『スタンド・バイ・ミー』(byスティーヴン・キング)、読了。
因みに新潮文庫版。
『マンハッタンの奇譚クラブ』と共に収録。
キング作品を読むのは今回が初めてだった。
根本的にホラー作品が苦手というのが最大の理由。
映画で『スタンド・バイ・ミー』の内容を把握して、これくらいなら読めるだろうと決心した。
確かに文章で読んだ方が、少年四人組の個性を感じ取れたと思う。
特にテディ。映画はややマイルドになってるんですね。
同時収録の『マンハッタンの奇譚クラブ』の方は、私としてはかなり衝撃が強かった。
描かれた出来事の当時、まだ広まっていなかった呼吸法(ラマーズ法)から生まれた誤解と悲劇。
クライマックスは凄絶の一言だが、子を思う母の強さも同じくらい強く伝わってくる。
で、そんな奇妙な物語が語られるクラブがまた怪しい。
この世ではない所に存在しているのではと考えさせる余韻で終わる。
だが、手痛い目にも遭ったものの、読後感は決して悪くなかった。
作風こそ恐ろしくとも、作者のきっと柔らかく温かい人柄もまた感じられたから。
最後に備忘録として、記憶に残った一説を引用しておく。
どの作品も、よくできた小説なら必ず与えてくれるものをそなえている──いっときのあいだ、みなさんの心にある現実の重荷を忘れさせ、今まで行ったことのない場所へつれていってくれるはずだ。
(まえがき)
友人というものは、レストランの皿洗いと同じく、ひとりの人間の一生に入りこんできたり、出ていったりする。
(『スタンド・バイ・ミー』)
それでは。また次回。