先日、福岡を中心とする「西の都」が、日本遺産の認定を取り消されるというニュースを耳にしました。調べてみると「西の都」とは、太宰府を中心とし、かつて存在していた「九州の都」を指すとのこと。また「太宰府天満宮」周辺史跡だけでなく、日本百名湯の一つ「二日市温泉」も含まれていることが分かりました。寒さが厳しく、ちょうど温泉で温まりたいと思っていたので、訪れてみることに。
二日市温泉は、日本の古典文学に沢山登場する、九州最古の温泉らしいです。そして、数ある温泉施設の中から、格式ある「大丸別荘」を訪ねました。一泊何万円もする高級旅館ですが、期間限定で日帰り入浴が2千円となっていました。大浴場にしては高めの料金ですが、福岡で唯一の「日本百名湯」でもあり、一生に一度くらいは行っておいてもいいかなと。
到着すると、目に入ったのは博多人形をはじめとする伝統工芸品の数々。館内のラウンジでは、自動演奏のピアノが優雅な雰囲気を醸し出していました。さらに驚いたのは、建物の造りでした。平安時代の寝殿造に、二階以上が増築されたような独特の構造。中庭は日本庭園となっており、太宰府とのつながりを感じさせる、梅の木が植えられていました。
そして、肝心のお風呂へ。洗い場の床には玉砂利が埋め込まれ、湯船の底にも石が沈んでおり、足つぼを刺激する仕組みになっています。温泉の成分には詳しくないものの、温泉療養とリラクゼーションが一体化した、工夫された造りに感心しました。
今回の訪問を通じて「二日市温泉」の歴史的価値を、初めて知ることが出来ました。普及のための取り組みが不足しているとされ、日本遺産の「認定」が取り消され「認定候補」へと格下げされた事は残念ですが、このニュースをきっかけに「西の都」が再び注目されることを願っています。
古代遺産の「西の都」| 日本遺産ポータルサイト