タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

成田さんと読者の皆様へ御礼。&なぜ長野は長寿県?

2016年03月25日 | Weblog
前回のこのブログを成田さんがご覧になったそうで、しかも御礼を言っていただき、大感謝です。
少しはお役にたてたのかなと思うと、とっても嬉しいです。
ツイッターや「はてな」は使えないので、直接お礼を言えなくて済みませんが、
この場を借りて御礼を申しあげます。

また、多くの読者の方にもご感想をいただき励みになりました。
仕事と家庭の両立で忙しいので頻繁にアップできないのがもどかしいのですが、
これからも少しずつ書きますので、楽しみにしていただけると嬉しいです。

今日は長野県の長命説への微妙な違和感を記します。
1~2年前に「長野県が長寿県なのはりんごを食べているおかげだ!」
という説を耳にしたのですが、それを言ったら青森県の方々も沢山りんごを食べていると思います。
残念なことに青森県は長寿県とは言いがたい状況で、なんとか改善しようと多くの医療関係者や栄養士さんなどがご尽力されています。

りんごのおかげではない、ということが広まってきたためなのでしょうか、
最近は「長野県が長寿県なのはつけものを食べているおかげだ!」という奇妙な説を耳にするようになりました。
でも、長野県の人がつけものを沢山食べていた昭和期、長野はむしろ短命な県だったのです。

長野の佐久総合病院の若月俊一先生は、昭和期、長野の農家の皆さんの健康状態の悪さに衝撃を受け、農家の健康のために一生を捧げました。この功績を称えられてマグサイサイ賞を受賞されています。
こうした先生をはじめ、大勢の医療機関の先生や栄養士、保健婦、生活改良普及員などが、伝統食の栄養バランスの悪さの問題に気づき、長野の方々に栄養バランスの取れた食事を指導し、味噌汁や漬け物などの塩分をへらす指導をし、健康に良い運動なども勧めたことなど、多様な要素が重なって、長寿県になったのだと考えられます(鎌田實先生のお書きになった文章等を参考にしました)。

単一の食品を取りだして「これのおかげで長野は長寿になった」という話は、多くの方々のご尽力を無にしてしまう。
黒子となって努力された多くの関係者がいることを忘れないで欲しいと思います。

ちょうど庭先のわすれな草が咲きました。「私を忘れないで」そういう花言葉を持つ花です。
そんな花を眺めながら、先人の努力を後世に伝えなければならないと思うこの頃です。

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成田崇信さんのyahoo!ニュース記事が一部で誤解されているので。

2016年03月20日 | Weblog
このブログでも著書を推薦した成田さんですが、3月17日のyahoo!記事に「ヨーグルトでカゼを予防できるって本当?」というコラムを書いて評判になりました。その内容は

(1)法律上、食品は効能をうたって販売できないこと。
(2)例外として特保や栄養機能食品は表示や広告が可能だが、ヨーグルトの特保はカゼ予防をうたえないこと。
(3)ヨーグルトの効能を証明したとする論文を読んだら内容が不備だったこと。
などを紹介する記事です。

ところが、このコラムに一部の方々が、話題のRという商品を知らずに書いてるコラムで知識不足だ、という趣旨のコメントを寄せられていました。

うーん、残念ながらこれらのコメントは、我が国の法律について誤解されているものと思われます。(1)と(2)からも分かる通り、本当にカゼに効能のあるヨーグルトが開発されても現在の法律では、普通の食品と栄養機能食品と特保ヨーグルトは、食品パッケージ表示や広告などで「カゼに効く」と言うのは禁止されているのです。

打開方法として、機能性表示食品制度という別の枠組みを利用するという手段もあるのですが、そのためには「健康な人の風邪予防に効く」ということを学術論文で証明しなければならないのです。(念のため記すのですが、特保と機能性表示食品制度は、健康な人の健康維持のための制度です。治療効果があるような表示はできません。)

「研究で風邪予防効果が認められた」と一部のニュースで話題になった商品Rですが、3月18日現在で機能性表示食品申請をしてません。ですから現状では、パッケージや広告では、カゼ予防効果は一切言っていません。言えば消費者庁から指導されますので。

「でも、Rを開発した会社のホームページにこの研究成果が載っていますよ。これは広告や宣伝ですよね?」と疑問をもつ方も多いことと思います。実は、該当の研究成果ページには、商品Rのことは全く書かれていないので、広告宣伝に該当しないのです。あくまでも、「Xという乳酸菌を含むヨーグルトを被験者に食べてもらったらカゼに罹りにくくなった。」と、Xの有用性を訴える研究成果のページなのです。そして、別途、商品Rの広告ページと商品パッケージ表示には「Xを含みます」と書いてある訳です。この方法なら法律上問題がないのです。

「では、この商品Rはカゼ予防に効能があるのに、法律上の壁で表示ができないということ?法律の方がおかしいのでは?」と思った方、成田さんの(3)を読み返して下さい。そうなんですよ。実は、当該実験のうち風邪予防効果を実証したとされる実験では、プラシーボのヨーグルト(効果を見たいヨーグルトと外見上区別が付かないヨーグルト。)が用意されておらず、被験者を「牛乳を飲むグループ」と「ヨーグルトを食べるグループ」に分けての試験だったのです。

人間は結構気の持ちようで病気が良くなったりすることもあるもので、ただの小麦粉を薬だと聞かされて飲んでも病気が軽快することがあります。古い日本のことわざでも「鰯の頭も信心」ともいいますね。これをプラシーボ効果またはプラセボ効果というのですが、これと同じことで、二グループに分けられたとき、「新商品のヨーグルトを食べさせてもらえる」と聞かされたグループはそれだけで気持ちがワクワクして元気がでちゃった可能性があるのです。だから、厳密な実験のためには、もう一つのグループにも、外見のそっくりなヨーグルトを渡して「これは新商品のヨーグルトです」と同じ説明を聞かされる必要があったのです。

もちろん、後日同じ乳酸菌Xについて行った、「インフルエンザに効果があるかどうか」の実験ではちゃんとプラシーボのヨーグルトを準備していました(さすが!)。ただ、残念ながらこの実験の結果は「インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があるということを明らかにした」と、ホームページに誠実に記載されています。つまり、ワクチンの効果を高める「可能性」はあるが、インフルエンザ予防に実際に効くかどうかまでは不明だったということをこの論文は述べて居るのです。この誠実ぶりもさすがは大手メーカーだと思います。

さて、以上より、商品Rについては、風邪に有効かどうか、まだ判定が難しいということがおわかりいただけたかと思います。とはいえ、インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があることは分かったので、今後この研究が発展すれば、将来的には商品Rにカゼやインフルエンザの予防効果があることがはっきり証明されるかもしれません。

しかし、現時点ではまだ証明されてないものを、あたかも証明済みかのように言うのはよくないことです。ですから商品Rはカゼ予防効果があるとは一切謳っていませんし、一般論としても現在のところ、ヨーグルトにカゼ予防効果があることを広告・パッケージ表示などに記すことは禁止されているのです。

これで、成田さんのコラムが、知識不足や誤解に基づく記述ではないことがご理解いただけたかと思います。これからも成田さんのコラムを楽しみにしたいですね。

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流行の後ろにある歴史の重み。

2016年03月12日 | Weblog
前回ご紹介した、河上睦子先生の「いま、なぜ食の思想か」のp50には「八紘一宇」という言葉が登場します。この言葉については河上先生も補足されていますが、この言葉が大流行した第二次世界大戦中の日本の家族制度を説明しないと、分かりづらいかもしれませんね。

「八紘一宇」とは全世界を一つにまとめて、当時の日本のような「家父長制」(父親には様々な権利があるが、女性は財産権もなく発言権なども弱い制度)の「家」にする考え方です。戦時中には熱狂的に支持された言葉でしたが、敗戦後の日本人は「ではお母さん役や娘役はどの国?」と気がつき、この言葉を使うのを止めたのでした。

さて、河上先生のこの本のp49~53を読んで「まさか信じられない」と思った方は、岩波現代文庫の南博先生の「日本人論」p180もご覧下さい。河上先生のお話と相補的な、貴重な情報が載っています。

食品関係の仕事をしていると、マーケティングの人からたまに「ヘルシーとかロハスとかエシカルとかが流行だから、そういうイメージを全面に出した商品を作れば売れるんじゃないの。」という話を耳にします。ですが河上先生と南先生の本を重ね合わせて読むと、物事を表面的に捉えてはいけないことを再確認します。

流行だからと安易に飛びつくことの恐ろしさ。流行の後ろにある歴史の重たさ。
私達は過去から多くのことを学ばねばなりません。

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河上睦子先生の「いま、なぜ食の思想か」をおすすめ

2016年03月08日 | Weblog
ある理由から、この本の内容について詳しく記すことはできません。
しかし、このブログをご覧の方々にとっては、きっと聞き逃すことの出来ないすごい話が、この本に載っています。
特に第一章については、マクロビオティックの歴史を語りたい人にとっては必読の、基本文献となることでしょう。

衝撃的な内容なため、ここに内容を記すことは出来ません。
社会評論社から出版されています。
あなたの目で確かめて下さい。

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