2003年ごろ、マスコミで「26ショック」と称し、沖縄県の男性の平均寿命が都道府県別ランキング・トップテンから転落して、26位になったことが大きく取り上げられました。
そしてあるエッセイで、沖縄県のこの転落の原因は「食の欧米化で寿命が縮んだため。」と紹介され、この説は全国に広まりました。
食品業界でもこの「縮んだ」説を信じている方は多いようです。
ですが、統計学の専門家、上田尚一先生の御著書「統計グラフのウラ・オモテ」によると、それは統計の読み間違いだそうです。詳しくは同著のp236以降に掲載されていますが、要約すると、沖縄県男性の寿命は伸びたものの、その変化が長野県などの伸びと比較して小さかったため、「順位」が下がっただけだとのことです。
一方、こんな噂もあるのですが、これは本当なのでしょうか。
「沖縄県の男性の寿命は一見すると年々伸びているように見える。しかしそれは伝統食を食べて育った高齢者が長寿だからであり、若い世代は食の欧米化によってむしろ早死にしている。これを逆さ仏と呼ぶ。」と。
もしもこの説が事実なら、沖縄県の伝統食はサツマイモと豚肉等だったので、お米や雑穀主体の食事(本土の伝統食)より、サツマイモを主食にして肉を食べた方が長生きできる、ということになりますね。
早速、厚生労働省の統計データを精査しましたが、若者が早死にしているというデータは見つかりませんでした。それどころか、沖縄県の若~中年世代の平均余命が(他都道府県と同じくらいで平凡な値になっている物の)年々伸びている(つまり、若者や中年も以前より長生きになっている)のです。
具体的には「都道府県別生命表の概況」の平成17年版と22年版を比較すれば分かります。
以下はすべて男性の値ですが、
75歳時の平均余命 H17:12.22年→ H22:12.35年 以下同様に次の通り。
65歳 19.16年→19.50年
40歳 40.22年→40.77年
20歳 59.18年→59.93年
このように、沖縄県のどの世代も寿命が伸びているのです。20歳代や40歳代では他県の寿命の伸びの方が大きかったので、ランキングで20数位にとどまっているに過ぎない・・・という訳です。結局、逆さ仏説は嘘、都市伝説でした。
ではなぜ20歳代や40歳代の人達は、65歳代や75歳代の人達のようにランキング上位に入らないのでしょう。
「平成22年都道府県別生命表の概況」より「参考」ページの参考2-2「特定死因を除去した場合の平均寿命の延び(男)」を見ました。
この表を見るとどのような死因が寿命を減らしているかが推測できるからです。
すると、沖縄では肝疾患(お酒の飲み過ぎやウイルス感染等が主因。)による寿命の縮みが全国1位(!)、高血圧性疾患(塩分の取りすぎや精神的ストレスと遺伝的体質が主因。)が全国4位、自殺が全国5位という結果だったのです。
つまり、沖縄県では寿命は年々伸びては居るけれども、そのペースをゆるやかなものにしているのは、食の欧米化ではなくて、お酒の飲み過ぎやストレスや自殺など・・・背後には長引いた不況の影響が考えられるのです。
今までの話をまとめると、どの世代でも沖縄県の寿命は伸びてますので、「食の欧米化によって沖縄県民が危機にさらされている。」という説は誤解と考えられます。食の欧米化対策よりも、お酒の飲み過ぎや自殺などを防ぐ対策が必要と思われます。
(注1:糖尿病は全国9位ですが、運動不足や車社会(沖縄は鉄道が少ない)、お酒の飲み過ぎなども糖尿病の重要な因子なので、食の欧米化が主因とは断定できません。
注2:ありがちな誤解として、上記の表の例えばH22年の数値を例にして
「75歳はあと12.35年も平均余命があるから、足して87.35歳まで生きられる。しかし20歳は足して79.93年しか生きられない。だから若者の方が短命だ。」とする例が考えられます。
しかし、このような比較は、統計の性質上やっても無意味な比較です。
なぜなら、理論上、全国どの地域でも必ず「20歳+平均余命」は「75歳+平均余命」より小さいのです。
75歳まで生き延びた人達とは、その年齢まで事故や自殺や生活習慣病などで死んでない人達=生命力の強い人達です。だからその後も長生きする可能性が高いのです。
一方20歳の集団には将来長生きできない人も含まれるため、平均余命が短く算出されるのです。)
そしてあるエッセイで、沖縄県のこの転落の原因は「食の欧米化で寿命が縮んだため。」と紹介され、この説は全国に広まりました。
食品業界でもこの「縮んだ」説を信じている方は多いようです。
ですが、統計学の専門家、上田尚一先生の御著書「統計グラフのウラ・オモテ」によると、それは統計の読み間違いだそうです。詳しくは同著のp236以降に掲載されていますが、要約すると、沖縄県男性の寿命は伸びたものの、その変化が長野県などの伸びと比較して小さかったため、「順位」が下がっただけだとのことです。
一方、こんな噂もあるのですが、これは本当なのでしょうか。
「沖縄県の男性の寿命は一見すると年々伸びているように見える。しかしそれは伝統食を食べて育った高齢者が長寿だからであり、若い世代は食の欧米化によってむしろ早死にしている。これを逆さ仏と呼ぶ。」と。
もしもこの説が事実なら、沖縄県の伝統食はサツマイモと豚肉等だったので、お米や雑穀主体の食事(本土の伝統食)より、サツマイモを主食にして肉を食べた方が長生きできる、ということになりますね。
早速、厚生労働省の統計データを精査しましたが、若者が早死にしているというデータは見つかりませんでした。それどころか、沖縄県の若~中年世代の平均余命が(他都道府県と同じくらいで平凡な値になっている物の)年々伸びている(つまり、若者や中年も以前より長生きになっている)のです。
具体的には「都道府県別生命表の概況」の平成17年版と22年版を比較すれば分かります。
以下はすべて男性の値ですが、
75歳時の平均余命 H17:12.22年→ H22:12.35年 以下同様に次の通り。
65歳 19.16年→19.50年
40歳 40.22年→40.77年
20歳 59.18年→59.93年
このように、沖縄県のどの世代も寿命が伸びているのです。20歳代や40歳代では他県の寿命の伸びの方が大きかったので、ランキングで20数位にとどまっているに過ぎない・・・という訳です。結局、逆さ仏説は嘘、都市伝説でした。
ではなぜ20歳代や40歳代の人達は、65歳代や75歳代の人達のようにランキング上位に入らないのでしょう。
「平成22年都道府県別生命表の概況」より「参考」ページの参考2-2「特定死因を除去した場合の平均寿命の延び(男)」を見ました。
この表を見るとどのような死因が寿命を減らしているかが推測できるからです。
すると、沖縄では肝疾患(お酒の飲み過ぎやウイルス感染等が主因。)による寿命の縮みが全国1位(!)、高血圧性疾患(塩分の取りすぎや精神的ストレスと遺伝的体質が主因。)が全国4位、自殺が全国5位という結果だったのです。
つまり、沖縄県では寿命は年々伸びては居るけれども、そのペースをゆるやかなものにしているのは、食の欧米化ではなくて、お酒の飲み過ぎやストレスや自殺など・・・背後には長引いた不況の影響が考えられるのです。
今までの話をまとめると、どの世代でも沖縄県の寿命は伸びてますので、「食の欧米化によって沖縄県民が危機にさらされている。」という説は誤解と考えられます。食の欧米化対策よりも、お酒の飲み過ぎや自殺などを防ぐ対策が必要と思われます。
(注1:糖尿病は全国9位ですが、運動不足や車社会(沖縄は鉄道が少ない)、お酒の飲み過ぎなども糖尿病の重要な因子なので、食の欧米化が主因とは断定できません。
注2:ありがちな誤解として、上記の表の例えばH22年の数値を例にして
「75歳はあと12.35年も平均余命があるから、足して87.35歳まで生きられる。しかし20歳は足して79.93年しか生きられない。だから若者の方が短命だ。」とする例が考えられます。
しかし、このような比較は、統計の性質上やっても無意味な比較です。
なぜなら、理論上、全国どの地域でも必ず「20歳+平均余命」は「75歳+平均余命」より小さいのです。
75歳まで生き延びた人達とは、その年齢まで事故や自殺や生活習慣病などで死んでない人達=生命力の強い人達です。だからその後も長生きする可能性が高いのです。
一方20歳の集団には将来長生きできない人も含まれるため、平均余命が短く算出されるのです。)