葬儀業の燦(さん)ホールディングス(大阪市)は10日、子会社の公益社が運営する身元不明遺体などの管理施設で、火葬する遺体を取り違える事案が2件、計4遺体あったと発表した。間違いを隠すため、意図的に別の遺体を火葬にまわしていたという。
問題があったのは、公益社の玉出営業所(同市西成区)にあるステラ事業所と呼ばれる施設。大阪府警との契約で、身元不明や身寄りのない遺体を常時50〜60体ほど預かっている。
会社側によると、昨年6月19日に府警河内長野署から身寄りのない男性(71)の遺体を預かった。7月21日に火葬にまわす予定だったが、6月15日に預かっていた身元不明の遺体を間違えて火葬にまわしたという。
数日後、別の社員が気づき、ステラ事業所の責任者に報告した。しかし責任者は上司に報告せず、つじつまを合わせるために、男性の遺体を身元不明の遺体と偽って火葬にまわしたという。
今年1月、男性の遺骨の引き取り人から燦HDグループに「社員から他人の遺骨と入れ替わっていると聞いた」と問い合わせがあり発覚した。
社内調査で2014年にも、府警西成署から預かりを依頼された身元不明の2遺体で、同様の事案があったことがわかった。同じ責任者がかかわっていたという。
燦HDは2件以外にはもうないとして、調査は終えている。
同社は2月2日になって、これらの2件を府警や関係自治体などに報告した。同社は2月8日付で、古内耕太郎社長を含む代表取締役2人ら計4人の役員を減俸10%、2カ月の処分にしていた。鈴江敏一・常務執行役員は「ご迷惑をおかけして申し訳ない。今後は再発防止策を講じる」と話している。
大阪府河内長野市は公益社からの報告を受け、再発防止策の徹底を求めた。取り違えた遺骨については、引き取り人に正しいものが渡るよう要請した。(岩沢志気、鈴木洋和)