オイラの母方のルーツは、神主だった。
そのためか、30代くらいまではオイラにも、ちょっとした霊感があった。
何度か、心霊現象に遭遇している。
しかし、40歳を過ぎた頃から、ピタッと、そうした心霊現象は感じなくなった。
この所、暑い日が続いている北海道。
これから何回かに分けて、ちょっとばかり背筋が冷たくなるような体験談をお聞かせします。
怖がりの人は、この先、絶対に読んではいけません。。。。。。
何があってもオイラは責任が取れません。
-----------------
第1話 「アンパン」
-----------------
その日は札幌から函館まで出張した帰りだった。
クルマを運転して一人。
某町に差し掛かった頃には、すっかり陽が落ちて暗くなってしまっていた。
「夕飯はどうしようかな。お腹もすいたし、どこかのドライブインにでも入ろうかな」
「でもな、その分、札幌に着くのが遅れてしまうな。。。。」
「ああ、こんな所に、ちょうどコンビニが。」
「何かパンでも買って、走りながら食べようっと。。。」
そんな自問自答をしながら、コンビニでアンパンを一つ買った。。。
その街を過ぎると、またしばらく暗い一本道が続いていく。。。。
北海道の地方国道は、この時間帯になると対向車もまばらだ。。。。
自分のクルマのヘッドライトだけが、前方の進路を照らしている。
走りながら左手で、アンパンの封を切った。。。。
一口目を口に含む。。。。
「ん?」
「なんだ。。。。」
誰かに覗かれているような視線を感じる。。。。
バックミラーを確認する。
何もない。
迫ってくる後続車もない。。。。
「気のせいか。。。。」
二口目をかじる。。。。
「うわぁ。。。。なんだ。。。。」
真後ろの後部座席から、蜘蛛の巣を被せられたような、嫌な感覚が襲ってくる。。。。
無意識に、だが、懸命にその蜘蛛の巣を振り払っている自分がいる。。。。
「クルマを止めてはいけない。。。。」
直感がした。。。。
「何かがくる。。。。」
アクセルを踏み増す。。。。
動悸が収まらない。。。。
「まだ、憑いて来ている。。。」
後頭部の感覚がそう教えている。。。
「・・・・・・・」
声ではない何かがオイラに語りかけてくる。。。
「勘弁してくれ!」
小さな声になった。。。
「・・・・・・・」
終わることなく、語りかけてくる。。。
いや、語りかけてくるというよりねだられている感じがする。。。。
「何なんだ。。。。」
ふと、助手席を見る。。。。。
「ア、アンパンだ。。。。。」
何かは、アンパンをねだっているのだ。。。。。
きっとそうだ。。。。。
オイラの第六感がそう判断した。。。。
運転席の窓を開けた。。。。。。
2口かじったアンパンを外に放った。。。。。
なるべく遠くに。。。。。。
アンパンは、道ばたの低い竹藪の中に消えていった。。。。。
ふっ。。。。。。
そんな感じで、後頭部にまとわりついていた、あの蜘蛛の巣が消えた。
「あぁ、やっぱり。。。。。」
それが、何だったのかは判らない。
オイラは動物霊を感じることが多いようだった。
この時の、あの蜘蛛の巣も動物霊なのか。。。。。。
それから数日後、あの現象の原因を探るべくインターネット情報を収集した。
その場所は、いわゆる心霊スポットにはなっていない。
ただ。。。。。。。
その場所で、交通事故により幼い男の子が亡くなっていることだけはわかった。。。。。