好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

「蒼紅の冒険者」第1話「冒険の始まり」

2009-12-01 | ゲームブック二次創作
いよいよ今日は、待ちに待った冒険の始まる日。
ぼくは必ず、このアナランドの国から遥かマンパン砦の魔法使いに奪われた、
王様の大事な冠を取り戻してこなければならない。
人々を束ねる、不思議な力を持っている冠なんだって。

「本当は私が行ければいいんだけど。この町を守る仕事もあるからね……」

ぼくを送りだしたミア先生は、最後まで心配そうな顔をしていた。
先生は、母(というか姉)代わりにぼくを育ててくれて、
魔法使いとしても鍛えてくれた立派な人だ。
ぼくは胸を張って言ってあげた。

「大丈夫ですよ。ぼくには頼れる味方がいるんですから」
「リブラ様が付いてますって事?
 まあ確かに、あなたは昔から、運だけは人一倍よね」

ソレはどういう意味ですか。
だいたい、リブラ様って本当にいるのかな。冒険の神様だっていうけど。
そんな事を考えながら、ぼくはもう一度だけ、忘れ物がないか確かめた。
ついでに、気に入っている濃紺のローブを直していると、声をかけられた。

「あいさつは終わったか? ニック」

生まれた時から一緒に暮らしてる、幼なじみの戦士のエッジ。
ぼくみたいな魔力こそ持ってないものの、頭は切れるし、戦いだって強い。
歳はほとんど違わなくても、冒険については先輩だ。

彼は緋色のマントを翻し、厳しい顔つきで言った。

「キミの旅には、わたしが付き添う。何としてでも、キミを目的地へ導こう」
「大げさだなあ。おまえとの旅なら、絶対に上手くいくって」
「その油断が命取りだぞ。まず、魔法書はキチンと暗記したか?
 体調管理は整っているか? 紙とペンの準備は?
 それに今回は、くれぐれも食料や金貨は計画的に使いたまえ。
 それから……」

相変わらずだな。こういう時だけ口うるさいんだコイツは。
ぼくは苦笑いを堪えながら、国境兵士にあいさつして、門をくぐった。

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