私の子供時代、1970~80年代のことです。その頃多くの市民団体や生協が、大手メーカーの食品を「健康に悪い」と批判していました。論点の一つが合成着色料でした。「タクアンが黄色くて紅ショウガが赤いのはおかしい!」と。そのころの大勢の普通の人々は「紅ショウガ追放と叫ぶ運動家達が、赤色何号の口紅を塗っているんだから、あきれたね。」と言っていた物です。でも、批判された一部の色素は使用禁止になり、現在では安全性の確認された着色料が使用されています。
運動家達の「合成着色料全廃!」の声は学校教育などを通じて一般に広がり、1990年代後半ぐらいに普通の人たちに浸透しました。そのため、現在の日本では、合成着色料を好まない人が多くなりました。だから、日本国内でヘルシーと言われる食品は、薄茶色など地味な食品が多い傾向があります。カラフルに見えても、子供向けは「クチナシ色素」「紫芋」「緑茶」など「自然の色素で染めました。」が多いですよね。
ところがどっこい。「ヘルシー食品」が日本よりも盛んな米国に行くと、「ヘルシー食品」コーナーには、合成着色料で染められた子供向け食品がたくさんあるんですよ。うそだ、と思ったあなた、米国で「ヘルシー食品」の代表と言われる「シリアル」を画像検索で調べて見てください。米国では様々なメーカーから虹色の子供向けシリアルが売られてますよ。
赤青みどり紫色、目に映る虹色の米国のシリアルやパフは、普通、合成着色料で染められています。多くの米国人にとっては、合成着色料が体に悪いというイメージはもはや過去の話。だって何十年も合成着色料を使っていて、それで健康を害した人がいなかったんですから。こういう点では日本人よりもすごく裁けてますよね。現在の米国人は、着色料よりも栄養成分を重視しているので「何がヘルシーか」日本とは異なるのです。
「ヘルシー」について、日本人と外国の感覚の差は、他にもあります。例えば、欧米ではベジタリアンが卵や牛乳を食べていいのです。魚を食べて良い「ペスカトリアン」というベジタリアンも有名で、それでベジタリアンのスティーブ・ジョブズさんは日本に来ると穴子の寿司を注文していたというわけです。
「欧米では完全に動物性食品をさけるビーガン運動が盛んだ」と日本のマスコミは報じてますが、ビーガンの絶対数は少なくて、厳選した卵や乳製品を食べるベジタリアンの方が多いし、ベジタリアンとビーガン運動をごっちゃにしてる日本人が多いのはすっごく心配です。ビーガンはただの健康法ではなく、動物の命を尊重する運動ですよ。大多数は、他の人が肉を食べることを認めますが、少数のビーガンは肉屋の前でデモをして肉食を追放しようと叫んでいます。ビーガン運動が盛んな欧米では、ビーガン運動家とアンチ派が盛んに議論していますので、「インバウンド客向けの金儲けのチャンス」と思って安易にビーガン料理に首を突っ込むのは、ファンにもアンチにも失礼です。
ちなみに、日本のステーキ店がニューヨークに進出して、当初の予想ほど人気を得られなかった理由の一つは、大都会のニューヨークにいてせっかく牛肉を食べるなら、高級牛肉を雰囲気の良い店で会話を楽しみながら食べる方が消費者に好まれたからだと指摘されています。一部の人が「ニューヨークはベジタリアンだらけだからステーキ店は流行らない。」とコメントしているのは、象の鼻だけみて「象は蛇のような形の動物だ」と言っているようなものです。
もうすぐオリンピックだしインバウンド集客狙いもあって、外国からのお客様に受ける食品を売ろう、という声があちこちで聞かれます。でも、そのたびに、「ヘルシーがトレンドだから茶色い飯や加工食品を売ろう」と言ったり、「ベジタリアンとビーガン狙いが商売のチャンスだ」と言ってぶれまくる人がいるので、赤面します。「既存の日本の古くからの顧客も大事にしてくださいね。外国の方に販売する方向に展開するならするで、ちゃんと市場調査して、海外のお客様の気持ちをくみ取ったおもてなしをしてくださいね。」と言いたくなります。
日本の強みは、いろいろな物が食べられるということです。伝統食から新しい食品まで様々な食がある方が、お客様も選びがいがあるし、気持ちが良いですよね。あんまり報道にふりまわされず、それぞれのメーカーや飲食店がぶれずに顧客を大事にして欲しいなと思うこのごろです。
運動家達の「合成着色料全廃!」の声は学校教育などを通じて一般に広がり、1990年代後半ぐらいに普通の人たちに浸透しました。そのため、現在の日本では、合成着色料を好まない人が多くなりました。だから、日本国内でヘルシーと言われる食品は、薄茶色など地味な食品が多い傾向があります。カラフルに見えても、子供向けは「クチナシ色素」「紫芋」「緑茶」など「自然の色素で染めました。」が多いですよね。
ところがどっこい。「ヘルシー食品」が日本よりも盛んな米国に行くと、「ヘルシー食品」コーナーには、合成着色料で染められた子供向け食品がたくさんあるんですよ。うそだ、と思ったあなた、米国で「ヘルシー食品」の代表と言われる「シリアル」を画像検索で調べて見てください。米国では様々なメーカーから虹色の子供向けシリアルが売られてますよ。
赤青みどり紫色、目に映る虹色の米国のシリアルやパフは、普通、合成着色料で染められています。多くの米国人にとっては、合成着色料が体に悪いというイメージはもはや過去の話。だって何十年も合成着色料を使っていて、それで健康を害した人がいなかったんですから。こういう点では日本人よりもすごく裁けてますよね。現在の米国人は、着色料よりも栄養成分を重視しているので「何がヘルシーか」日本とは異なるのです。
「ヘルシー」について、日本人と外国の感覚の差は、他にもあります。例えば、欧米ではベジタリアンが卵や牛乳を食べていいのです。魚を食べて良い「ペスカトリアン」というベジタリアンも有名で、それでベジタリアンのスティーブ・ジョブズさんは日本に来ると穴子の寿司を注文していたというわけです。
「欧米では完全に動物性食品をさけるビーガン運動が盛んだ」と日本のマスコミは報じてますが、ビーガンの絶対数は少なくて、厳選した卵や乳製品を食べるベジタリアンの方が多いし、ベジタリアンとビーガン運動をごっちゃにしてる日本人が多いのはすっごく心配です。ビーガンはただの健康法ではなく、動物の命を尊重する運動ですよ。大多数は、他の人が肉を食べることを認めますが、少数のビーガンは肉屋の前でデモをして肉食を追放しようと叫んでいます。ビーガン運動が盛んな欧米では、ビーガン運動家とアンチ派が盛んに議論していますので、「インバウンド客向けの金儲けのチャンス」と思って安易にビーガン料理に首を突っ込むのは、ファンにもアンチにも失礼です。
ちなみに、日本のステーキ店がニューヨークに進出して、当初の予想ほど人気を得られなかった理由の一つは、大都会のニューヨークにいてせっかく牛肉を食べるなら、高級牛肉を雰囲気の良い店で会話を楽しみながら食べる方が消費者に好まれたからだと指摘されています。一部の人が「ニューヨークはベジタリアンだらけだからステーキ店は流行らない。」とコメントしているのは、象の鼻だけみて「象は蛇のような形の動物だ」と言っているようなものです。
もうすぐオリンピックだしインバウンド集客狙いもあって、外国からのお客様に受ける食品を売ろう、という声があちこちで聞かれます。でも、そのたびに、「ヘルシーがトレンドだから茶色い飯や加工食品を売ろう」と言ったり、「ベジタリアンとビーガン狙いが商売のチャンスだ」と言ってぶれまくる人がいるので、赤面します。「既存の日本の古くからの顧客も大事にしてくださいね。外国の方に販売する方向に展開するならするで、ちゃんと市場調査して、海外のお客様の気持ちをくみ取ったおもてなしをしてくださいね。」と言いたくなります。
日本の強みは、いろいろな物が食べられるということです。伝統食から新しい食品まで様々な食がある方が、お客様も選びがいがあるし、気持ちが良いですよね。あんまり報道にふりまわされず、それぞれのメーカーや飲食店がぶれずに顧客を大事にして欲しいなと思うこのごろです。