▶今日はインゴルシュタットからフライジングまで日帰りの旅です。
❤ フライジング大聖堂(教会・修道院㊱)
▶今日は改修していたフライジング大聖堂博物館(博物館⑳)の開館式でした。
旅行に出る前にバイエルン国立博物館のマティアス・ヴェニガー博士から、私たちがちょうどフライジングに行こうと思っている日に大聖堂博物館がオープンする日で、開館式があるのだと知らせてきました。そして「あなた方もその式に参加する許可をもらったけど出ますか?」と聞いてきました。この博物館にはエラスムス・グラッサーの作品も何点かあり、いつ見られるようになるかと楽しみにしていたのです。作品展示も見られるそうなので「喜んで参加します」と答えました。式は午後3時からなので午前中にヴェニガーさんと大聖堂で落ち合うことになりました。滅多にない体験ができそうです。
◆2022年10月1日(土曜日)11174歩
朝起きると足が痛みました。ここ数日相当な距離を歩き回ってきたツケが出てきたようです。エルケさんの薬を塗り、念のために持って来ていた踵のサポーターを付けてみました。くるぶしを固定すると少し楽な感じがします。
朝食は駅の2軒目のパン屋さんで買って来て済ませ、8時6分発のミュンヘン行き普通列車に乗るためホームに行きました。始発列車だったので既に列車が停車していました。寒い中で待たずに済んでホッとしました。ミュンヘン中央駅にも順調に着き、パッサウ中央駅行きに乗り換えます。こちらも始発列車だったので余裕で座ることができました。駅のホームに着く列車からは続々と民族衣装に身を包んだ若者たちが降りてきます。オクトーバーフェストです。この日は結構寒くて私たちは上衣を着込んでいるのに、彼らは半袖、半ズボンでした。大半の人は手に上衣やカーディガンを持ってはいましたが、この日の寒さからしたら勇気の要る薄着です。
帰ってから調べてみたら2022年のオクトーバーフェストの日程は9月17日~10月3日までとなっていました。今日はちょうど3連休の1日目だったのですね。
フライジング大聖堂(教会・修道院㊱)に着くと中には1人の女性が静かに座っていました。お邪魔をしないように気をつけながら彫刻類を見て回りましたが、前回見るゆとりがなかった門の飾りが目に入り、きれいなので何枚も写してきました。ここに一部載せておきます。
❤ それぞれの家族の祈りを込めて、ここに紋章や彫刻を入れた門をつけたのでしょうか。(写真:緑)
▶ヴェニガーさんは本当にエネルギッシュに走り回ります。
自分たちで見られるところは大体見て回って、そろそろヴェニガーさんとの約束の時間です。でもなかなか姿を見せません。外をぶらぶらしながら待っていると、そこへ急いでやってきたヴェニガーさんは明日から出張のために準備で遅くなったとおっしゃいます。
そして着くなりバンバン説明を始めました。正直早口すぎてあまりついていけないのですが、かと言って一々質問するのはあまりにも時間がかかってしまいそう。ときどき尋ねながら回りましたが、帰ってきたらあまり細かな内容は頭に入っていませんでした。
覚えている範囲でメモしたところに依ると、元々この大聖堂は 1200年代にロマネスク様式で建てられ、Gewölbe という丸い形の屋根を太い柱で支えていること、一部オリジナルの屋根の木材が見える場所があること、墓碑などに高価な赤い色味の大理石(確かザルツブルク産)が使われていたこと、昔は床に横たわっていた墓碑を修復の際に掘り起こして壁に立てたときに、中には割れてしまったものがあるということぐらいでしょうか。1つだけ大変印象に残ったのが、下の墓碑です。この墓碑の司教さんの服に丸いものがぶら下がっていますが、布で作った飾り房だと思っていたら Hermelin (Mustela erminea) というそうです。スマホの辞書で調べたらオコジョという動物の毛でした。多分尻尾だったと思います。この「オコジョ」がわかるまで結構時間がかかり、ヴェニガーさんはじれていました。それにしてもこの上衣だけで十数匹のオコジョが尻尾を提供させられたのですね。
❤ 上衣の裾にたくさんぶら下がっているのがオコジョの毛皮です。(写真:三津夫)
❤ これは何の説明だったかしら??
「地下には行きましたか?」と聞かれてまだ行っていないと答えると大股で歩き出しました。中に入るとすごく暗いのでほとんど見えないのです。ヴェニガーさんがスマホを照明代わりに使いながら説明をしてくださいました。なかなか古い石彫のようです。
❤ ヴェニガーさんの指が見えます。(写真:三津夫)
▶今日は久しぶりのご飯をいただきました。
そろそろお昼の時間だと帰り始めたときにヴェニガーさんが大きな体でとても小さな自転車に乗っていらしたことがわかりました。急ぎながらも途中で2箇所ぐらいの教会内を案内されましたが名前も覚えていないためカットします。
歩き始めた頃には雨が降り出して結構寒くなっていましたので、傘を差しながら早足でお宅まで歩きました。お宅ではルースさんがご飯を炊いて上に野菜炒めのタレを載せたお料理を出してくれました。嬉しいご馳走でした。寒かったので体も温まり、ホッとしました。面白かったのは食事が始まってもヴェニガーさんは私たちを連れてどこをどう回ったか逐一ルースさんに報告するのです。話し終わるまで食べる気にならないようでした。それを相づちを打ちながら優しく聞くルースさん。仲の良い夫婦です。
▶いよいよ大聖堂博物館開会式典に参加します。
開会式典は午後3時開始ということなので、食後はあまりゆっくりお話を交わす時間は無く、ヴェニガーさんが大急ぎでスーツに着替え、ルースさんも少し改まった服装でコートを羽織って車に乗り込み、大聖堂に向かいました。ヴェニガーさんの運転は猛スピードです。ちょっとハラハラしました。大聖堂には車を停めるスペースはそれほどないため、ヴェニガーさんは私たちを下ろすとお宅に取って返し、またあの可愛らしい自転車で来るのだそうです。まぁ、本当にエネルギッシュな方です。
大聖堂の横に新装なった大聖堂博物館があり、坂の途中まで長い列ができていました。そこにルースさんと3人で並んで少しずつ進み、ようやく中に入ると人が一杯で動きが取れないほど。クロークに荷物を預けてやっと身軽になり中央の式場を見てみると、私など人垣に埋もれてしまってまったく誰が何をしているのか見えませんでした。音声や音楽はマイクを通して聞くことができましたが、見えない式典に立ちあっていても時間がもったいないので、先に彫刻を見て回った方が得策だねと、式典を離れて三津夫と2人で展示会場を回りました。そのうちにヴェニガーさんもやって来ました。彼はいろいろな人と話したり声をかけられたり解説をしたり、またまた大忙し。それでもヴェニガーさんもルースさんも私たちがどの辺にいるのか常に気にかけてくれていました。帰りの電車に間に合うように挨拶して失礼しようとすると、ヴェニガーさんも人混みから抜け出してきて駅まで送ると言います。申し訳ない気持ちでしたが、そうしないと気が済まない方なのだなと思ったので一緒にフライジング駅まで歩きました。
フライジング大聖堂博物館で拝観したエラスムス・グラッサーの作品を下に紹介しておきます。
❤ 「キリスト受難像」ミュンヘン聖母教会の合唱席より エラスムス・グラッサー 1502年
❤ 「モーゼ」ミュンヘン聖母教会の合唱席より エラスムス・グラッサー 1495~1502年
❤ 「嘆きの天使像」 エラスムス・グラッサー 1500年頃 (上の3枚とも 写真:三津夫)
駅までの道々、ヴェニガーさんは明日イタリアに出張するため様々な用意があって今朝は遅くなってごめんなさいと謝られるのでした。そんな忙しいときにお邪魔したのはこちらの方が申し訳ないことでした。でもようやくゆっくりお話ししながら歩けたので良いお別れのひとときとなりました。駅のホームで列車を待つ間、私がユーレイルパスにこれから乗る列車を登録していると「ちょっと待って、待って!」とご自分のスマホも出してきて、明日から使わなければならないから教えてくださいとおっしゃいます。私も大分入力に慣れたところだったので順序よくお教えすることができました。少しはご恩返しができたかなとホッとしました。
今日は慌ただしくも充実した一日となりました。
明日は朝早くからアウクスブルクに移動し、トランクを宿に預けてすぐにポリングまで出かけます。まだまだ忙しい旅は続きます。
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