ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

火の滝

2021-02-25 | アメリカ事情
 
 
 
 
 
 
 
 

我が家に近いヨセミテ国立公園は、毎年2月中旬から数日間世界中から何千人もの人々が訪れ、歓声を上げたり、カメラでその瞬間を捉えようとする。Covid-19禍中でも、それは起こる。

その現象は、馬の尻尾と呼ばれる滝で起こり、日光、滝の水量によって起こらないこともある。晴れた澄んだ空気も必要である。旱魃が発生しやすいシェラネヴァダ山脈でこの「火の落下」を目にすることは毎年とは限らない。だから目にすることができると、歓声を揚げずにはいられない。

「火の落下」は、2月中旬の日没時に約10分間、条件が揃えば、エルキャピタン岩の東斜面に、見られる。

今年2月16日は、多くの観客を失望させた。人々はエルキャピタン東側にカメラを設置し、今か今かとシャッターチャンスを狙っていた。ところが日没時寸前という土壇場で、雲が出始め、人々は落胆のどよめきを発した。オレンジと赤の入り混じった日没の太陽光が滝を火のように燃え立たせ、まるで溶岩が岸壁を滑り落ちるように見えるはずだったのだ。それまでの豊富な日光と温暖な空気は雲が遮断してしまった。

遠くからやって来た人々の中には、この一年在宅勤務をこなし、この機会にシエラに命の洗濯をしに来たという人も少なくない。二回のワクチン接種を終え、長距離旅行もそう不安ではなくなった自然愛好家も多い。

Covid-19による各種の制限規制で、ヨセミテ公園への入場も毎日通常のごく一部に制限されている。そのため、入場者は入場できたことを感謝し、普段に増してより身近に自然の懐を感じ、さらに規制された人数のために、風光明媚な景色をより楽しめたと喜んでいる。「まるでディズニーランドを自分だけのものにしているような気分」と言う人もいる。

2月16日にファイアフォール(火の落下)現象を目にすることができずとも、公園への入場者はほぼ満足していたようだ。

この現象が知れ渡ったのは、実はごく最近のことで、州外者はほとんど知らなかったことである。それが10年も経たないうちに、「ファイヤーフォール」イベントはあまり知られていない奇妙な現象から、ウイルスのように伝播して行った。このユニークな光景を捉えたドラマチックな写真を一目見れば、その魅力が爆発的に人気を博している理由は簡単にわかる。しかし、新たな注目は、マイナスなことも生じさせる。

ここ数年ファイアフォールを見にくる観光客は、国立公園の自然よりも、まるで遊園地の催し物かのように勘違いし、よって公園の植生は荒らされ、メルセッド川沿いの侵食を起こし、川岸は混み捨て場や公衆手洗いと化し、衛生面は勿論、在来の野生生物・植物に害を及ぼす可能性が大きくなっている。

国立公園管理人たちは、駐車場をヨセミテ滝に限定し、入園するための車線を少なくしたり、ファイアフォール観光客は$35の日帰り予約を確保するように指導し、加えて指定されたエリアまでは1.5マイルのハイキングをする必要性を決めた。

幸いなことに、各予約は、一週間有効で、ヨセミテ公園当局は、最近の雪と降雨のおかげで、今年は2月12日から24日まで見ることができるはずだと言う。つまり、観客は「ファイアフォール」を見るチャンスが7回あると言うことである。

ほとんどの予約チケットは2月の初日に売り切れたが、入場の2日前の午前8時からいくつかのチケットが入手可能である。人気パフォーマーのコンサートチケット同様に、国立公園入場予約は、通常数分で売り切れるので、訪問したい人は迅速に行動しなければならない。

たまたま2月の中旬に入園し、たまたまファイアフォールを目撃したとしても、そうでない日が「ついていない」日であるとは決して言えない。頻繁に入園するカメラマンによれば、「ヨセミテでは決して悪い日はない」。

このとても人気のある国立公園は、カリフォルニア州セントラルヴァレーの住民にとって、大きな庭であり、誇りでもある。エルキャピタンとて、ファイアフォール以外にもその美しさは誰もが感動させられる。そして公園を自然に保ち、管理しているレインジャーに感謝することしきりである。

それでは約3分のヨセミテ国立公園のファイア・フォールをご覧あれ。