『天狗の落し文』(by筒井康隆)、読了。
この本の存在はずっと前から知っていたが、敢えて今まで読まずにいた。
裏書きを読んだだけで、面白いに決まってるから、しんどい時まで取っておこうと。
その予想は、めでたく当たった。
期待を超える内容だった。
1991~2001年、断筆時代を挟んで書かれたアイディアの断片たち。
全作盗用歓迎、というトンデモナイ但し書きが付いている。
もっとも、どれも筒井氏本人でなければ扱いきれないモチーフが大半だが。
まるで脈絡のない単語を並べ、意味のあるような文章になってる、という作品が幾つもある。
私としては『最新版「発明のパターン」』がお気に入り。
「メルトスリプってトムクルったら、ジョデフォスタればいい」
……何となく分かりそうで分からないのに記憶に残る。
「実は盲目だった!」を要(かなめ)にする叙述トリックのミステリというのも読んでみたい。
実は色盲(という表現も古いんだよね)ってパターンなら昔読んだけれど。
ただ、一番ピンと来なかったのが、解説。
この解説を盗用するな、と声高に訴えられてて、何と返せばいいか分からなかった。
ごく普通の分類論だし、少なくとも私は、そのまま剽窃する事はないだろうから。
それでは。また次回。