好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

事件183『憎しみの青い火花』(第61巻)考察。

2013-05-12 | 『名探偵コナン』原作考察
今回のテーマは、「こんな意外な物で人を殺せる」という、ただ一点。
その一点を描くためだけに、他のあらゆる点が犠牲になってしまっている。

一つ。またも型で押したような事件発端。
少年探偵団のキャンプ(7回目)で、圏外の地でガス欠になるという作為的な始まり方。

一つ。灰原の不自然な言動。
彼女は仮にも科学者である。
精密な実験器具に触れる以上、帯電対策は基礎中の基礎のはずである。
にも関わらず、彼女が無知のように描かれているのは、理解に苦しむ。
『四台のポルシェ』では普通に開けていた車のドアに触れないというのも、率直に言って不自然だ。

そして最大の問題は、ガソリンについての描かれ方だ。
自明の事だが、あまりにも扱いがズサンすぎる。
犯人――ひいては作者――は、ごく限られた状況で
はじめて火災が起こるかのように考えているが、
犯人の思惑通りに被害者を殺せたのは、逆に奇跡と言っていい。
いつ何時とっくの昔に、犯人の飼い犬ごとガレージが燃え尽きててもおかしくない。

何より頭が痛いのは、ガソリンをポリタンクに入れてる事だ
灯油じゃないんだから。

子供向けなんだから言葉のアヤだから気にするなとも一瞬思う。
しかし、子供が読むから漫画だからこそ、嘘を教えちゃいけないとも思う。

物語の中で、科学知識に間違いがあるのは良い。
一方で科学を振りかざしておきながら、
他方でその科学をないがしろにしているという矛盾が、私には納得できないのである。

それでは。また次回。
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