ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

夜長に暖炉の傍で

2019-11-14 | わたしの好きなもの

 

 

   

 

アマゾンのキンドルで多くの書籍を読むが、例えばDavid Hackett Fischerデイヴィッド・ハケット・フィッシャーのノン・フィクション、Albion's Seeds(アルビオンの種)は、ペイパーバックでも972頁あり、頻繁に使用するにはやはり電子書籍が便利だ。この本は、アメリカ合衆国へ移住した英国の異なる地域からの移民をその習俗によって四つのグループに分けて詳細に説明しているもので、系図研究をする者(つまり私)にとっては一読の価値が大いにある。特に日本よりも欧米、英連邦国の系図を主にするので、大変に役立つ。けれども、この重い本をブリーフケースにアップル・エアのコンピューターと言えども、一緒に持ち歩くのは、一苦労である。右手(あるいは左手)の長さをどうしようもなく伸ばしたい向きにはいいかもしれないが、重い鞄持ちは私は好まない。よって私はキンドルで読む。

 

だからと言って紙の本を一切読まないわけではない。聖書などの聖典は、紙の頁に思うことなどを小さく記したり、色鉛筆で気に入った聖句を印したり、それを人生で何回も繰り返すことで聖典そのものに私の歴史が刻まれていくのが好きだ。その他の本でも紙で読みたいものはたくさんある。料理本や手芸本は、実用的であると同時に寒い冬の日の午後、暖炉のそばのお気に入りの椅子にくるまってぱらぱらと頁をめくる楽しみを提供してくれる。


その他に秋の夜長にじっくり一頁一頁じっくり見たい本がある。J. Jefferson Farjeon(J. ジェファソン・ファージャン)のMystery in Whiteをココア片手に読むも楽しいが、実は読みたいのは図鑑である。かなり大きく重い本になりがちな図鑑でも、電子書籍を覗くよりも、ずっとわくわくするものだ。

 

私の母は、愛読書の一つが百科事典で、暇があると、虫メガネを片手に丁寧に読んでいて、しょっちゅうクイズ番組に出ては、日頃得た百科事典知識を試していたものだ。類は類を呼ぶのか、父も国語辞典や故事成語事典などをよく読んでいた。その二人の娘の私も百科事典は好きだ。


うちには1960年代発行の古い古いWorld Book百科事典全集が書棚にある。夫の両親が揃えた、今では骨董品で、百科事典の類は新しい物でなければそう役立たないが、それでもほぼ60年も前の百科事典で当時の風俗や考え方や政治や人々の動向、いまではない国の存在などが知れるから、それはそれで楽しい。


事典・辞典・フィールドガイドの類で私がもっと好きなのは、図鑑である。動植物は勿論、鉱物や宇宙や科学に関するものも大好きである。膝の上にずっしりと重い図鑑を置いて初めて、なんだか心のゆとりさえ感じる。

 

最近私が手にするのは、よく合衆国の地方裁判所地下に所蔵されている土地登記本ほど巨大ではないが、通常より大きな図鑑で、三年前のクリスマスに夫から贈られたものだ。題してGEM、宝石、宝玉の図鑑。私は宝石蒐集家ではない(お金が足らない)が、その美しさには目を見張るし、楽しまさせてくれる。三年前に貰っていながら、まだ読み通していないのは、多忙な時に気もそぞろに読むものではないからで、きれいな物を目にしたい時、時間を作って見たい図鑑である。頁数は500足らずでも、一頁には多くの情報が書かれていて、写真も美しい。もともと私は鉱物が好きで、この図鑑はそうした鉱物についても触れている。

 

 

  

 

昨秋孫を含めた長女一家と、うちから一時間ほどの山間にある小さな鉱物博物館を訪問した。そこには、小さいながらもFluorite (蛍石)のコレクションがあり、ディスプレイの仕方も面白く、4歳の孫でも十分に楽しめた。その蛍石の数々は、カリフォルニア州で産出されたものや、ネヴァダやアリゾナのものもある。蛍石とは簡単に言えば、ブラックライト(わずかに眼で見える長波長の紫外線(波長 315-400 nm、UVA、Ultraviolet A)を使う懐中電灯で照らすと発光する鉱石である。その色は赤、ピンク、オレンジ、ブルー、緑、黄色といろいろあり、暗い所で光るので、孫息子は、とても気にいった。


sidcuplapminsoc.org.uk

紫外線電灯の下で光る蛍石


蛍石以外に、閃長岩(せんちょうがん、syeniteサイアナイト)と似ている成分を持つ深成岩で、ここ2,3年にミシガン州で発見されたヨーパライトという石も、紫外線懐中電灯で照らすと、細かな金色の粒状の光を発する。この石をいくつか入手していた私は、ひとつづつ小さなブラックライト懐中電灯をつけて、孫息子二人、姪の息子などにあげた。鉱物・鉱石は知らないと非常に危険な成分を含むことがよくあるが、ヨーパライトは投げつけない限り安全である。


  

左はブラックライト懐中電灯で照らす前、右は照らしたヨーパライト。下は採取現場での撮影された石。

Credit: Erik Rintamaki



 

野鳥や動物図鑑も楽しく、昨今はほぼ孫と共に見る図鑑である。風の強いある日、庭の藤棚の下にあるテーブルに見慣れぬ小鳥よりは大きな鳥が鎮座していたことがあって、その姿をまずは携帯電話のカメラで撮り、図鑑で調べた。その特徴から、Cooper's Hawk(クーパーハイタカ)という中型の鷹であった。風が強い日は鷹だって、やっていられないわよね、と窓ガラス越しに話かける私をよそに、クーパーさんは、さっと再び空へと飛んで行った。


つまり図鑑は大人の絵本とも言えようか。


クーバーハイタカ:お達者で! 

 

 

 

 


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4 コメント

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Unknown (rosegarden223)
2019-11-14 09:35:21
私も図鑑大好きです〜
特に植物図鑑
最近は孫の影響で 恐竜図鑑なども見ています。
恐竜の名前って 覚えにくいんです。
図鑑のビジュアルさは 想像力を高めてくれて
とても楽しいもんです。
私のとっておきは 薔薇図鑑です。笑
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Unknown (aromadeyui)
2019-11-14 11:08:09
いつもワクワクさせられます
子供の頃の我が家にも百科辞典がありました
両親がページを開いていた姿は記憶にありません(^_^)
もっぱら私の愛読書でした、特に絵画のページは繰り返し観ていました
鉱物博物館がある街素敵ですね
石と言えば、30年程前に訪れた スミソニアン博物館の宝石、鉱物コーナーでは、オーストラリアから産出された動物の骨がプラックオパール化した展示物、あまり近づき過ぎて、撮った写真はピンボケでした!当時はフィルム写真でしたので(^_^)
そんなことを記事で思い出しました!
いまだに光り物には、目がありません!是非ナマで光石みたいです
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コメントをありがとうございました。 (ままちゃん)
2019-11-15 02:06:54
rosegarden223様、

きなこママ様の庭園、圧倒的に素敵で、なかでも薔薇は圧巻ですね。我が家の前庭に、いくつかデイヴィッド・オースティンの薔薇を植えているのですが、私のようなきまぐれな素人庭師(ははは)にもめげず、春と秋しっかりきれいな花を咲かせてくれるのです。その健気さ。薔薇は決してひよわではなく、うちの庭では、薔薇が負けるもんかと言っているような気がします。特にJude the Obscure(日陰者ジュード)は、無果実チェリーの木の下に植えられてしまい、本当に日陰者をしてますが、ちゃんと咲くのですから偉いです。
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コメントをありがとうございました。 (ままちゃん)
2019-11-15 02:13:15

aromadeyui様、

Cedarwoodのオイルをお風呂に垂らして、入浴しようか、と思っていた矢先に記事を拝見。やっぱり森林浴ですよね。

さて、百科事典は、宝庫です。カラスのごとく光る物に惹かれるわたしは、百科事典も光って見えます。

スミソニアンは、一週間かけてでもじっくり見回りたいものです。日本では岐阜県で蛍石が見つかると聞きました。ヨーパライトは、去年のクリスマス、集まった家族の間でヒットしました。
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