タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

日本のアイスが海外で好評!ちょっとうれしい話と統計トリック。

2024年07月16日 | Weblog
7月12日の読売新聞記事は、良記事だと思います。日本のアイスが海外で大受けしているという内容で、森永乳業や日本アイスクリーム協会などにも取材して、財務省統計なども使って説得力のある記事を提供してくれています。
この記事に載ったグラフもとても興味深くて、2014年以降のアイス販売額と輸出額がどちらも右肩上がりです。
輸出の伸びの理由は、訪日客が様々なアイスを買って、帰国後も日本の味を求めているからで、もちろん抹茶味や小豆味も根強い人気があるが、和風味ではないものも含めて日本の現地の味というのが諸外国の人気を集めているそうです。

さて、先日どこかの新聞社(名前は言わない)が、「海外へのラムネ輸出が拡大している理由は、ユネスコの和食の無形文化遺産登録のおかげで知名度が増したからだ、その証拠に2014年以降輸出金額が右肩上がりだ」という趣旨の記事を書いていました。頭が痛くなる内容でした。1年前に別の新聞社もそっくりのを書いていて、このブログで間違いを多数指摘したことがあるからです(ラムネが人気になったのはユネスコとは無関係で、①瓶を開ける面白さ、②もともと欧米の飲料だったのが消えてしまったのに日本にはまだ残っていた!と欧米人が喜んだこと、③日本アニメの影響、④市場流通の工夫で海外消費者が買いやすくなったことです。)

2014年以降のグラフが右肩上がりだから、ユネスコ登録が原因だ、という理屈が通るなら、日本のアイスが海外で大人気なのもユネスコ登録が原因なんですかね?違いますよね。2014年以降、日本の貧困率も少しずつ右肩上がりですし、一人暮らし家庭の数も増えていますが、それもユネスコのおかげですか?違いますよね。あるグラフと偶然似た動きをしている別のグラフを見て「因果関係がある」と言い張るのは、古典的な統計トリックです。

このブログを読んでいる皆さんは論理的思考が身についている方だとは思いますが、改めて言います。だまされないでください。

和食をユネスコ登録するようになった最初の理由は、京都の有名料亭の大物料理人が発案し、国も協力することになったからだと聞いています。まあ要するに、ユネスコ登録の成果が高級和食店の賑わいだけで終わってしまうと、お金持ちへの利益誘導に国税が使われたと言われかねないので、国としては「登録の成果が様々な食品に波及した」と言いたくて仕方ないのです。魚心あれば水心。新聞社も「ユネスコ登録のおかげで様々な食品業界がハッピーになった」という幻想を振りまいているのかもしれませんね。

そういう和食万歳な風潮の中でも「日本アイスが海外で好評なのは美味しかったからだ」と、道理を貫いた記事を書いてくれた読売に大変好感を持ちました。

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