タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

「栄養の常識は変わるから学んでも無駄」説は詭弁。

2018年02月21日 | Weblog
最近、いろいろなところでこういう話を見聞きします。
「栄養学の常識はどんどん変わるから、栄養学なんて信じられない。」
という説です。中には「学ぶだけ無駄。」「栄養士なんて嘘つき。」という過激な意見さえ耳にします。

しかも、タミアの今まで出会った範囲のことですが、なぜかと思って詳しく話を聞くと、どうも一部の人の間で「栄養学は変わるから信じられない」説が出回っているようです。そういう説を信じる方ほど、なぜか食養思想や、疑似科学や、科学を装った政治プロパガンダ(例えば「牛乳は日本人の健康を破壊しようとする○○国の陰謀だ」等の話。)にはまってしまうケースが目立つのも、気になっています。

結論から言うと、「栄養学なんて変わるから信じられない。」という説は論理的に全くのでたらめで、相手にする必要なんかありません。なぜなら学問は変わるものだからです。科学だって歴史学だって文学だって宗教学だって変化しています(仏典や聖書の解釈も過去と現代では変化しています)。
歴史を例に取れば、タミアが学生の頃は「1192(いいくに)作ろう鎌倉幕府」というだじゃれで歴史年表を暗記させられましたが、今では1192年ではないというのが定説です。こんな調子で、歴史の教科書は昔と今で異なる点が多いのですが、では、だからと言って歴史を学ぶことは意味が無いのでしょうか。そんなことはないですよね。

タミアが小学生の頃は、キノコは植物の一種だと教わりました。今では、キノコは植物とも動物とも異なる「菌類」に属するとされています。しかも、米国の大学でよく使用される教科書「キャンベル生物学」には、菌類は植物よりも動物に近いと明記されてます。さすがにキノコがのこのこ歩く訳ではないのですが、実は動物に近いというのはタミアもびっくりしました。菜食主義に基づきキノコばかり食べていたジョン・ケージが生きていたらなんと言うことでしょう。その他にも分類学は大幅な変更があったそうです。じゃあ、分類学は無駄でしょうか。そんなことはないですよね。

変わらない学問があれば、それはイデオロギーです。

学問を学ぶ上で大事なのは、その時代時代の新しい情報を学びアップデートすることです。そして、今分かる範囲でできる限り正確な情報を集めて発信するように努力することです。

そして強調したいことがあります。それは昭和の保健士さんたちは、現代の目から見れば一部間違った情報を伝えていたものの、主軸においては今日でも通じる情報を伝えていたことです。それは何かと言うと、「人間は雑食性の動物であり、一般論としてはいろいろな物を食べる方が、ビタミンやミネラルなどを摂取できてより健康維持に役立つ」という事です。極端な偏食をしている人は、特定の栄養不足や重金属過剰摂取などのリスクが生じてしまうので、健康を維持するのが難しいのです。ですからこの「いろいろな物を食べるほうがおすすめです」という情報はこれからもまず変わらないことでしょう。

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音に色を感じる共感覚は「いろおんぷ」も一因かも?

2018年02月11日 | Weblog
食べものの話では無いのですが、大変気になった話題ですので、紹介させてください
音を聞くと色が頭の中に浮かんで見えるなど、二つの感覚が混じった特殊な知覚「共感覚」という現象が知られています。昔は真偽が疑われたのですが、厳密な研究の結果、本当に存在する珍しい現象と分かっています。ただ、音と色の関係は個人差が激しくて一定の法則性はないと考えられていました。

ところが、新潟大の伊藤浩介助教が、日本人の共感覚者15名にドレミの音を聞かせたところ、虹の色の順番(赤橙黄緑青紫)にほぼ対応していることが発見されたので、ニュースになっています。
新潟大学の12月20日付けプレスリリースによると、15人の平均を取ると、ドが赤、レが黄色、ミが緑、ファが茶色でファ#が橙色、ソが水色、ラが紫、シが薄紫、となる図が掲載されていました。ファの周辺で虹の色の順番が裏返ってしまうのも特徴です。
伊藤先生によると、「ドレミの歌」で「ソは青い空」と歌うことが原因(つまり日本語による生育環境も一因)かもしれないが、ドの赤などが環境要因で説明できないため、脳の未解明の問題にヒントを与えてくれるかもしれないということです。

大変面白い研究だと思います、伊藤先生。たなかすみこ先生の「いろおんぷ」はご存じでしょうか。日本の幼児向け音楽教育の導入(特にピアノ)では、「いろおんぷ」という教材を使用するケースが多いのです。
「いろおんぷ」メソッドでは、ドが赤、レが黄色、ミが緑、ファが橙、ソが空色、ラが紫、シが白であると最初に教え込みます。鍵盤の上にこの虹色のシートを音と色が対応するように置いて、指にも親指に赤、人差し指に黄色、中指に緑、とリボンを巻いて練習します。それだけじゃなく、使用する楽譜も、(通常は黒の)オタマジャクシが白くなっており、先生が色鉛筆を渡して「ドの音には赤い色を、レの音には黄色を塗りましょう。」と指導するのです。

音楽教室に通っていた幼児期、「せんせい、これって虹色の順番に似ているし、レがレモン色、ミが緑色というのも分かるけど、なんで次がいきなりオレンジ色なの?」と尋ねて音楽教室の先生を困らせてしまったことも覚えています。そこで独り合点で、「あ、そうか、ファはファンタオレンジのファですね。」と言ったら、先生がやや引きつった表情で「そ、そうね・・・」と頷いてくれたのを思い出します(笑)。そして、ソが空色、ラが藍(ラン)色すなわち青紫、シは白に基づいていると教えてもらいました。

いろおんぷが関与しているという仮説なら、ファの周辺でオレンジ色となって虹の色の順番をひっくり返してしまう理由も、シの色が薄らぼんやりした色になることも説明がつきます。伊藤先生の次の研究では、いろおんぷを習った方とそうでない方で比較実験してもらえるとうれしいな、と思いました。このブログが今後の科学研究の発展にほんのちょっとだけでも役立つことを願って記しました。

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