嫌な夢を見た。
どんな夢だったかは、目覚めたら忘れてしまった。
というのも、奇妙な台詞でエッジに起こされたからだ。
「……無闇に動くな、ニック……!」
まぶたを上げた次の瞬間に、ぼくはその台詞の意味を知った。
ぼくはベッドの上に、革ひもで厳重にくくりつけられていた。
その上、さらに、ぐるぐると部屋の壁を巡っている綱がある。
片端は、ぼくの左手首にゆるく巻きつけられている。
そしてもう片端には、朝日に照らされた銀色の刃が結ばれている。
ちょうど、ぼくの首の真上で。ギロチンのように。
部屋の戸口には、宿の主人と、その主人に剣をつきつけるエッジとが居た。
「不覚を取ってしまった。どうやらこの主人、鬼に魂を奪われている拷問狂だったようなのだ」
「くけけけけけけけけけ! コロス! コロス! テキハコロス!」
……どー考えても、脅したり諭したり出来る相手じゃない。
ぼくは深呼吸を繰り返し、改めて壁のカラクリを見つめた。
この左手首の綱。ほどくべきか、引っぱるべきか。
「普通の人だったら、きっと焦って……手繰り寄せようとするよね」
だから、その逆をやればいいと考えたぼくは、綱をほどいた。
・
・
・
エッジは宿の主人を剣の柄で気絶させてから、ベッドから下りたぼくに歩み寄った。
「よくも切り抜けたな。生死の二択を」
「そんな大げさな話じゃないよ。
相手が仮にも拷問狂なら、まさか即死させるような事もないだろ」
「コレを見ても、まだその台詞を言えるか?」
エッジは、今は天井近くにぶら下がっているギロチンの綱を切った。
ドズン!という音を立て、ベッドの綿が真っ二つに切り裂かれた。
ぼくは腰を抜かした。
どんな夢だったかは、目覚めたら忘れてしまった。
というのも、奇妙な台詞でエッジに起こされたからだ。
「……無闇に動くな、ニック……!」
まぶたを上げた次の瞬間に、ぼくはその台詞の意味を知った。
ぼくはベッドの上に、革ひもで厳重にくくりつけられていた。
その上、さらに、ぐるぐると部屋の壁を巡っている綱がある。
片端は、ぼくの左手首にゆるく巻きつけられている。
そしてもう片端には、朝日に照らされた銀色の刃が結ばれている。
ちょうど、ぼくの首の真上で。ギロチンのように。
部屋の戸口には、宿の主人と、その主人に剣をつきつけるエッジとが居た。
「不覚を取ってしまった。どうやらこの主人、鬼に魂を奪われている拷問狂だったようなのだ」
「くけけけけけけけけけ! コロス! コロス! テキハコロス!」
……どー考えても、脅したり諭したり出来る相手じゃない。
ぼくは深呼吸を繰り返し、改めて壁のカラクリを見つめた。
この左手首の綱。ほどくべきか、引っぱるべきか。
「普通の人だったら、きっと焦って……手繰り寄せようとするよね」
だから、その逆をやればいいと考えたぼくは、綱をほどいた。
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エッジは宿の主人を剣の柄で気絶させてから、ベッドから下りたぼくに歩み寄った。
「よくも切り抜けたな。生死の二択を」
「そんな大げさな話じゃないよ。
相手が仮にも拷問狂なら、まさか即死させるような事もないだろ」
「コレを見ても、まだその台詞を言えるか?」
エッジは、今は天井近くにぶら下がっているギロチンの綱を切った。
ドズン!という音を立て、ベッドの綿が真っ二つに切り裂かれた。
ぼくは腰を抜かした。