話を伺ったところ
昭和の30年代以前までは地方によって別々のおせち料理が存在していたのが
その後のテレビや雑誌の影響で、
全国スタンダードのおせち料理というものが形成されていった、
と知り、強いショックを受けました。

日本の各地にはそれぞれ独自の文化や伝統があったことが
昭和期にすごい勢いで忘れられてしまって、
そこにもって、テレビや雑誌等は「これこそをが和の文化」と紹介し、
自分たちの祖先の生活文化を喪失してしまった世代(私も含めて。)が、
テレビ等の情報をありがたく受け取っている。

地方の独特の文化が失われて、画一的になっていくのは心配です。

先生のお話を伺って、私も、時間はあまりないものの、
時々このブログでこうした昭和の生活史の一コマを紹介して行きたい、と思ったのでした。


 

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