清き心と未知なるものの為に⑬・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より
新たなる岸辺に向かって?
一瞬ごとに、おまえはいまのおまえを選ぶ。しかし、おまえはおまえ自身を選んでいるか。
魂と肉体とは無数の可能性を宿しており、それをもってすれば、おまえは同じく自我を築く
ことができる。しかし、そのうち唯一の可能性のみが、選ぶ者と選ばれる存在とのまったき
一致に達する。唯一の可能性あるのみ。--------おまえは、好奇心をそそられたり、貪欲ゆえに
心を惹かれたりして、なにかほかのものはないかと、あれこれの存在や行為の萌芽をいじく
りまわしたりするが、そんな時、おまえはあまりに皮相で遊び半分だから、人生の至高の神
秘にかんする自分の体験に掟をおろすことも、また、おまえに託された、おまえの「自我」
という一タラント(神から人に委ねられたものとしての素質。才能をたとえたもの)を自覚し
ていることもできない。このような、なにかほかのものの萌芽をすべて押しのけることに
よってのみ、おまえはあの唯一の可能性を見出すのである。