いよいよ今日は、待ちに待った冒険の始まる日。
ぼくは必ず、このアナランドの国から遥かマンパン砦の魔法使いに奪われた、
王様の大事な冠を取り戻してこなければならない。
人々を束ねる、不思議な力を持っている冠なんだって。
「本当は私が行ければいいんだけど。この町を守る仕事もあるからね……」
ぼくを送りだしたミア先生は、最後まで心配そうな顔をしていた。
先生は、母(というか姉)代わりにぼくを育ててくれて、
魔法使いとしても鍛えてくれた立派な人だ。
ぼくは胸を張って言ってあげた。
「大丈夫ですよ。ぼくには頼れる味方がいるんですから」
「リブラ様が付いてますって事?
まあ確かに、あなたは昔から、運だけは人一倍よね」
ソレはどういう意味ですか。
だいたい、リブラ様って本当にいるのかな。冒険の神様だっていうけど。
そんな事を考えながら、ぼくはもう一度だけ、忘れ物がないか確かめた。
ついでに、気に入っている濃紺のローブを直していると、声をかけられた。
「あいさつは終わったか? ニック」
生まれた時から一緒に暮らしてる、幼なじみの戦士のエッジ。
ぼくみたいな魔力こそ持ってないものの、頭は切れるし、戦いだって強い。
歳はほとんど違わなくても、冒険については先輩だ。
彼は緋色のマントを翻し、厳しい顔つきで言った。
「キミの旅には、わたしが付き添う。何としてでも、キミを目的地へ導こう」
「大げさだなあ。おまえとの旅なら、絶対に上手くいくって」
「その油断が命取りだぞ。まず、魔法書はキチンと暗記したか?
体調管理は整っているか? 紙とペンの準備は?
それに今回は、くれぐれも食料や金貨は計画的に使いたまえ。
それから……」
相変わらずだな。こういう時だけ口うるさいんだコイツは。
ぼくは苦笑いを堪えながら、国境兵士にあいさつして、門をくぐった。
ぼくは必ず、このアナランドの国から遥かマンパン砦の魔法使いに奪われた、
王様の大事な冠を取り戻してこなければならない。
人々を束ねる、不思議な力を持っている冠なんだって。
「本当は私が行ければいいんだけど。この町を守る仕事もあるからね……」
ぼくを送りだしたミア先生は、最後まで心配そうな顔をしていた。
先生は、母(というか姉)代わりにぼくを育ててくれて、
魔法使いとしても鍛えてくれた立派な人だ。
ぼくは胸を張って言ってあげた。
「大丈夫ですよ。ぼくには頼れる味方がいるんですから」
「リブラ様が付いてますって事?
まあ確かに、あなたは昔から、運だけは人一倍よね」
ソレはどういう意味ですか。
だいたい、リブラ様って本当にいるのかな。冒険の神様だっていうけど。
そんな事を考えながら、ぼくはもう一度だけ、忘れ物がないか確かめた。
ついでに、気に入っている濃紺のローブを直していると、声をかけられた。
「あいさつは終わったか? ニック」
生まれた時から一緒に暮らしてる、幼なじみの戦士のエッジ。
ぼくみたいな魔力こそ持ってないものの、頭は切れるし、戦いだって強い。
歳はほとんど違わなくても、冒険については先輩だ。
彼は緋色のマントを翻し、厳しい顔つきで言った。
「キミの旅には、わたしが付き添う。何としてでも、キミを目的地へ導こう」
「大げさだなあ。おまえとの旅なら、絶対に上手くいくって」
「その油断が命取りだぞ。まず、魔法書はキチンと暗記したか?
体調管理は整っているか? 紙とペンの準備は?
それに今回は、くれぐれも食料や金貨は計画的に使いたまえ。
それから……」
相変わらずだな。こういう時だけ口うるさいんだコイツは。
ぼくは苦笑いを堪えながら、国境兵士にあいさつして、門をくぐった。