▶今日はインゴルシュタットからアウクスブルクに移動し、更にヴァイルハイムまで往復してきました。
❤ ヴァイルハイム駅に向かう草原 この旅で一番気持ちがのびのびする道でした。
▶今日の目的地はポリングです。
ポリング修道院(教会・修道院㊲)にはハンス・ラインベルガーの聖母子像があるのですが、私たちが持っている小さなカタログで見る限り、聖母マリアが何となく目つきが鋭いような、にらみつけるような独特の表情をしているのです。そのため、三津夫はこの彫刻を「妖しいマドンナ」と呼ぶようになりました。この「怪しいマドンナ」はバイエルン国立博物館にあるはずなのですが、今までは見られなかったので修復中なのかと思ってヴェニガーさんに伺ってみたところ、「修復が終わって、もうポリング修道院に戻っていますよ」と教えてくださったのでした。ポリングはアウクスブルクの東南約70km(直線距離で)にある町です。
そこでポリング修道院に直接拝観できないかとメールで問い合わせたところ、「普段は鉄柵が閉じてて遠くから見ることしかできません。もし日曜日のミサにこられたらその後1時間ぐらいは鉄柵も開いているので撮影できますよ」と秘書のザビーネさんから親切なお返事をいただきました。三脚の使用許可もくださったので、日曜日の朝一番にアウクスブルクのホテルにまず移動を済ませ、ミサが終わるという11時半頃に撮影道具だけ持ってポリングの修道院に着いてるように日程を考えたのでした。本来ならランツベルク・アム・レヒ駅の方向なので同じ日に行ければ良かったのですが、日曜日に合わせるにはここしか取れなかったのです。
◆2022年10月2日(日曜日)11688歩
今日もなかなか慌ただしいので朝5時半に目ざましをかけました。列車はインゴルシュタット中央駅7時10分発のアウクスブルク中央駅行きです。冷蔵庫に残っていた葡萄を食べ終え、熱い珈琲をポットに入れてチェックアウト。この3日間、悔しいことに1番線のエレベーターが壊れたままだったので早めに2番線にトランクを移動しておくためにもゆとりを持ってチェックアウトしました。その後パン屋さんに駆けつけて早く開いた方のパン屋さん(残念ながら嫌な感じの方です)でフィッシュフライサンドを買い込み、列車に乗ってから朝食を食べました。
8時8分にアウクスブルク中央駅に到着。駅に近いホテルにトランクを預け、荷物預かりのチケットを受け取りました。今回の旅行中に泊まってきたホテルでは荷物預かりのチケットを受け取ったことはなく、管理がしっかりしているホテルだと思いました。
駅に着くとヴァイルハイム行きの BRB が来るまでまだ50分もあるので、途中のおやつを買ったりして2番線 Süd でゆっくり待っていると普通列車と思える列車が来て止まったのです。一瞬違和感を感じて中に乗っている人に Weilheim に行きますかと聞いたら「行きます」と答えたので乗りました。でもおおぜいの若者がビールを飲んだり騒いだりしていてオクトーバーフェストに行く雰囲気です。そうだとしたらやはり違う列車なのではないかと不安になって別の人に聞いたら「これはミュンヘン行きだよ」と言います。ミュンヘンまで行く途中にヴァイルハイムがあるのかどうか知らないのでますます不安になり、ドイツ鉄道のサイトで検索してみたところやはり方向が違うことがわかって、慌てて次の停車駅で飛び降りました。そこは Mering という駅でした。近くにいた男性に「ヴァイルハイムに行く列車はありますか」と聞いたら「5番線だよ。あっち、あっち」と指さして教えてくれたのでお礼を言って駆け出しました。階段を上がると同時にブルーのきれいな列車が来て飛び乗り、ほっと一息。この列車が BRB だったのだとやっと認識しました。
この列車も途中の駅でしばらく止まり、ちゃんとミサの終わりに間に合うかどうかと少々不安。でも20分弱待ってようやく出発したので今度こそ間に合うでしょう。この路線は単線で、対向列車と行き違うまで待つ時は一部複線になっている線路上でストップしなければならなかったのです。地域列車ではときどきこうした線路があります。
ヴァイルハイム駅でポリングまでのバスを探してみましたが見つからないので、タクシーの運転手さんに「ポリング修道院まで行けますか?」と聞くと「住所はどこ?」と聞かれ、メモを見せました。するとOKと頷いて出発。地図で調べたところではヴァイルハイム駅からこの修道院までは4kmほどあるのです。11時20分頃修道院に着いたので14ユーロ払って下りました。これで撮影に間に合います。
信者さんたちが出て来る時間には出入り口の前にテーブルが出され(下の写真)何か飲食できるものが並ぶのかと思ったらパンが売られるようです。このパンを買う人が多く、大きな籠に4つ位あったパンが最後には売り切れていました。残ったら買おうかと思っていたのですが残念。
ようやくほとんどの人が出終わったところで中に入り、扉を閉めようとしている若い男性に「秘書のザビーネさんという方はいらっしゃいますか? 撮影の許可をただいているのですが」と話すと高齢の婦人を連れて来ました。今日は秘書さんは来ていないとのことで、怪訝そうなお顔でした。メールをお見せしたところ、「それなら良いでしょう。でも写真はインターネット上で公開しないでください」と釘を刺されました。そうお約束して三脚でしばらく撮影させていただきました。
ただ、今までは「怪しいマドンナ」と呼んでいたラインベルガーの聖母子像、修復を終えた後はその怪しさが消えているような気がしました。帰り道、三津夫と「何だか普通のマドンナになっちゃったね」と言い合いました。ランツフートのラインベルガーの聖母子像は非常にたくましくて上からにらみつけられるような迫力を持っていて、それがラインベルガー作品の魅力でもありました。この「妖しいマドンナ」の不思議な眼差しの魅力も残っていて欲しかったようなさみしさを感じたことでした。
❤ ポリング修道院(教会・修道院㊲)
▶ヴァイルハイム駅への帰り道
ようやく今日の目標は達成。でもお腹も空きました。近くにあるバス停を見たら12時過ぎのバスはなく、まずは食事をすることにしました。歩き出すとすぐ近くにレストランがあってホッとしました。日曜日は開いているお店が少ないからです。ここでゆっくり食事をし、もう一度バスの時間をウェイターさんに聞いてみたところ、この日はやはりもうバスはないとのこと。「しょうがない、4kmだから歩けるね」と、コロコロを引っ張りながら歩き始めました。
お天気も良く、暖かくて歩くには最適の日です。地図で見る限り道なりに駅まで行けるようだったので、安心して歩き続けました。途中の野原の何と爽やかなこと! 一番気持ちよく歩いた道をトップに載せておきました。時々自転車に乗った家族も通り過ぎていきます。
10月となって紅葉が始まり、町に近づくとところどころ真っ赤な葉を付けた木も見られます。
❤ 気持ちの良い道を歩き、次第に町に近づきました。でも少しずつ雲が多くなっています。
▶ところがヴァイルハイム駅が見つからないのです。
町まで広々した草原を気分良く歩いてきましたが、いよいよ町中に入ったのでスマホで駅を探してそこに行ってみてもなかなか見つかりません。途中5~6人の人に尋ねながら歩いたのですが、その度に指さす方向が違うのです。一時は雨まで降り出して踏んだり蹴ったり。最後に出逢った散歩中の夫婦が「ここはややこしいんですよ。ついていらっしゃい」と言って一緒に歩いてくれたのですが、とても細い裏道でした。最後に「ここから行けば駅に出られますよ」と教えてくれたところは、確かに近くを通っていたと思います。助かりました。ようやくブルーの列車に乗り込んでアウクスブルク中央駅まで戻りました。
アウクスブルク駅近辺は大きな工事をしていてゴチャゴチャしているのです。ホテルの隣にはキオスクのようなお店が3つほど並んだプレハブがありました。そこで林檎やバナナ(最後の1本でした)を買い、サンドイッチを買ってホテルにチェックイン。部屋に入るとホッとしました。今日も昨日よりは少ないけれど、よく歩いたものです。
明日はランツベルク・アム・レヒとドナウヴェールトに行く予定です。
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