タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

「色々な物を食べよう」と「何でも食べよう」は全然違う。

2019年06月20日 | Weblog
「AI vs.教科書が読めない子どもたち」を執筆した国立情報学研究所の新井紀子教授は、7万人を超える方々に短文読解力テストを実施し、多くの方々が短文を正確に読めない事実に衝撃を受けたそうです。この間の6月17日の日経記事にそう書いてありました。
「そんなに日本人の読解力って落ちてるの?」と首をひねってたら、それを昨日実感しました。芸能関係のニュースに強い「ネタりか」サイトさんの記事「娘がお弁当を全部残してきた・・・」を読んだ時のことです。

記事はこういう内容でした。
障害が原因で特定の食品が食べられないお子さんがいました。その子が小学校の給食で「出された物は残さず全て食べなさい」と指導されて、その苦手な食品が入っていたために、ひどい吐き気で苦しんだのだそうです。それで、お母様で料理研究家の桜井奈々さんが、自身のブログにこう書きました。栄養バランス的には色々食べられた方がいいが、吐き気がする程嫌いな食品を涙を流してまで食べるように指導するのは正しいことなのでしょうか?と。このブログが多くの方々の共感を集めている、と記者は報告しています。

記事の後半には、「しらべえ編集部」が全国の男女1352人に調査して「給食で食べてトラウマになったものがある」と回答した人が全体の約14%だったことも記してありました。そしてネタりかの記事の最後は「無理矢理食べさせることは、正しい食育なのだろうか。」と締めくくられています。

これを読んで、タミアはとても残念に思いました。栄養学者の言う「いろいろなものを食べて栄養バランスを取ろうね!」という台詞は、「どんなものでも何でも食べよう」という話とは全然違うからです。栄養学は、いやな物を無理して食べろとは言ってないからです。栄養学は世界で学ばれている学問ですが、ムスリムの方に豚肉を強制してますか?してませんよね。ベジタリアンに牛肉や昆虫食を強制してますか?してませんよね。そう、栄養学は、いろんなものを食べることをおすすめしてますが、どんな物でも食べろとは言ってないのです。

ところが、どういう訳か、小中学校の食育や給食の担当の先生は「好き嫌いは悪いことだ」という日本の古い考え方と栄養バランス説を頭の中でごちゃごちゃにして、「栄養バランス説はどんな物でも絶対食べろという意味なのね?」と信じてるので、この桜井さんのお子さんのようなかわいそうなケースが発生しているのです。もちろん、ただの食わず嫌いだったら良くないことなので、そういう子には、味付けや見た目などを工夫して食べられるものの種類が増えるようにしてあげられればいいのですが、吐き気がするほど嫌いな物となると話は別です。

新井先生の指摘を思い出してください。「いろいろな物を食べよう」と「何でも好き嫌いなく食べよう」は同じ文章ですか?違う文章ですよね。小中学校の先生でさえも、こんな簡単な文章を正確に理解できないとは。そういうおかしな学校教育を受けた結果だと思いますが、このネタりかの記事に、かなりの数の読者も「嫌いな物があるなんてわがまま。社会ではそんなことは通用しない。親の甘やかしだ。」というようなパターンのコメントに賛同しているので、こういう批判を書いてかっこいいつもりになっている人たちも、実は、困った先生に教育された哀れな被害者なんだなあと思います。

料理研究家の桜井さんも、もしかしたらはっきりとこの点について意識してないのかもしれません。記事によると、桜井先生はいろいろな物を食べることが大事だとは分かっているが「今回みたいなことがあると正直よくわからないです」と困惑しているそうです。桜井先生、どうか自信を持ってください。栄養学は、食べられないものを無理して食べさせる学問ではありません。

宗教や信念など様々な理由で、あるものをどうしても食べられない人がいますし、顎関節症や歯並びの事情で固い肉などが食べられない人もいます。「嫌いなものがあるのはわがまま・親の甘やかし」という人は、そんなことを言うのだったら、ベジタリアンの方に昆虫を食べさせますか?それ、虐待ですよね。
生まれつき嗅覚や触覚が鋭敏なため、特定の物が食べられないという人が料理人にもいます。ある種の食べものの微妙な悪臭などが、他の人より強く感じられるからです。特に発達障害の方には、味覚や臭覚がとても鋭敏で、この特殊能力を生かしてコーヒー専門家として活躍している人もいるほどです。
ガラスや黒板をきーっとひっかく音が苦手な人、いますよね。そういう人を見て「嫌いな音があるなんてわがままだ。親に甘やかされて育ったんだろ」と思いますか?生まれつき嗅覚や臭覚が鋭くて食べられないものがある苦しみも、黒板のひっかき音が苦手な人がいることと全く同じことなんですよ。

また、コメント欄には、「おばあちゃんはご飯と味噌汁と漬物ばかりの食事で90数歳まで長生きしたから、いろいろな物を食べようという栄養学自体が信じられない。」というような意味のことを書いている方もいたけど、そういうコメントは「私のおばあちゃんはカラオケ教室に通ったことがないけど歌が上手だから、カラオケ教室に行くと歌が上手くなるなんて話は信じられない。」と同じ。おばあちゃんは、カラオケ教室に行ってたらさらにもっと歌が上手くなったかもしれないし、栄養バランス良い食事を取ってたら、110歳まで生きてたかもしれない(笑)し。
あ、ちなみに、給食でトラウマになった人が約14%いたということは、「給食で出された食べものは好きになる」という良く聞く噂も「盛り」確定ですね。

新井紀子先生、「いろいろな物を食べよう」と「どんな物でも何でも食べよう」の区別もつかない日本人がたくさんいますので、文章を正しく読める人を増やすためにこれからも頑張ってください。そして桜井先生、どうか元気をだして、お子さんの幸福のため「食べられないものは食べられません」と胸を張ってください。タミアは、お子さんの健やかな成長を心から願っています。

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星はなんでも知っている。シュタイナーでどっきり。

2019年06月09日 | Weblog
「あ、あの窓!」
友達のノブさんが指さしたのは、住宅街の一軒屋の窓でした。
そこには、半分透き通った紙で作った幾何学的なお星様。
老舗喫茶店に行く途中でした。
「タミアさん、あれなつかしいね。」
「そうねノブさん。確か10年位前に流行したよね。」
「もう無くなったと思ってた。・・・」

すると、続けて、ノブさんは、意外なことを口走りました。
「あの星って、目印だったな。」

目印?何の?
なにかが私の頭の中で、チカチカと回るのを感じました。

「あれを貼っている家は、オーガニックとかスローなんとかとか、雑誌の宣伝にすぐ飛びつくキャラの女子が住んでるなって、バレバレだったよね。」

そうだ。
そういえば、「センスのいい流行物」を紹介する雑誌で時々見かけたなあ。オーガニック素材の日用品を売る雑貨店と知育玩具店にあった。
有機農産物店にも、なぜか飾ってあった。
「お子さんと一緒に折ってみませんか?」とかなんとか書いたPOPもあって、普通の折り紙とセロファンの中間のような半透明の折り紙の束を売っていた。

この紙を規定の形に8枚?12枚?・・・とにかくたくさん折って、点対称にぐるり並べると星の形になる。これを窓に貼って完成する。
ちょうど息子が幼かったので一瞬気になったけど、でも、息子は折り紙に関心無かったし、同じ形の物をたくさん折るなんて時間ないし、クリスマス以外の時でも星形ばかりおすすめするので「変だなあ」と思って、結局真似しなかったなあ。

目印、と聞いて、私は、何か背中が寒いものを感じました。
黙りこくった私を見て、ノブさんは別の話に切り替えました。
それで、その日はそれまで。その後で詳しく調べて見ました。

その結果分かったこと。あの星は、有機農業マニアやロマンチック系のオカルトが好きな人に大人気の、「シュタイナー教育」の幼児教材でした。シュタイナー教育は知識よりも芸術性や感性を重視するので、そういう教育がツボにはまる子供と全然合わない子供がいます。教育の背後の理論は、とても神秘的な(なぞっぽい)オカルトです。まあ、万人に勧められる物ではなくて、「ごく一部の人には合うかもしれない」ぐらいの話です。
シュタイナー教育の教材は10年前当時、オサレな店とオーガニック系の店に、よく置いてました。この折り紙キットを買った人は、それがシュタイナー教育キットだと知ってたのか、それとも単に流行りできれいだからか、そこは分からない。

けど、つまり、この星を窓に貼ることは・・・・
この家に幼い子供か若い女性がいますよー!
しかも、折り紙に手間暇かける程度の時間の余裕もあるよー!
有機とかスローなんとかってのが好きだよ~!
ロマンチストな上に意識高い系だよ~!
流行と宣伝されると素直に飛びつくお人良しだよ~!

、と自分で叫んでいるようなものです。

・・・背中が寒くなってきました。

本当に効果があるのかよく分からない化粧品や健康食品、キラキラ系宗教、乙女心をくすぐるメルヘンチックなおまじない商品のポスティングする時に、狙いを定めやすいってことです。タミアはそういう連中とは付き合いがないから、彼らがあの星を目印にしたという確証はないけど、そういう商売をしている人が、あの星を飾ってる家を見たら、しめしめカモだと思ったことでしょう。

そう、確かに、あの紙をお店で見たとき、「もっと簡単に折れる花や犬やネコを折って貼ればいいのに、星の形しかおすすめしないのは変だな?」と思ったことがあった。星の形にこだわったのは、シュタイナー教育の面では理論上のわけがあったんだろうけど、日本国内では、偶然だとは信じたいんだけど、結果的にはね、「この家の住民が流行をあっさり取り入れやすいかどうか識別するのにガンガン使えた」、ってことです。

たぶん、今日も、○○を食べ歩きしたり、○○の店に行列作って並ぶのをSNSに投稿したり、○○のカバンや時計を持っていることで、だれかが「お、あいつは宣伝広告に簡単に引っかかるやつだな。」「あれを身につけるなんて、ははーん、あの雑誌の読者だなあ。」
「素直というか、カモられやすいというか、使いやすい人物だね。」と、個人情報の推定に利用されているんでしょう。



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