前回の山下さんの番組は録画したので後で見て感想を言おうと思います。その前に、日経の9月16日の記事が間違っているので、指摘しなければなりません。記事のタイトルは「瓶ラムネは過去のもの?」。ラムネのガラス瓶が不足しているという記事です。
この文章の最後に、ラムネ生産量が増えたのは欧米への進出に成功したからだと書いています。そこまではいいのですが、問題なのは、欧米に進出したきっかけは「和食」が2013年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことで欧米で日本独自の食品が注目されるようになったからだとしている部分です。それ、違いますよ!
英語圏のネットをいろいろなタームで検索しましたが、「ユネスコの無形文化遺産ニュースを聞いてラムネに関心を持ちました」なんて話は見つかりません。もしかしたら数十億人の外国人のうち100人ぐらいはそういう人もいたかもしれないけどせいぜいその程度です。
海外でラムネが人気になったのは、まず第一に、独特なボトルの形(コッドボトルと言います。)と開け方が海外のソーシャルメディアで話題になったためです。
その形がそんなに受けるの?と思った方に、一例を紹介します。登録者が9万人いる英語圏ユーチューバーの「1D10CRACY」さんは7ヶ月前にHow to open Japan Soda called Ramune Drink. Why the funny bottle?という動画を公開して705万回再生されています。彼の動画ではBantaを紹介するのも64万回再生されています。
Banta(またはGoli)は、インドのコッドボトル清涼飲料水です。英語圏ウィキペデイアによるとイギリス支配当時からインドに広まったそうで、Bantaの風味は日本のラムネとちがいますが、日本の場合と同様にお祭りに欠かせないドリンクなのだそうです。
コッドボトル飲料は、現在では日本とインドの2カ国だけで販売されているんですよ。
要するに日本文化だからというよりも、「面白い開け方をする瓶だから試して見たくなる」なのです。
しかも、先ほど紹介したラムネ動画へのコメントで、一部の視聴者が「この瓶はもともとヨーロッパで発明されたんだよ」と指摘しています。そうなんです。イギリス人のHiram Coddさんが1872年に特許を取った瓶なのです。発明当時は欧米各国に広まったのですが1892年に金属の王冠でボトルの蓋を閉める方法が発明されたため、コッドボトルは消えていったのでした。イギリスでは1800年代のコッドボトルが収集家のアイテムになっているほど貴重なのです。つまり「僕ら欧米人の間で消えた伝統が、なぜか日本に残っている」というところも面白がられるポイントです。
もう一つ、ラムネ人気を担ったのは1980年代以降に大量に欧米に輸出された日本アニメやマンガです。ラムネを飲むシーンが描かれたため欧米の子供たちが飲んでみたいと思い、数年後には青年や成人になり、一部の人は来日したり何らかの理由でラムネを手に入れました。そこで改めて、欧米の伝統の味「炭酸水」とよく似た美味しい炭酸飲料だと確認し、ネットなどで情報共有して話題をじわじわ広めたのがゼロ年代頃以降です。ユネスコよりずっと早くから欧米でこうして人気のベースが作られたのです。
また、ラムネは様々な味がありますが、ベースは大正時代に日本人が「欧米伝統の炭酸水」をまねて作ったものです。レモネードという言葉がなまってラムネになりましたが、味はレモネードをまねせず、その代わり欧米で日常的に飲まれる炭酸水をベースに甘い味と香りをつけ、のどに心地よい飲み物にしたのです。だから欧米のリピーターがついたのです。
そして、ラムネ消費が拡大した最大の理由は 「アベイラビリティ(手に入るようになった)」これにつきます。欧米のソーシャルメディアが話題に取り上げても、欧米で売ってなければ、「来日しないと飲めません」になる。日本のメーカーや輸出商社が、欧米スーパーとの契約に成功したから、世界中のスーパーでラムネが手に入るようになりました。
これがきっかけで、「わざわざ日本にいってまで飲みたいとは思わないけど1980年代や90年代の子供時代にアニメでみたあの飲み物はどんな味なのか試してみたいな」「インターネットで一部の人が面白くて懐かしい瓶のドリンクがあると言っていたので気になるな。でも探してまで買いたいとも思わないな。」とぼんやり思っていた層にも届いたのです。それで飲んでみたら欧米人にも受ける美味しい味だったのでまた近所のスーパーで買いたい、とリピーターがついた。この「アベイラビリティ」こそがラムネ売り上げに最大の貢献をしています。
新聞社さん、最近やたらと「ユネスコの和食登録が原因で日本の食品が人気」と話をでっち上げるのはなんでですかね?そんなにまでしてユネスコの話を作り上げなければならない理由でもあるんですか? どこかの政治家か官僚にそう言えとお叱りを受けているんですか?本当のところを教えて欲しいものですね。
この文章の最後に、ラムネ生産量が増えたのは欧米への進出に成功したからだと書いています。そこまではいいのですが、問題なのは、欧米に進出したきっかけは「和食」が2013年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことで欧米で日本独自の食品が注目されるようになったからだとしている部分です。それ、違いますよ!
英語圏のネットをいろいろなタームで検索しましたが、「ユネスコの無形文化遺産ニュースを聞いてラムネに関心を持ちました」なんて話は見つかりません。もしかしたら数十億人の外国人のうち100人ぐらいはそういう人もいたかもしれないけどせいぜいその程度です。
海外でラムネが人気になったのは、まず第一に、独特なボトルの形(コッドボトルと言います。)と開け方が海外のソーシャルメディアで話題になったためです。
その形がそんなに受けるの?と思った方に、一例を紹介します。登録者が9万人いる英語圏ユーチューバーの「1D10CRACY」さんは7ヶ月前にHow to open Japan Soda called Ramune Drink. Why the funny bottle?という動画を公開して705万回再生されています。彼の動画ではBantaを紹介するのも64万回再生されています。
Banta(またはGoli)は、インドのコッドボトル清涼飲料水です。英語圏ウィキペデイアによるとイギリス支配当時からインドに広まったそうで、Bantaの風味は日本のラムネとちがいますが、日本の場合と同様にお祭りに欠かせないドリンクなのだそうです。
コッドボトル飲料は、現在では日本とインドの2カ国だけで販売されているんですよ。
要するに日本文化だからというよりも、「面白い開け方をする瓶だから試して見たくなる」なのです。
しかも、先ほど紹介したラムネ動画へのコメントで、一部の視聴者が「この瓶はもともとヨーロッパで発明されたんだよ」と指摘しています。そうなんです。イギリス人のHiram Coddさんが1872年に特許を取った瓶なのです。発明当時は欧米各国に広まったのですが1892年に金属の王冠でボトルの蓋を閉める方法が発明されたため、コッドボトルは消えていったのでした。イギリスでは1800年代のコッドボトルが収集家のアイテムになっているほど貴重なのです。つまり「僕ら欧米人の間で消えた伝統が、なぜか日本に残っている」というところも面白がられるポイントです。
もう一つ、ラムネ人気を担ったのは1980年代以降に大量に欧米に輸出された日本アニメやマンガです。ラムネを飲むシーンが描かれたため欧米の子供たちが飲んでみたいと思い、数年後には青年や成人になり、一部の人は来日したり何らかの理由でラムネを手に入れました。そこで改めて、欧米の伝統の味「炭酸水」とよく似た美味しい炭酸飲料だと確認し、ネットなどで情報共有して話題をじわじわ広めたのがゼロ年代頃以降です。ユネスコよりずっと早くから欧米でこうして人気のベースが作られたのです。
また、ラムネは様々な味がありますが、ベースは大正時代に日本人が「欧米伝統の炭酸水」をまねて作ったものです。レモネードという言葉がなまってラムネになりましたが、味はレモネードをまねせず、その代わり欧米で日常的に飲まれる炭酸水をベースに甘い味と香りをつけ、のどに心地よい飲み物にしたのです。だから欧米のリピーターがついたのです。
そして、ラムネ消費が拡大した最大の理由は 「アベイラビリティ(手に入るようになった)」これにつきます。欧米のソーシャルメディアが話題に取り上げても、欧米で売ってなければ、「来日しないと飲めません」になる。日本のメーカーや輸出商社が、欧米スーパーとの契約に成功したから、世界中のスーパーでラムネが手に入るようになりました。
これがきっかけで、「わざわざ日本にいってまで飲みたいとは思わないけど1980年代や90年代の子供時代にアニメでみたあの飲み物はどんな味なのか試してみたいな」「インターネットで一部の人が面白くて懐かしい瓶のドリンクがあると言っていたので気になるな。でも探してまで買いたいとも思わないな。」とぼんやり思っていた層にも届いたのです。それで飲んでみたら欧米人にも受ける美味しい味だったのでまた近所のスーパーで買いたい、とリピーターがついた。この「アベイラビリティ」こそがラムネ売り上げに最大の貢献をしています。
新聞社さん、最近やたらと「ユネスコの和食登録が原因で日本の食品が人気」と話をでっち上げるのはなんでですかね?そんなにまでしてユネスコの話を作り上げなければならない理由でもあるんですか? どこかの政治家か官僚にそう言えとお叱りを受けているんですか?本当のところを教えて欲しいものですね。