ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

贖罪

2012-08-10 23:57:37 | 本を読みました

「贖罪」 湊かなえ著 双葉文庫

 

 

【あらすじ】

街の自慢といえば、「空気がきれいなこと」。

そんな田舎町で、5体ものフランス人形盗難事件と

少女暴行殺人事件が起きる。

少女は、ある男に連れて行かれた。

直前まで少女と遊んでいて、男の顔を見ているのに

顔を思い出せない女の子4人。

その女の子たちに、

「あんたたちは人殺しよ!

 わたしはあんたたちを絶対に許さない。

 時効までに犯人を見つけなさい。

 それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。」

と殺された少女の母親は言った。

償いとは。。なにか。。

 

女の子たちのその後について、

手紙、告白等で語られていく。

 

みな心に深い傷をおっていた。。。。。。。。。

とても深い深い傷を。

 

少女の母親は、

女の子たちが、

「事件を忘れて生活している」と思っていた。

 

 

 

 

 

 

あとはネタばれを含めた感想です。

ぐいぐいと引きこまれて行ってしまう作品です。

 

まず。。

紗英の手紙長すぎない???

定形郵便では届きません。

もっともパソコンで打ってプリントアウトするなら

あり得る長さかも。。。

 

女の子たち4人の手紙・告白と麻子の手紙から

この小説は構成されています。

 

 

 

『紗英の手紙』

紗英は、

「エミリちゃん(殺された少女)は大人の身体だったから殺されたんだ」

と思いこみ、大人になるのを拒んだ。

25歳になっても生理は来なかった。

そんな紗英をある御曹司が見染める。

紗英は身体のことを話すがそれでもよいと結婚する。

けれど、夫は紗英を愛していたわけじゃなかった。

ある結末後、紗英は少女の母麻子に手紙を書く。

少女との出会いから今日までのことを。

そして犯人を見つけられなかったことと償いについて書いた。

その中で、犯人は「30代前半だったと」書いた。

 

 

『真紀の告白(語り)』

あの事件から、「しっかり者」になり、

常に人をリーダーとして引っ張っていかなくてはと思い、

小学校教師になった真紀。

プールの授業の時に不審者が侵入し、

サバイバルナイフで子供たちを襲う。

子供を守るために、果敢に不審者に立ち向かう真紀。

それが真紀の償いだった。

けれど、子供を救った英雄から無抵抗な不審者を

何度も蹴り、殺したと世論が真紀を責める。

真紀は臨時のPTA総会でこの事件のあらましと

かっての殺人事件のことを話す。

その会場に麻子がいた。

そして犯人が誰に似ているか思い出したことを語る。

 

 

『晶子の告白』

晶子はがっちりした体格でくまのようだった。

そんな晶子は、よそ行きの服を買ってもらう。

親の見た目でも、似合わなかった。

でも、晶子はそれがうれしくて遊びに来て行ってしまう。

その時に殺人事件は起きる。

事件をエミリの母に事件を伝えるために走る。

けれど、動揺したエミリの母は晶子を突き飛ばす。

突き飛ばされた晶子は額を切り鼻血を出して

よそ行きの服は血だらけになってしまう。

洗っても取れなかった。

晶子は「あんな服を着たからエミリちゃんは死んだ。

くまはくまらしく生活するべきだ」と

人と接することを拒み、ひきこもりになってしまう。

 

25歳になったとき、晶子の兄が結婚した。

わけありの子持ちの女性と。

晶子のその娘と仲良くなり、

髪を切り、服装も変えた。

ある日、兄家族の住むアパートにいって

晶子が見たものは、また、とった行動とは。。。

晶子の贖罪とは。

 

そして、晶子は

「くまはくまらしくすればよかったのよね」と

ひきこもりから家を出たことを後悔したと

カウンセラー(麻子)にエミリのことから今までのことを語る。

その中で、エミリの事件があった日、

いとこのその彼女が街で見かけた人がいた。

それから数年後、いとことその彼女が晶子の家に泊まった時、

いとこはそのときのことを思い出し、彼女に語りかける。

「こんなところにいるはずない人だったの」と

たまたま手元にあった週刊誌を見ながらこの人にだったと

語っていたのを聞いた。

それがだれだったか、麻子に語ったのだった。

 

 

『由佳の語り』

エミリの事件の時、唯一、現場に来なかった由佳の母。

由佳の姉の調子が悪かったのが理由だった。

由佳は警察官安藤に家まで送ってもらう。

安藤の手の暖かさ大きさに安心する由佳。

自分のこずかいを「道で拾った」と偽って

交番に通い、安藤に接して心をいやす。

しかし、安藤の転勤とともに心を満たすために万引きに走る由佳。

その後、姉が警察官と結婚する。

その手が安藤と似ていて、義兄にひかれていく。

そして、由佳のとった行動と贖罪とは。。

 

由佳は面会に来た麻子にエミリとの出来事と今日までのことを語る。

そして、エミリを殺した犯人がだれか、

また、犯人の指紋がついているかもしれないしおりを麻子に渡す。

 

 

麻子の手紙

なぜ犯人はエミリを選んだのか、その理由を書く。

すべて自分が原因であったと。

エミリの実の父親は犯人であると。

なぜ、他の男を身ごもっていた自分が

家庭を持てたのか書く。

そして、エミリ殺しの犯人に

「あなたが実の父親です」と語ったことも。

 

 

悲惨な話です。

特に紗英と晶子は、正当防衛とか心身衰弱と判断されたとしても

今後、普通の生活、笑って過ごすことができるのでしょうか?

無理なような気がしました。

 

いじめによる自殺が報道されています。

いじめた人、いじめを見ていた人は、

紗英たちのような罪の意識をもっているんでしょうか?

紗英たちはたまたまエミリと一緒に遊んでいただけ。

事件に協力したわけではないのに、罪を感じていた。

せめて、亡くなった人への償いは難しくても、

いじめのない世界を作るように働きかけてほしいと思います。

いじめはどの世界もあるからいつでもできるはずです。

 

 

最後に、ネットでも意見は2分されていましたが、

犯人南条のその後はどうなったか。

自殺か、自首か。。。

 

麻子の「みなさんの知っての通り」ということは

全国的に報道されたということ。

自殺では地方紙に小さく出るだけ。

全国的に報道されたということは。。。

自首といっても、時効に間に合ったかもわかりません。

 

フリースクールの経営者らしからぬ行動をしたとか。

たとえば、フリースクールに火を放って焼身自殺したとか、

報道各関係を呼び出して、記者会見。

記者会見でなく、事件の告白をして、その場で服毒自殺したとか。

人の目を集めるようなことをして、死んだような気がします。

 

みなさんはどう考えますか?

 

コメント
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