真夏の夜のミステリー第2話をお聞かせしましょう。。。。
これはオイラの体験談ですが、怖がりの人は絶対に読んではいけません。
何があっても、オイラは責任が取れません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2話 居心地の悪いスナック
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その店は市内の繁華街からやや離れた所にあった。
あれは今から30年も前のことになる。
オイラは30才を過ぎたころ。
季節は秋から冬になろうとしていた。
仕事の打ち上げということで、仕事帰りに職場の仲間10人程度でスナックに出かけた。
誰かが予約していたのだろうと思うが、オイラには初めての店だった。
同僚に案内されるままに和気あいあいと徒歩で、その店に向かった。
スナックの前に到着した時には、辺りは真っ暗になっていた。
古い住宅やら、事務所・倉庫やらが集まった一角。
2階建のコンクリート造りで、小奇麗な感じではあるが、周辺の暗さから、何やらポツンとした感じで、その店の灯りが点いている。
重厚な感じの入口ドアを開けて店内へ。
「うわぁ」
いきなり「ブルッ」ときた。
いつもの、あの首筋の後ろがザワザワするような感じである。
「これは何かあるな」
嫌な予感がよぎった。
店の奥のソファー席に案内された。
マスターとママさん、あと若い女性の方がお一人いたように記憶している。
オイラたちの他に客はおらず、入店時は、いたく静かな感じの店だった、
酒が入ると、同僚たちのボルテージも上がり、笑い声やらカラオケやらが店内に満ちた。
オイラも次第に、あの嫌な予感を忘れ、楽しくバーボンウィスキーを飲んでいたと思う。
1時間くらいも経っただろうか。
その硬直はいきなりきた。
背筋から首にかけて、ずっしりと重くなり、ギューッと筋肉が硬直していく。
背中が金縛りにあったような感覚だ。
「こ、これはまずい。」
「やはり、ここには何かがいる」
見える訳ではない。
聞こえる訳でもない。
よって確証はない、
しかしオイラの第六感は、あきらかに邪悪なイメージと、身の危険を察知している。
首を左右に振ったり、回したり、口を開け閉めしたり、自分なりに懸命に抵抗した。
しばらくすると、硬直は「ふぅ~」と消えていった。
「ちょっと飲みすぎたようなので先に帰るわ~」
怖くなったオイラは、そう言って仲間より、先に店を出ることにした。
出口に向かって、オイラは驚きとともに、確信した。
入った時には気にも留めなかったが、薄暗い左の壁一面に来訪者のものであろうポラロイド顔写真が貼られている。
壁一面だ。
これはいけない。
不特定の人の顔写真だけを、こうして数多く集めていると、必ず寂しい霊が集まってくる。
この店で感じたあの硬直感はただものではない。
ひとつ二つではないと思う。
それも邪悪なイメージ、緊迫感を強く感じたのだ。
その日、帰宅時には、まき塩で身を清めた。
それからオイラは二度と、その店には行っていない。
翌日、その店の場所を地図で確認してみた。
そして改めて恐怖に包まれた。
店の先には、大災害で亡くなった多くの方をまつった慰霊堂が建っているのだ。。。。