「AI vs.教科書が読めない子どもたち」を執筆した国立情報学研究所の新井紀子教授は、7万人を超える方々に短文読解力テストを実施し、多くの方々が短文を正確に読めない事実に衝撃を受けたそうです。この間の6月17日の日経記事にそう書いてありました。
「そんなに日本人の読解力って落ちてるの?」と首をひねってたら、それを昨日実感しました。芸能関係のニュースに強い「ネタりか」サイトさんの記事「娘がお弁当を全部残してきた・・・」を読んだ時のことです。
記事はこういう内容でした。
障害が原因で特定の食品が食べられないお子さんがいました。その子が小学校の給食で「出された物は残さず全て食べなさい」と指導されて、その苦手な食品が入っていたために、ひどい吐き気で苦しんだのだそうです。それで、お母様で料理研究家の桜井奈々さんが、自身のブログにこう書きました。栄養バランス的には色々食べられた方がいいが、吐き気がする程嫌いな食品を涙を流してまで食べるように指導するのは正しいことなのでしょうか?と。このブログが多くの方々の共感を集めている、と記者は報告しています。
記事の後半には、「しらべえ編集部」が全国の男女1352人に調査して「給食で食べてトラウマになったものがある」と回答した人が全体の約14%だったことも記してありました。そしてネタりかの記事の最後は「無理矢理食べさせることは、正しい食育なのだろうか。」と締めくくられています。
これを読んで、タミアはとても残念に思いました。栄養学者の言う「いろいろなものを食べて栄養バランスを取ろうね!」という台詞は、「どんなものでも何でも食べよう」という話とは全然違うからです。栄養学は、いやな物を無理して食べろとは言ってないからです。栄養学は世界で学ばれている学問ですが、ムスリムの方に豚肉を強制してますか?してませんよね。ベジタリアンに牛肉や昆虫食を強制してますか?してませんよね。そう、栄養学は、いろんなものを食べることをおすすめしてますが、どんな物でも食べろとは言ってないのです。
ところが、どういう訳か、小中学校の食育や給食の担当の先生は「好き嫌いは悪いことだ」という日本の古い考え方と栄養バランス説を頭の中でごちゃごちゃにして、「栄養バランス説はどんな物でも絶対食べろという意味なのね?」と信じてるので、この桜井さんのお子さんのようなかわいそうなケースが発生しているのです。もちろん、ただの食わず嫌いだったら良くないことなので、そういう子には、味付けや見た目などを工夫して食べられるものの種類が増えるようにしてあげられればいいのですが、吐き気がするほど嫌いな物となると話は別です。
新井先生の指摘を思い出してください。「いろいろな物を食べよう」と「何でも好き嫌いなく食べよう」は同じ文章ですか?違う文章ですよね。小中学校の先生でさえも、こんな簡単な文章を正確に理解できないとは。そういうおかしな学校教育を受けた結果だと思いますが、このネタりかの記事に、かなりの数の読者も「嫌いな物があるなんてわがまま。社会ではそんなことは通用しない。親の甘やかしだ。」というようなパターンのコメントに賛同しているので、こういう批判を書いてかっこいいつもりになっている人たちも、実は、困った先生に教育された哀れな被害者なんだなあと思います。
料理研究家の桜井さんも、もしかしたらはっきりとこの点について意識してないのかもしれません。記事によると、桜井先生はいろいろな物を食べることが大事だとは分かっているが「今回みたいなことがあると正直よくわからないです」と困惑しているそうです。桜井先生、どうか自信を持ってください。栄養学は、食べられないものを無理して食べさせる学問ではありません。
宗教や信念など様々な理由で、あるものをどうしても食べられない人がいますし、顎関節症や歯並びの事情で固い肉などが食べられない人もいます。「嫌いなものがあるのはわがまま・親の甘やかし」という人は、そんなことを言うのだったら、ベジタリアンの方に昆虫を食べさせますか?それ、虐待ですよね。
生まれつき嗅覚や触覚が鋭敏なため、特定の物が食べられないという人が料理人にもいます。ある種の食べものの微妙な悪臭などが、他の人より強く感じられるからです。特に発達障害の方には、味覚や臭覚がとても鋭敏で、この特殊能力を生かしてコーヒー専門家として活躍している人もいるほどです。
ガラスや黒板をきーっとひっかく音が苦手な人、いますよね。そういう人を見て「嫌いな音があるなんてわがままだ。親に甘やかされて育ったんだろ」と思いますか?生まれつき嗅覚や臭覚が鋭くて食べられないものがある苦しみも、黒板のひっかき音が苦手な人がいることと全く同じことなんですよ。
また、コメント欄には、「おばあちゃんはご飯と味噌汁と漬物ばかりの食事で90数歳まで長生きしたから、いろいろな物を食べようという栄養学自体が信じられない。」というような意味のことを書いている方もいたけど、そういうコメントは「私のおばあちゃんはカラオケ教室に通ったことがないけど歌が上手だから、カラオケ教室に行くと歌が上手くなるなんて話は信じられない。」と同じ。おばあちゃんは、カラオケ教室に行ってたらさらにもっと歌が上手くなったかもしれないし、栄養バランス良い食事を取ってたら、110歳まで生きてたかもしれない(笑)し。
あ、ちなみに、給食でトラウマになった人が約14%いたということは、「給食で出された食べものは好きになる」という良く聞く噂も「盛り」確定ですね。
新井紀子先生、「いろいろな物を食べよう」と「どんな物でも何でも食べよう」の区別もつかない日本人がたくさんいますので、文章を正しく読める人を増やすためにこれからも頑張ってください。そして桜井先生、どうか元気をだして、お子さんの幸福のため「食べられないものは食べられません」と胸を張ってください。タミアは、お子さんの健やかな成長を心から願っています。
「そんなに日本人の読解力って落ちてるの?」と首をひねってたら、それを昨日実感しました。芸能関係のニュースに強い「ネタりか」サイトさんの記事「娘がお弁当を全部残してきた・・・」を読んだ時のことです。
記事はこういう内容でした。
障害が原因で特定の食品が食べられないお子さんがいました。その子が小学校の給食で「出された物は残さず全て食べなさい」と指導されて、その苦手な食品が入っていたために、ひどい吐き気で苦しんだのだそうです。それで、お母様で料理研究家の桜井奈々さんが、自身のブログにこう書きました。栄養バランス的には色々食べられた方がいいが、吐き気がする程嫌いな食品を涙を流してまで食べるように指導するのは正しいことなのでしょうか?と。このブログが多くの方々の共感を集めている、と記者は報告しています。
記事の後半には、「しらべえ編集部」が全国の男女1352人に調査して「給食で食べてトラウマになったものがある」と回答した人が全体の約14%だったことも記してありました。そしてネタりかの記事の最後は「無理矢理食べさせることは、正しい食育なのだろうか。」と締めくくられています。
これを読んで、タミアはとても残念に思いました。栄養学者の言う「いろいろなものを食べて栄養バランスを取ろうね!」という台詞は、「どんなものでも何でも食べよう」という話とは全然違うからです。栄養学は、いやな物を無理して食べろとは言ってないからです。栄養学は世界で学ばれている学問ですが、ムスリムの方に豚肉を強制してますか?してませんよね。ベジタリアンに牛肉や昆虫食を強制してますか?してませんよね。そう、栄養学は、いろんなものを食べることをおすすめしてますが、どんな物でも食べろとは言ってないのです。
ところが、どういう訳か、小中学校の食育や給食の担当の先生は「好き嫌いは悪いことだ」という日本の古い考え方と栄養バランス説を頭の中でごちゃごちゃにして、「栄養バランス説はどんな物でも絶対食べろという意味なのね?」と信じてるので、この桜井さんのお子さんのようなかわいそうなケースが発生しているのです。もちろん、ただの食わず嫌いだったら良くないことなので、そういう子には、味付けや見た目などを工夫して食べられるものの種類が増えるようにしてあげられればいいのですが、吐き気がするほど嫌いな物となると話は別です。
新井先生の指摘を思い出してください。「いろいろな物を食べよう」と「何でも好き嫌いなく食べよう」は同じ文章ですか?違う文章ですよね。小中学校の先生でさえも、こんな簡単な文章を正確に理解できないとは。そういうおかしな学校教育を受けた結果だと思いますが、このネタりかの記事に、かなりの数の読者も「嫌いな物があるなんてわがまま。社会ではそんなことは通用しない。親の甘やかしだ。」というようなパターンのコメントに賛同しているので、こういう批判を書いてかっこいいつもりになっている人たちも、実は、困った先生に教育された哀れな被害者なんだなあと思います。
料理研究家の桜井さんも、もしかしたらはっきりとこの点について意識してないのかもしれません。記事によると、桜井先生はいろいろな物を食べることが大事だとは分かっているが「今回みたいなことがあると正直よくわからないです」と困惑しているそうです。桜井先生、どうか自信を持ってください。栄養学は、食べられないものを無理して食べさせる学問ではありません。
宗教や信念など様々な理由で、あるものをどうしても食べられない人がいますし、顎関節症や歯並びの事情で固い肉などが食べられない人もいます。「嫌いなものがあるのはわがまま・親の甘やかし」という人は、そんなことを言うのだったら、ベジタリアンの方に昆虫を食べさせますか?それ、虐待ですよね。
生まれつき嗅覚や触覚が鋭敏なため、特定の物が食べられないという人が料理人にもいます。ある種の食べものの微妙な悪臭などが、他の人より強く感じられるからです。特に発達障害の方には、味覚や臭覚がとても鋭敏で、この特殊能力を生かしてコーヒー専門家として活躍している人もいるほどです。
ガラスや黒板をきーっとひっかく音が苦手な人、いますよね。そういう人を見て「嫌いな音があるなんてわがままだ。親に甘やかされて育ったんだろ」と思いますか?生まれつき嗅覚や臭覚が鋭くて食べられないものがある苦しみも、黒板のひっかき音が苦手な人がいることと全く同じことなんですよ。
また、コメント欄には、「おばあちゃんはご飯と味噌汁と漬物ばかりの食事で90数歳まで長生きしたから、いろいろな物を食べようという栄養学自体が信じられない。」というような意味のことを書いている方もいたけど、そういうコメントは「私のおばあちゃんはカラオケ教室に通ったことがないけど歌が上手だから、カラオケ教室に行くと歌が上手くなるなんて話は信じられない。」と同じ。おばあちゃんは、カラオケ教室に行ってたらさらにもっと歌が上手くなったかもしれないし、栄養バランス良い食事を取ってたら、110歳まで生きてたかもしれない(笑)し。
あ、ちなみに、給食でトラウマになった人が約14%いたということは、「給食で出された食べものは好きになる」という良く聞く噂も「盛り」確定ですね。
新井紀子先生、「いろいろな物を食べよう」と「どんな物でも何でも食べよう」の区別もつかない日本人がたくさんいますので、文章を正しく読める人を増やすためにこれからも頑張ってください。そして桜井先生、どうか元気をだして、お子さんの幸福のため「食べられないものは食べられません」と胸を張ってください。タミアは、お子さんの健やかな成長を心から願っています。