水雲問答➂ 大治大乱、小治小乱
雲 夏日のような日、雲一つなく晴れ渡っているかと思うと、僅かに風が出て雷が鳴り、
あっというまに雨が降るという変化がある。自然現象のこの変化によってことを考えま
すと、俗に「好事・魔多し」といわれるように、甚だよいということは、また半面、い
つ甚だよくないことになるかもしれないのであります。陰陽消息のことわり、治乱興亡
の理法はみなそうであります。
数とは「かず」のことですが、こういう場合には造化のはたらきのなかに含まれてお
る複雑微妙な因果関係のことてあります。この理法がきわめて常識的でないことを数奇
と申します。故に大いに治まれば大いに乱れ、少なく治まれば少なく乱れる。ところが、
政治や経営というものは本当に難しいもので、余り厳格にしますとみんなが緊張してし
まって下情が見えない。半面に、寛大にしておいても、引き締まってよく治まることが
ある。それは徒に人々を威服。おどして服従させようとしても、逆に悔りを受けて失敗
する結果になるからであります。大小の事、それぞれに事情があって、なかなか杓子定
規には行かぬものであります。
水 大変面白く承りました。
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