タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

「健康や有機」で儲かる説は誤解。

2018年04月22日 | Weblog
よくある話なのですが、食品販売の仕事をしようとする人の中に、しばしば「健康に良いとかオーガニックとか言えば、儲かるんでしょう?」と勘違いしている人がいます。申し訳ありませんが、この業界はそんなに甘くありません。外食でも小売業でもそうです。今回はそんな例を紹介したいと思います。

○ある都内の小さなスーパーですが、とても残念な販売方法をしていました。いままでの野菜売り場の一角を有機農産物売り場に変えて、そこにマネキンさん(試食販売を担当する人のこと。)を立たせて「このコーナーの野菜は有機栽培だから安全・安心です。どうか召し上がってください!!」と言わせたのです。その結果逆に店の雰囲気が妙になってしまったのです。

理由、分かりますよね?念のために説明すると、多くのお客さんはこう思ったのですよ。「このスーパーのその他の野菜は安全でも安心でもないってこと?」と。
このスーパーは野菜よりも別のキラーコンテンツがある店だったので、経営は盤石と聞いていますが、大声を張り上げるほどお客様が不安な様子で遠ざかるので、マネキンさんの顔には徒労感がにじみ出ていて、はたで見ていてとてもいたたまれませんでした。

○衣類を含めてオーガニックをコンセプトにした店が半年持たずに閉店、という事例を目にしています。店主がオーガニックにこだわるわりに、立地や客層そのほかの様々な面で素人経営だったのです。「正しい食品」を自称する専門店が閑古鳥でほとんど開店休業に近いのを目撃した時も、少ししなび始めた野菜にそんなに高い値段をつけるのか、と絶句せざるを得ない状況でした。いずれも店主の「うちの商品が正しいんだあ!」的理念が先行して、購入する方の気持ちには配慮しなかった事例です。

○外食産業でも、ヘルシー系メニューが増えているように見えますよね。例えば青汁を使った料理を出す店とか。このため、業界史を知らない人は、ヘルシーだから売れているのだと錯覚してしまいます。実は、最近青汁が話題になっている理由は、「おいしくなったから」です。
 昭和から平成初期にかけて青汁は「まずい」食べものの代名詞であり、だから外食などでは販売されませんでした。自然食品愛好家の間では「体に良いものは味が悪くて当然であり、だから健康を追求することは苦行に近いことだ。苦痛をあえて我慢してこそ健康になる。」という考え方が平成の初めの頃までは普通でした。詳しく知りたい方は「まずーい、もういっぱい!ていうコマーシャルが昔あったって本当ですか?」と40代以上の方に聞いてみてください。たぶん「懐かしい!」といいながら答えてくれますよ。
 昔の青汁はケール100%で苦かったのですが、現在の青汁は果汁なども混ぜて美味しく仕上げているものが多く、だから外食で人気が出てきているのです。

そのほかにも、有名企業で、健康的なイメージや低農薬などを売り物にして、かえって売り上げが低迷しているところが複数あります。ここで名前を出さなくても、しばしばマスコミやネットでも話題になっていので、おそらく多くの読者が気がつくことでしょう。消費者の皆様に喜んでいただく商品を作るのは、とても大変なことです。儲かりそうだからという安易な考えではなく、誠心誠意を込めて、また健康についてはエビデンスも確認して、しっかりと取り組むことが大事だと思います。





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