■ラッコマンの喫茶室■

北海道からオリジナルフォーク、クルマの話題などを発信します。

真夏の夜のミステリー第3話 怖がりの人は絶対に読んではいけません。。。

2017-07-22 | 怪談

真夏の夜のミステリー第3話

それは高校2年の夏。。。。

同級生の何人か夏休みを利用してオイラの田舎に遊びにきた時のことです。

男の子が5人、女の子が3人だったように記憶しています。

都会育ちの同級生にとって、オイラの育った山の暮らしは珍しさもあったのでしょう。

みんな喜んで訪ねてくれたのです。。。。。

しかし、あんなことに遭遇するとは誰が想像したでしょうか。。。。。

これはオイラの体験談ですが、怖がりの人は絶対に読んではいけません。

どんなことがあってもオイラは責任が取れません。。。。。。。

--------------------------------

第3話 けもの道

--------------------------------

同級生たちは、その日の午後からオイラの家にやってきた。。。。

晴天で真っ青な空が広がり、焼けるような暑い日だった。。。。

オイラの家は貧しかったが、母親としては、息子の友達が初めて家に遊びにくるということで、精一杯の接待をしてくれたのだろう。。。

近所の畑で取れるトウキビやら、スイカやらで、もてなしてくれた。。。

友達は皆、喜んで大いに笑った。。。。。

食事の後、手軽なハイキング気分で、オイラが小学生の頃によく遊んだ河へ、みんなを連れていった。

そこは、山道を登って林道を歩き、細くなった道の途中から脇道、滝の音のする方に、ちょっと下ったところだ。

山の子供たちにとっては、河と滝が自然のプールというか、夏休みの社交場だった。

よく滝から河に飛び込んで遊んでいた。。。。

そんな馴染みの山道を歩いていると、女の子の一人が「キャーッ」と声を上げた。

足下に、小振りな茶色の蛇がくねっていた。

「お==、それはマムシで危ないから離れてね!」

オイラは得意げに知識を披露した。。。。

午後4時を回った頃に、女の子たちは2キロ先にある駅に向かって歩いて帰宅していった。

残された男の子らは、さすがに、ちょっと白けた感じにはなったが、その日はテントを2張りはってキャンプすることにしていたので、落胆してばかりはいられなかった。

せっかくなので、昼間に遊んだあの河のそばでキャンプしようということになって、リヤカーに荷物を積んで少年たちは、またあの林道を登っていった。。。。

河に下る道の脇に、ちょっと開けた場所があった。

その場所からも、奥に向かって河の方に小さな道が続いている。。。

ちょうどテント2張りが設置できるような広さだった。。。。

5人は、そこにテントを張り、キャンプファイアーをした。。。

今にして思えばまじめな高校生だったのだろう。

田舎の集落だから、手軽に酒が手に入らないこともあって、その日、アルコールは抜き。

午後7時~8時になると山の中は、真っ暗になる。

星の光が天上一杯に広がっていたのを覚えている。

昼間の遊びの疲れもあって男の子達は、早々にテントで眠ることにした。。。。

テントの中で、ほんの何分か、たわいもないおしゃべりをしていたが、皆、すぅ~と眠りに落ちていった。。。

どれぐらい時間が経ったのだろう。。。。

オイラは、例のザワザワとした嫌な予感を感じ、テントの中で一人、目を覚ました。。。。

ゴーという滝の音が遠くに聞こえている。

テントの周囲は静かだ。。。。。

風が止まっているのか、笹の葉音がしない。。。。。

虫の声がない。

河が近いし、カエルの声くらい聞こえてもよさそうなものだがな。。。。。

そんなことを漠然と考えていた。。。。。

その時、「バーーン」という轟音とともに、テントの中を頭の方から足の方に向かって「何か」が飛んだ。。。。。

透明な固まりだ!

「うぁ==」

オイラは青くなった。。。。

何だ!今のは。。。。。。

テントは倒れていない。。。。

他の友達は寝たままだ。。。。。。

あの音に気づかなかったのか。。。。

テントの周囲から異音は聞こえてこない。。。。。

腕時計を見る。。。

腕時計の蛍光塗料の針が、午前2時をちょっと回った所にあった。

「気のせいだったのか?」

その時、もう一度、「バーーン」という音とともに何かが飛んだ。。。。

また頭から足に向かって。。。。。

「ギャ==」

今度は隣に寝ていた友人も気が付いたようだ。。。。。

「何だ、今の音?」

「う、うん、何かは判らないが足の方に飛んで行った。」

「みんなを起こした方がいいかな?」

「そうだな。もし熊なんてことになったら大変だから。火を炊こう。」

みんなは、得体のしれない「何か」におびえながらキャンプファイアーの回りに集まって一夜を明かした。。。。

その「何か」は2度ばかり、少年たちを驚かせただけで、その後は何も起こらなかった。。。。

おびえていたためか、翌朝は日が昇るとともに、みんなでテントを畳みはじめた。。。。。

「グァー」

友達の押しつぶしたような声がした。。。。

「どうした?」

みんなが駆け寄る。。。。

友人の指先が射す方向、テントの中にマムシがとぐろを巻いていた。。。。

きわどい所で、何事もなく終わってよかったのだが、果たして、あの「何か」は何だったんだろうか。。。。

2つの考え方ができるように思う。

一つはマムシに襲われそうになった子供たちを救おうとする何かの手助けだ。

子供たちに危険を知らせるために、ああやって起こしてくれたのかもしれない。

そしてもう一つは、オイラたちがテントを張った場所が「けもの道」であり、「けものの霊」のとおり道でもあった。

オイラたちは、手軽に「けもの道」を遮ってテントを張ってしまったのかもしれない。

そう考えた方が、オイラのいつもの嫌な予感に関しては納得がいくのだ。。。。

マムシがテントの中に入っていたことの説明もつく。。。

けものたちは、この道を使って、むこうの河へ行き来していたのかもしれない。。。

そして、けものたちの霊も。。。。。。

-------

さてさて、夏まっ盛り。。。。

これからキャンプでもしようとお考えの貴方。。。。

けっして「けもの道」にテントを張ってはいけません。。。

そこは「けものの霊」のとおり道でもあるのです。。。。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする